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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
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第4話 神手

 冒険者ギルドに到着し、受付のミリアに今日の草むしりバイトのお給金をもらう為、清算してもらうことにした。


「ミリアさん、依頼で集めた素材ってどうすれば良いんですか?」

「あ、はい。ここに出していただいてよろしいですか」


 名前で呼ばれることに抵抗があるのか、ちょっと戸惑い気味だ。

 やはり苗字で呼んだ方が良いだろうか。いや、ダメだ。少しでも仲良くなる為には仕方のないことなのだ。うん。下心はないよ!


 そんな邪な事を考えながらインベントリを開き、がんばって集めてきた薬草を全てミリアの前に出す。


「す、すごいですね。こんなにいっぱい……」

「ミリアさんをびっくりさせようと、がんばりましたから!」


 折角驚いてくれたのに、ちょっと余計な事を言ったようで、少し引き攣った顔をしながら、薬草をトレイに乗せていく。


「それでは清算してきますので、しばらくお待ちください」


 逃げられた……まぁ仕方ないよね。


 しばらくして、トレイの上には薬草ではなく銀色と茶色のコインをジャラジャラ乗せて戻ってきた。


「薬草518枚で銀貨51枚、銅貨80枚です。こんなに沢山の薬草を持ってきた方は初めてでした!」


 こんな枚数の小銭なんて持ち歩くの初めてだぞ。不便だと思いながら、ポケットの中にコインを入れていく。


「どうやってこんなに短時間で500枚も集めてきたんですか? あ、この袋を使って良いですよ」

「お、ありがとうございます」


 何と答えようか。マップの緑点に行っただけとか言えないし。

 ミリアのくれた小銭入れにコインを入れつつ考える。


「えっと、森の中でたまたま群生地帯があってですね。そこで一気に収集できました! それよりも、安い宿ってないですか?」


 ちょっと言い訳が苦しいので話題を変えることにする。


「あ、はい。野兎亭という美味しい料理を出す良いところがありますよ」

「おお、助かった……野宿かと思って心配してたんですよ」


 よし、何とか乗り切れた。ついでに宿屋の情報もゲット!


 そして、ミリアに宿屋の位置を教えてもらい、明日また来るという別れを告げて冒険者ギルドを出て、目的の宿屋に辿り着く。


ミーア・ガルラ Lv.10 商人


 宿の中では元気の良さそうなおばちゃんが一人。カウンターの中に座っていたが、こちらに気が付き立ち上がる。


「いらっしゃい。泊まりかい? 泊まりなら銀貨10枚、飯付きなら12枚だよ」

「えっと、料理が美味しい宿屋ということで紹介してもらったので、飯付きでお願いします」


 そういいながら、銀貨を12枚カウンターの上に置く。


「そうかい。紹介してくれた人に礼を言っといてね」

「はい」


 ニカっと笑うおばちゃん。この人も面倒見良さそうな人だな。


「飯は食堂まで来てくれ。夕飯は日が落ちてすぐ。朝飯は日が昇って2時間くらいの間でよろしくね。それじゃ部屋に案内するよ」


 食堂と言った時の視線の先には食堂らしきところがある。食堂とはきっとそこのことだろう。

 宿の中を確認しつつおばちゃんについていく。


「アタシの名前はミーア。宿内で何か問題があれば声を掛けな」

「よろしくです。ミーアさん」


 挨拶をしていると部屋に着いた。


「それじゃ後少ししたら夕飯だから、後で食堂までおいで。これ部屋の鍵ね」

「楽しみにしてますね」


 鍵をもらう。ミーアはニカっと笑って手を振りながら去っていったので、俺は部屋に入り、ひとまずベッドに座る。


「さて……」


 部屋に入り、今日の反省会という名の現在の状況と、これからのことをひとまず考えることにする。


・お金を稼ぐ方法。

・この世界で生きるための目標や目的。

・装備の価格調査や性能の確認。

・パーティーメンバーをどうするか。

・自分が使える力の確認。


 お金がないと何もできないのは、どの世界でも同じことなんだな。

 今日一日薬草を収集して四日分の宿代は確保したが、全然足りない。数日はレベルを上げつつ依頼で稼いでいくか。


 次にこの世界で生きるための目標や目的。

 俺は望んでこの世界に来たわけだから、別に元の世界へ帰ることができなくても良い。

 だからこそ、この世界で生きていく為、まず何か目標を決めよう。やっぱり目標があると計画が立て易いし。

 その為には、ここがどんな世界なのか知る必要があるな。ミリアにでも聞いてみよう。目標はそれから決めよう。


 装備に関しては武具屋にでも行けば何とかなるだろう。これもミリアに場所を聞いてみよう。


 パーティーメンバーは、この世界に来てすぐにパーティー窓を開いた時に枠が六つあったから最大六人である可能性がある。

 他の冒険者はどうやって組んでいるのだろうか。やっぱりギルドで声を掛けたり、募集をしたりしているのだろうか。

 これもミリアに聞いてみよう。


 あとは、ステータスやインベントリなど、他にどのくらいあるのか調べて、どこまで操作できるのか確認する必要がある。

 今確認ができているのは、ステータス、インベントリ、装備、スキル、パーティー、クエスト、マップ、時計だ。

 他に何かないか今までやったことのあるゲームを思い出してみるが、出てくることはなかった。


 そういえば、最初俺のジョブは村人だったはず。

 ギルドに登録したら冒険者になったが、あれはどうなっているのだろうか。

 今まで知り合ったカッシュ、ミリア、ミーアは村人ではなかった。何かをすると転職できるのかもしれない。


 それにこっちの世界に来た時、ジョブが追加されているはずなので、そこも気になっているところではある。

 まさか追加されたジョブが村人や冒険者というわけはないだろう。


 どうやって転職するのだろう。転職、転職――などと考えていると視界に窓が出てきた。


JOB:M冒険者Lv.3 Sなし 村人Lv.1 アンノウンLv.1


 おお、もしかして自分で設定できるのか!?

 MとSは何だ? メインとサブってことなのか?


 それよりもアンノウンって……。

 多分、これが追加されたジョブだろうな。確かに異世界人かもしれないが、アンノウンはないだろうよ、自称神。

 ひとまず、Sにアンノウンが入るようにイメージ――そして、ステータスを確認してみた。


JOB:M冒険者Lv.3 SアンノウンLv.1 村人Lv.1


▼タカシ・ワタナベ Lv.3 冒険者 Rank.E

HP:340(240+100)

MP:240(240+0)


ATK:131(120+11)

MAG:120(120+0)

DEF:121(120+1)

AGI:120(120+0)


STR:5 VIT:5 INT:5 DEX:5 CHA:8 (2)


SKL:体力上昇小 神手

EQP:アイアンダガー+1 サンダル

INV:兎の肉3、兎の皮10


 何か神手とかいうスキルが増えているな。あと基本値の伸び率が激しい。これがアンノウンパワーか!

 森に居る時、攻撃力37で野兎が一撃だったから、今なら軽く殴るだけで倒せそうだな。レベル3でこれはもはやチートだ。


 そして神手が気になる。確認の意味もあり、神手を使ってみることにする。


……。


 特に何も起きない。詠唱するタイプではなく常時発動タイプなのかもしれない。ひとまずは保留しておこう。


 あとはレベルが上がったからだと思うが、基本値に割り振ることができるポイントが2つあるようだ。

 これは今振ってしまい、後でリセットができないかもしれないと思うと怖い。

 だから今はそのまま残して、レベル3のステータスだけメモしておこう。


 よし、こんなところだろう。

 結局考えた内のほとんどをミリアに聞くことになってしまった。何も知らないところから始まったんだ。仕方ない。そういうことにしよう。

 それよりも腹が減ったな。早速ミリアお勧めの飯を食べに行こう。

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