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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
4/145

第3話 時給千円

 5分ほどで森へ到着し、森に入ってからはすぐにマップの白点と緑点が重なった。


 足元を見てみると、そこら辺に生えている雑草とは明らかに違う形の草が生えていたので、それを地面から引き抜く。

 次に、インベントリの枠内へ草が入るようイメージする――草がスーっと消えていった。


INV:薬草4


 便利だなインベントリ機能。

 でも、1つしか採取していないはずなのに、一気に4つも増えているな。

 何故だ? 何が起こった? 薬草は1つで4つ扱いなのか?


 考えても仕方がないので、近くにあった同じ形の小さな薬草を再度インベントリに入れてみる。


INV:薬草6


 なるほど。葉の数か。初めは4枚の葉があったからカウントも4、次は2枚しか葉がなかったのでカウントも2というわけか。

 これならサクサク集めることができるな。まずは、インベントリ1つの枠に何個までスタックすることができるか確認しながら収集してみよう。


 と、意気揚々と採取を初めて30分――周辺の薬草を刈り尽してしまった。


INV:薬草80


 これで800銅だから8銀になるのか。何度も中腰になるのはキツイが、新参冒険者には良い金稼ぎだな!

 などとお金の計算をしていると、後ろの方からガサガサと音がした。


 何か居る! もしかしてモンスターか!?


 ダガーを鞘から取り出し、音のする方に刃を向け警戒していると、草木の間から全長40センチメートルくらいの茶色い生物が出てきた。


野兎 Lv.1


 しかも、目が合った瞬間こちら目がけて飛び掛かってきた。


 ブシュッ


「っ!?」


 前に向けていたダガーに、兎が頭から勢い良く刺さって絶命していた。


「え!? な、何これ!? セルフ串刺しっ!」


 ちょ、あっはは、馬鹿なの!? 何勝手に刺さりにきてるの!? 俺何もしてないんだけど!


 しかし、一通りコントのような状況に笑った後、スプラッターな状況を見てちょっと血の気が引いた。

 笑ってしまったけど、冷静になると、動物を殺してしまったことへの罪悪感が大きい。


 それに、ゲームのモンスターなら素材を落とすはず――でも、こいつは死んだままだ。やっぱりモンスターではないのか?

 ということは、“きゃー素敵。抱いてー”と飛んできた動物を瞬殺してしまったことになる。


 でも、あれは胸に飛び込んできたというより、襲い掛かってきたに近いけどな。

 そうすると害獣か、いやむしろ討伐のクエストがあるくらいだし、獣というよりはモンスター扱いだよな?


 そうやって死体を眺めていたが、何も起こらない。

 死体を放置して血の匂いで別の獣が来ても困るし、肉が売れるかもしれないと思い、インベントリに入れてみる。


INV:薬草80、兎の肉1、兎の皮1


 なるほど。インベントリに入れないとアイテム化しないのか! でも、これで兎がモンスターだって分かったな! 良かった!

 モンスターじゃなくてもアイテム化できるという可能性もあるが、やらなきゃやられる。仕方ない。


 あいつは俺の胸に飛び込んできたんじゃなくて、油断させて俺を仕留める気だったのだ!

 兎はモンスター。よし、決定。


 そうと決まれば、ダガーを持ってまま薬草を収集しよう。


 案の定、何度か兎が襲い掛かってきたが、モンスターだと決めつけた今では戸惑わずに討伐することができる。

 だって、刺すだけだし。


 そして気が付いたのは、皮は必ずドロップするが、肉は毎回というわけではないらしい。この情報も収獲の一つだな。


 更に30分ほど薬草を探して辺りをうろうろしていると、やっと薬草の所持数が99枚を超えた。


INV:薬草99、薬草2、兎の肉3、兎の皮10


 やっぱり99個までのようだ。1時間で約100枚か。時給千円だと思えば良いな。

 野兎をちょうど10匹倒したので、ついでにステータスも確認しておく。


▼タカシ・ワタナベ Lv.3 冒険者 Rank.E

HP:91(24+100)

MP:24(24+0)


ATK:23(12+11)

MAG:12(12+0)

DEF:23(12+11)

AGI:12(12+0)


STR:2 VIT:2 INT:2 DEX:2 CHA:2 (2)


スキル:体力上昇小

装備:アイアンダガー+1 サンダル

INV:薬草99、薬草2、兎の肉3、兎の皮10


 そこからは、たまに野兎と戯れてHPが減ってしまう程度で草むしり自体は簡単だった。

 数時間も掛けて採取した結果、薬草もある程度集まり、日も傾き始めてきたので、街へ戻ることにする。


 門まで辿り着くと、やはりカッシュが出迎えてくれる。


「おう、ちゃんと帰ってきたな。怪我はないか? ダガーはくれてやるから、自分の身は自分で守るんだぞ?」


 そう言いながらカッシュは俺の肩をぽんぽんと叩く。

 俺はカードを見せながら、適当に挨拶をしておく。


タカシ・ワタナベ Lv.3 冒険者 Rank.E


「何か困ったことがあれば、ちゃんと相談しろよ?」

「はい」


 相変わらずカッシュは心配してくれる。本当に面倒見の良い奴だ。ありがとう! 洒落は面白くないけど。

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