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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第一章
35/145

第34話 両手に華

 手持無沙汰になったところで、今日の狩りの帰り際、レベルが20になったのを確認したが、用事があったので後回しにしていたのを思い出す。

 確か予想通り新しいスキルを覚えていたんだよな。ヒマだし、少し実験でもしてみるか。


▼タカシ・ワタナベ Lv.13 魔術士 Rank.C

HP:168(168+0)

MP:323(273+50)


ATK:99(84+15)

MAG:211(189+22)

DEF:137(84+53)

AGI:84(84+0)


STR:4(+ -) VIT:4(+ -) INT:9(+ -) DEX:4(+ -) CHA:7(+ -) (19)

JOB:M魔術士Lv.13 SアンノウンLv.20 僧侶Lv.16 冒険者Lv.9 村人Lv.1 闘士Lv.1 戦士Lv.1 剣士Lv.1 射士Lv.1 神官Lv.1

SKL:魔力上昇小 初級魔術 初級魔術障壁 初級錬金魔術 初級空間魔術 初級合成魔術 神手 神眼 神脚

EQP:アイアンメイス+2 アイアンシールド+1 ハーフプレート レザーガントレット+1 レザーブーツ+1


 脚というくらいだから、足に関係があるのだろうか。足に意識を集中して、蹴り放ってみる。


……。


 何も起こらない。蹴る行為ではないのか。

 魔力はどうだろうか? 足全体に魔力を込めて蹴ってみる。


……。


 何も起こらない。何なんだろうか。足が速くなるのか?

 扉の前から廊下の突き当たりまで走ってみる。


……。


 特に速くなった気はしない。何なんだよ!

 スタミナが上がったとかなのか? でも、そんな項目のステータスないしな。

 あぁ……ヘルプ機能が欲しい。何とかならないか。


 廊下の突き当たりから、部屋まで歩きながら色々考えてみる。

 その時、部屋のドアが開き、中からミリアが顔を出していた。


「あ、タカシさん何してたんですか? 終わりましたよ」

「あ、あぁ。すぐもど……」


――シュンッ


「るぁっ!?」

「ひゃっ!」


 ミリアまで10メートルほどあったが、部屋に戻ろうとしたら、一瞬でミリアにぶつかりそうな位置まで移動していた。

 何がどうなったんだ? 脚って移動するスキルなのか?


「な、ななっ! 何ですか!? 今もがっ!」

「シーッ!」


 ミリアがドアの外に居るにも拘らず、大きな声で俺を問いただそうとしてきたので、口を塞いで部屋へと戻る。


「んーっ! んーっ!」

「タカシ。どうしたの?」


 ファラが何事か聞いてきたことで、ミリアの口を塞いだつもりが、顔が小さいことで俺の手がミリアの口と鼻を塞いでしまい、ミリアが苦しそうにバタバタしているのに気が付いた。


「ぷあっ! もう! 苦しかったじゃないですか!」

「ごめんごめん、ミリアが突然大きな声を出すからさぁ」

「もう! じゃなくて! さっきの! びゅんって!」

「とりあえず、落ち着こう? ね? じゃないとキスするよ?」


 スッとミリアが後ろに下がって警戒したのが分かった。ものすごく切ない。

 代わりにファラをこちらに引き寄せて、膝の上に乗せ、抱っこする。ファラは抵抗もせず素直に俺の成すがままで人形みたいだ。


「はぁ……。それで? さっきのは何なんですか? 何でも教えてくれるって約束ですよ?」

「さっきのはね、何て言うんだろうか。新しい魔法の研究をしてたんだ。まさか成功するとは思わなかったけど」

「あんな魔法聞いたことな……あ、いや、え? もしかして転移魔法です……か?」

「うん、まぁ、そんなところ」


 まぁ、魔法はスキルだ。アンノウンの能力もスキルだ。じゃあ同じカテゴライズだから間違いではない! うん。そうだ。今更訂正はできないし、そういうことにしよう。


「え? うそ。なんで。え? 本当ですか?」

「え? うん、嘘は言ってないけど?」


 お互いよく分かっていないようなやり取りになってしまった。


「タカシさん、空間魔術、いえ、その上の転移魔術までも使うことができるんですか……!?」

「うん。今日、川辺で休憩してる時あったでしょ? あの時、ミリアがあまりにもかわいい寝顔だったから起こさないように、空間魔術の練習をしていたんだよ」

「たった、あれだけの時間で!?」

「そうだよ? ミリアにも教えてあげようか?」


 ミリアの眼がキラキラだ。かわいい寝顔とかは華麗にスルーされている。今から教えるとなると、寝かせてもらえるかな……。

 そこでファラが気になったのか、向きを変えて横座りになり、こちらを向いて目を合わせてきた。


「二人とも魔法使えるの?」

「うん。そうだよ。あれ? 言わなかったっけ」

「ミリアは奴隷なのに。どうやって覚えたの?」


 ファラも魔法を使いたいのは本人から聞いている。だからなのか、興味津々にミリアに聞いている。


「えっと、その、た、タカシさんに……」

「タカシに? 教えてもらったの?」

「教えてもらったっていうか……その、き、きす……」

「きす? キスって、ちゅー?」


 ファラが首を傾げてチュウと言いながら唇を前に出している。このお人形さん、破壊力あるな。

 二人のやり取りに興味があるので、俺は黙って聞いておく。


「チューしたら魔法使えるようになるの?」

「ちゅ、き、キス……私はキスでしたけど、それだけじゃ……」


 ミリアが助けてオーラを出しながら俺を見てきたが、スッと目を逸らし、抱っこしているファラの頭を撫でる作業に戻る。


「タカシにキスしたら魔法使えるようになった?」

「えぇ……でも勝手にされたっていうか……その……」

「じゃあファラもする」

「でもキスだけではダメらしくて、その……えぇ!?」


 ミリアがモジモジしながら何か説明しようとしていたが、ファラは既にミリアを見ておらず、俺の首に腕を回してキスしてきた。


「あぁ! き、きき! ダメ!」

「ちゅ……んぅ……ちゅ……」

「だめだめ!」


 軽いキスだが、何回もちゅっちゅしてくる。

 それを見てミリアが、こちらに手を伸ばしてきて止めようとするが、俺等に触れる前に手を止めて悲しそうな顔をして「あぁ……」など言っている。


「ファラ。キスしたことあるの?」

「はじめて」

「そうか。じゃあ、これからは俺以外にはしちゃダメだよ?」

「わかった」

「じゃあ、ミリアが寂しそうにこっち見てるから、もうキスは終わろうね?」

「わかった」


 ファラは首に回した腕を解いて、俺の膝の上に横座りになったまま、手を開いたり閉じたりしている。

 さっきのミリアとの会話で、キスをすれば魔法が使えるとでも思ったのだろう。


「魔法使えない……」

「そりゃあ、まぁ、ね」


 無表情だけど、声のトーンが悲しそうだ。

 魔法が使えるようになることに期待していたのことが分かる。でも、そんな簡単なものじゃないんだよ。


「あと何をすれば良い? タカシになら何されても良い」

「うーん……ミリア。どう思う?」

「はぁ……もう……いいです……」


 ミリアは何かを諦めたように、ベッドに腰を下ろす。別にキスしたくらいで、そんなに落ち込まなくて良いのに。

 あれ? でもこれってヤキモチってやつか!?


「ミリア。真面目な話をするから、こっちにきて」

「はぁ……。なんですか……?」


 ポンポンと俺の横を叩き、ここに座りなさいと合図する。


「ミリアに、新しい魔法を教えようと思う。それでね、相談なんだけど」

「……何ですか? もう眠たくなってきました」

「寝ることにも関係があることなんだ。って、ほら、イジけてないでこっち向いて。ね? ちゃんと聞いて」


 ミリアが何かもうどうでもいいや的な感じになっている。そんなに俺とファラがキスしたことがショックだったのか?

 とりあえず、ミリアの頭も撫でてあげ、話を続ける。


「今後、野宿以外では寝る直前に魔法の練習をする。それも、俺が良いというまで行うこと」

「拷問ですか……?」

「違う。魔導士になりたいんでしょ? だったら俺の言う事を聞いてくれたら最年少魔導士にしてあげる。約束する」

「ほ、本当ですか!?」


 現金な奴だな。さっきまでの投げやりモードはどこに行った。


「あぁ、約束する。だから言う事を聞くように」

「分かりました!」

「それと、ファラを魔術士にする。魔法を教えるなら一緒の方が効率が良いからね」

「そういうことですか。それはもう良いです。だってどうせ、キスしたからとか言って魔術士にするつもりだったでしょうし」


 ば、バレてる!? まぁ、言い訳しないで済む分良いか。

 ミリアの許可も出たことだし、ファラを魔術士にしておこう。


「それでね? 最年少魔導士にするって約束したけど、ファラの方が年下でしょ?」

「です……よね」

「じゃあ、言いたい事、ミリアなら分かるよね?」

「はい……一緒に教えるから、ファラの方が先に魔導士になるかもしれないってことですよね……」


 さすがミリアだ。言わずとも理解するのが早い。

 それにファラは有名な魔術士家系らしいから、自信のないミリアにはすぐに分かったのかもしれない。


「でもね、互いに意識し合うのは良いけど、喧嘩とか仲が悪くなるようなら、俺は二人の魔法を封印する。ずっと使わせない」

「えぇ!? ……でも、大丈夫です。そんな事で人を嫌いになったりしません。絶対に」

「ファラもそれで良い?」

「ん。約束」


 二人が仲良くしてくれるなら俺も嬉しい。

 早速MPが切れるまで練習することにしようかね。


「それじゃ、早速魔法の練習をしてみようか」

「はい!」

「ん」

「よし、まずはファラが初めてだから、ミリアも復習を兼ねて火魔法からやってみよう」


 今日河原で俺が考えた、指先から火を出して、凝縮する練習を二人に行わせる。


――シュウウウ!


 火魔法は問題ないようだ。イメージし易いしな。

 次に物の重力を操るのか、原理は分からないが、物を浮かせる練習を行わせる。

 まずは今日作った小石で練習させることにした。


「できない」

「難しいです。どうやってるんですか?」

「んー。こう、掌の上に物があるとするでしょ?」


 絵に描いて教えることにした。


「その物は、大きさはこれくらい、重さはこれくらいってまずはイメージするんだ」

「はい」

「ん」

「それでね、それの下の部分に魔力を込めるんだよ。掌から魔力を出すイメージをする感じ。そして、その魔力が上に向かっていくイメージをするんだ」


 絵に描いたから分かり易かったのか、早速二人が言った通りの事をやっている。


「浮いた! 浮きましたよ、タカシさん!」

「できた」

「おお、うまいうまい。それで、今度は掌から離れたら、下部分には魔力を送りつつ、別の部分にも魔力を送るんだ。例えば右から魔力を送ったら、左に移動する。みたいな感じでね」


 フワフワ浮いているだけで、少し動いたと思ったら、床に落ちる。また浮かせて動いたと思ったら、床に落ちる。その繰り返しを練習させる。

 次第に横移動もフワフワ出来るようになってきた。


「タカシさん、物凄く教えるのが上手です。何かそういうことやってたんですか?」

「ん。タカシうまい」

「ううん? やったことないよ? ただ、二人にはこう教えた方が良いかなーって考えながら教えているだけだよ」


 褒められる事自体は素直に嬉しい。


「それが出来るようになったら、今度はスピードを上げて、こんな感じになるよう魔力を調整しよう」


 石を浮かせて、ビュンビュンと高速に移動させる。


「わわわ! すごい! さすがです!」

「ん。タカシ」


 ファラはさっきの褒め言葉を略したのだろうか。略しすぎて意味が分からなくなっている。


「さ、がんばれ」

「はい!」

「ん」


 練習していると、ミリアが突然ベッドに倒れた。

 恐らくMPが尽きたのだろう。今日もがんばってたからな。


「あぁ、ファラ。言うの忘れてたけど、精神力が切れたら、今のミリアみたいに突然意識を失うから、自分の精神力がどのくらい残っているか意識しながら魔法を使わないとダメだよ?」

「わかった」


 ミリアが倒れたのでステータスを確認しておく。


▼ミリア・ウェール Lv.20 魔術士 Rank.D

HP:45(45+0)

MP:0(108+100)


ATK:24(18+6)

MAG:124(90+34)

DEF:56(27+29)

AGI:18(18+0)


STR:2(+ -) VIT:3(+ -) INT:10(+ -) DEX:2(+ -) CHA:3(+ -) (19)

JOB:M魔術士Lv.20 S僧侶Lv.17 冒険者Lv.10 村人Lv.2 使徒Lv.1 商人Lv.1 奴隷Lv.1 闘士Lv.1 戦士Lv.1 剣士Lv.1 射士Lv.1 神官Lv.1

SKL:魔力上昇小 魔力上昇小 初級魔術 初級魔術障壁 初級付与魔術

EQP:ウッドステッキ+4 ゴシックロリータ ヘッドドレス レザーブーツ


 何故かミリアも使徒のジョブを得ていた。

 もしかして、条件って俺の、いやアンノウンの奴隷になることなのかもしれないな。三人目をパーティーに加える時にでも再確認しておこう。

 あと、やっぱり20になったので新しいスキルを覚えている。

 付与魔術か。名前の通り、何かに対して能力を付与したりするのだろうか。これは明日ミリアに実験させてみよう。


 念の為、それぞれのステータスを確認すると、今日の魔法の練習で、俺の魔術士レベルが1、ファラは2上がったが、ミリアは既にレベルが高いからなのか上がっていなかった。

 そこでファラのMPが一桁になっているのに気が付いたので、魔法の練習を中止させる。


「ファラ、それ以上魔法使うと倒れるよ。だから、練習はもう終わりにして寝ようか」

「ん。ファラはどこで?」


 どこ? ファラは何を言っているのだろうか。一緒に寝るのが嫌ってことは……ないよな。何かあるのだろうか?


「当然一緒に寝るけど? どうするつもりだったの?」

「ご主人様とは別の小屋とか? 床? らしい」

「そんなこと許しません。これからは、俺の横で寝ること」

「分かった」


 ファラをベッドに呼び、俺はいつものように寝る為に服を脱いでパンツ一枚になる。

 脱いだ服を畳んでからベッドに向き直ると、ファラもパンツ一枚になっていた。


「え!? 別にファラは脱がなくても良いんだよ?」

「タカシと一緒」

「あぁ、そっか。分かった。じゃあ一緒な」

「ミリアは?」


 そういえばミリアはベッドの上にぶっ倒れたままだった。

 ごめん。でも別に放置しているわけじゃないんだ。ちゃんと布団は掛けておいたし、そのまま寝かせるつもりだったんだよ。


「折角だし、皆一緒に寝よっか」

「分かった」


 そう言って俺はファラの脱ぎ散らかした服を畳んで、振り向くとミリアもパンツ一枚になっていた。


「えぇ!?」

「皆一緒。だから脱がせた」


 あぁ、単に一緒に寝るつもりだったんだけど、ファラ的には全員パンツ一枚で一緒に寝ると勘違いしたのか。

 でもまぁ、ファインプレーだファラ。ミリアの服も畳んで、三人ベッドの中に入る。


「ミリアはここに寝かせて……っと。ファラはこっちね」

「分かった」

「それじゃあ、おやすみ、ファラ」

「おやすみ」


 三人パンツ一枚で同じベッドの中、両手に華の状態で寝ることにする。


 これはやばいと感じ、空間魔術で石ころを飛ばして、MPが無くなるまで二人のプニプニな柔肌を感じながら、意識を失った。

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