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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
51/145

第50話 神口

 トイレから戻ると、テンションの上がったミリアに迎えられる。


「ふぅ……」

「おかえりなさい!」

「タカシ、おかえり」


 少しの間くらいはイチャイチャしてくれると良いけど……。

 ひとまず席に着き、ファラのステータスも確認しておく。


▼ファラ・オスロ Lv.26 魔術士 Rank.E

HP:270(270+0)

MP:545(495+50)


ATK:143(135+8)

MAG:382(360+22)

DEF:164(135+29)

AGI:135(135+0)


STR:3(+ -) VIT:3(+ -) INT:8(+ -) DEX:3(+ -) CHA:15* (15)

JOB:M魔術士Lv.26 S使徒Lv.26 奴隷Lv.5 冒険者Lv.1 村人Lv.1

SKL:魔力上昇小 初級召喚魔術 初級魔術 初級魔術障壁 初級付与魔術 中級治癒 初級空間魔術 模倣


 ファラが中級治癒を覚えたのだけは未だに分からないな。

 必死に治癒を使ったとしても、あの程度で使えるようになるのなら、下位ジョブなのに上位ジョブの魔法を使えるようになっている人で溢れるだろう。


 そうなっていないということは、やはり使徒の模倣だからこそ中級になった、と考えるのが普通だろう。

 今朝模倣のスロットに入った空間魔術は初級だが、そこは本人次第なのかもしれない。不安定なスキルだな……。

 レベル30に期待しよう。


 今後は召喚術士になってもらい、サブは使徒、もしくは使徒の上位でまた30まで狩りの日々だな。


 それにしてもダンジョンは美味しすぎる。

 場所的にモンスターが弱いのは仕方ないとしても、出た後にギルドへ行くだけで一気に金持ちになれるというのは嬉しい。出る事が出来れば、の話だが。

 そろそろ次の奴隷の購入も考えないといけないな。

 ここから出たら、二人に相談してみよう。


「タカシさん? 何ニヤニヤしてるんですか? またエッチな事でも考えてたんですか?」

「え、あぁ、そうそう。ミリアにどんな事しようかなって」

「もう! それより勉強会は良いんですか?」

「そうだな。途中から勉強会じゃなくなったけど、聞きたい事は大体聞いたし、後は推測できるから、こんなもので満足かな」

「あれはっ! うぅ……でも、感謝はしてます……」


 お、しおらしくなったな。

 夢だった魔導士に数日で就けたんだ。嬉しいのだろう。これからはスキンシップを増やしていこう。


「それで、まだ昼過ぎですけど……余った時間どうしましょう?」

「うーん、外で魔法の練習でもしようか」

「はいっ!」

「ん」


 家の周りにはモンスターが居そうにないから、三人で家の外に出て練習を始める。

 ミリアには合成魔法、ファラには召喚魔法を使いこなしてもらいたいし、俺は神脚と神口の用途を見出したい。


「ミリアは合成魔法の練習。ファラは召喚魔法の練習ね」

「分かりましたっ!」

「わかった」


 ミリアには火と風の合成の練習をしてもらい、ファラには召喚したモンスターの感覚を共有できるよう練習してもらうことにした。


 二人の練習を眺めながら、神口のことを考える。

 口というくらいだから、発言したことが事実になる……とか?


「ファラの服が脱げる!」


・・・。


 ファラを指差して発言してみるが、何もならない。当たり前か。これが出来たら世界を手中に収めたようなものだし。


 うーん。普通に考えるなら、神口の使える人から他人に神からの神託などを授けるようなものなんだろうけど、神からは全く何も音沙汰ないしなぁ。


 これでも一応スキルだから、いつでも使えるとは思うんだけど、分からない……。


「燃えろ!」


 雑草に向かって発言してみるが、やはり何も起こらない。


「さっきから何してるんですか……?」


 色々なところを指差したり、ブツブツ言っている怪しい奴が居たら気になるよね。


「少し実験をしてるんだよ。口で魔法が使えないかなってさ」

「何ですかそれ……聞いたことないですよ。口からって、ドラゴンみたいに炎や氷を出す感じですか?」

「え、あぁ、うん。まぁ、そんな感じだよ。何か思い付くことってないかな」

「そうですね……魔法というくらいだから、口に魔力を集中してみては?」


 なるほど。言霊ってやつか……? 確かに、口を使うスキルなのだから、力を込めるのは必然。

 今はどんなことでも試してみたいので、口に魔力を込める。


 って、どうやるんだよ……。


「難しい。そもそもやり方が分からん」

「そうですか? タカシさんがいつも言っているじゃないですか。魔法はイメージだって」


 うーん、そうなんだけどさ……口に魔力を込めるってどうやるんだよ。嘔吐する、みたいな感じ?

 右手に魔力を込めて、左手に移動してみる。うん、移動はできるな。


 そして息を止め、胸の中央で魔力を溜め、口の方に行くイメージをしてみる。


「ぷはぁ……」

「どうですか?」

「うん。ありがとう。参考になったよ。ごめんな、俺はもうちょっとやってみるから、ミリアも練習を続けていてくれ」

「はい、それは良かったです! それじゃ練習に戻りますね!」


 ミリアが離れたところで、再度口に魔力を込めて、試しに小声でミリアに対して発言してみる。


「ミリアがここに来る」


 前に向かって歩いていたミリアが一瞬消えて、目の前に現れた。


「うお!?」

「へっ……? あれ!?」


 成功した……が、MP消費の確認を忘れていた。


「ミリア、ボーっとしてたけど大丈夫?」

「え? あれ? はい、大丈夫? です。えっと、タカシさん、今何かしました……?」

「いや、何もしてないけど?」

「ですよね……どうしちゃったんだろう……」


 ミリアが驚いているようだ。いきなり視界が変わって、立っている位置が戻ったらびっくりするよな。

 首を傾げながら、また元の位置に戻ろうとミリアが歩き出した。流石に同じ事が二回も起こるとバレるだろうから、止めておこう。


 ミリアが移動したのを見て、石を拾いあげ、右の掌に乗せ、「石が左手に移動」と唱えると、左手に移動する。

 MPが20ほど減っている。


 使ったらいきなり失神しました、では怖すぎる。今の内に消費量を知っておかないといけない。

 今は20しか減っていないようだが、重さや距離、生物だと消費が違うかもしれないし確認しておく必要があるな。


 実験の為、両手を前に出し、二人から俺が何かをしている風を装い、MP消費量を確認してみる。


「ファラが少し浮く」


 MPの減りは20程だ。


「ミリアが少し浮く」


 同じく20しか減らない……。重さは関係ないようだ。じゃあ距離はどうだろうか。


「ファラが俺の隣に飛んでくる」

「ミリアが俺の隣に飛んでくる」


 二人がいきなり浮いてフワフワ移動を開始したことに戸惑い。その場でバタバタと上下左右に回りながら隣に移動してくる。


「うあ! ちょっと! 何、何ですかこれ!」

「わ、わわ……」


 これでも、それぞれ20しか減らないとなると、一律20なのだろうか。

 他に何か確認方法がないか考えていると、二人が俺の横に到着して同時に質問してきた。


「タカシ、新しい魔法?」

「何ですか、さっきの!?」

「ちょっと新しい魔法の練習をしてたんだよ。いきなりごめんな」


 これ、口に出すだけで何でもありのスキルだったらすごいな……。ちょっと悪戯してみるか!


「裸になる!」

「はぁ!? いきなり何言ってるんですか!」

「タカシ、どうしたの?」


・・・。


 何も起こらない。間違えたか? いや、口に魔力は込めていた。それに、MPもちゃんと20減っている。


「ミリア、裸にならないの?」

「なるわけないじゃないですか!」


 人は操作できないのか……?

 これでハーレムが作れるかと思ったのだが、そんなに甘くはないらしい。


 いや、ちょっと待てよ? 裸になるっていうのが、漠然としすぎていて効果がないだけなのかもしれない。

 裸になれ! とか、服が破ける! とかだったらいけたのかもしれない。

 言葉って難しいな。でも、ゴスロリを破くのは勿体ない。

 今度、別の実験してみよう。


「ちょっと疲れたから、先に家に入ってるな」

「え、あ、はい」

「タカシ、大丈夫?」

「大丈夫、大丈夫。二人は練習を続けてくれ」


 二人を残し、家に戻る。


 人がダメなら、物だ。今手持ちの武器にでも使ってみよう。

 ウッドソード+3を取り出し、「+4になる」と詠唱してみる。


・・・。


 ダメだ。MPは消費しているが、強化できないらしい。これが出来たら金儲けもできたのに……。

 次に、「ウッドソードがシルバーソードになる」と詠唱。


・・・。


 何も起こらない。うん、分かってたけどね!

 MPの消費は20、そして物質の変化も無理。これが分かっただけでも収獲としよう。


 次は神脚だな。

 移動が出来るのは分かっている。ただ、それが本当に早く動いているだけなのか、ワープしているだけなのかは分からない。

 ゲームでよくある、転移系の魔法として使えるのなら、かなり便利なスキルだし、実験しておこう。


 ただダンジョンから出てしまい、戻ってこれなかったら二人を置き去りにしてしまうことになる。

 それだけは避けたいので、このダンジョン内で実験だな。


 とりあえず昨日作った家に移動できるか、脚に魔力を込めて、昨日作った家に移動するイメージをする。


――シュンッ


 移動した感覚はある。だけど、家の形が少し違うことくらいしか分からないので、本当かどうか外に出て確かめる。

 うん、確かに昨日の家だ。MP消費は30か。三人だと90になるかもしれないから、今度使う時はMPに余裕を持って使おう。


 神脚は神口と違って、予想通りで良かった。

 行ったことがないところはイメージができないから、これも俺が知りうる知識通りだろう。


――シュンッ


 確認が終わったので、元の家に戻る。

 さて、後はMPが切れる寸前まで神口の確認だな。


「MPが回復する」

「HPが回復する」

「CHAの上限を解放する」

「風が起きる」

「遠くが見えるようになる」

「傷が治る」

「中級魔術が使えるようになる」

「中級治癒が使えるようになる」

「ステータスをリセットする」

「魔力が倍になる」

「魔力が上がる」

「レベルが30になる」

「魔導士になる」


 いくつも試してみた結果、色々分かった。


 MPは回復しないが、HPは回復した。でも、MPを20使ってHPが20回復。意味がない……当たり前か。

 上限解放はできなかったが、ステータスのリセットは行えた。これは嬉しい結果だ。


 ジョブを変えることも新しく取得することもできない。

 更に、スキルを増やすこともできなかったが、そのスキルと同じ効果を出せることは分かった。


 最後に、身体強化も可能なようだ。魔力を上げることは出来るが上昇率の指定はできない。


 リセットできることが分かったので、ようやく好きに割り振ることができる。

 後で二人のステータスも初期化できるか確認しないとな。ひとまずは俺のINTをカンストさせておこう。今から料理や風呂に魔法使うことになるし。


 よし、確認としてはこんなものかな。

 MPの残りが少ないなと思ったら、いつの間にか夕方になっている。


 いつもミリアに任せっぱなしでは悪いし、二人が練習している間に飯の支度でもしておこう。

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