第28話 魔法研究
ミリアが起きるまで、魔法の練習をすることにするか。
一通りの魔法は使ってみたんだよな。要は魔力の込め方次第って感じがする。
魔力が低くてもMPを注ぎ込めば同じ威力になるようだ。
例えば、魔力100、MP10使う魔法があるとする。ミリアの魔力が25しかなくてもMPが40あれば、その差を補える感じか。
但し、魔力が低いってことは比例して基本ステータスも低い。当然、MP自体も少なくて発動できない可能性はあるが。
今、皆が使っている魔法は過去の偉い人が最適化した結果の魔法なんだろうけど、やはり皆が同じ魔法を使っていたら面白くない。
俺だけのオリジナル魔法とか作れたら面白いだろうな。
まずは使用頻度の高い火魔法から考えてみよう。
――ボッ!
火の玉を指先に出して、意識を集中。魔力を込めてみる。
――ボウッ!
ああ、大きくなってしまった。
今度はそのまま小さくなるようイメージ。
――シュー!
ライターの火がターボライターになった感じだろうか。丸みを帯びていた炎が、鋭い尖った炎になった。
それを前方の川目掛けて飛ばしてみる。
――パァン!
水面に当たった瞬間音がして、水面に刺さって数十センチメートル水中に行ったところで消えて無くなった。
同じように、最初の火の玉を出して、水面に飛ばしてみる。
――ジュ!
水に当たった瞬間、飛散してしまった。やはり威力は上がっていると考えて良いだろう。
MPを確認してみると、鋭い炎の方が1.2倍ほど消費しているようだ。
でもこれだけだと誰でも出来る。やはり面白くない。何かこうオリジナリティを……。
あ! 火に色を付けるとかどうだろうか!?
火の玉を出して色が変わるようイメージする。
――ボッ!
色が変わらない。基本の色は赤で固定なのか。面白くないな。
そういえば、この世界の人間はあまり科学に詳しくないみたいだな。ミリアが知らないだけということも考えられるが。
昔学生の頃に科学の実験でやったみたいな、金属を燃やす炎色反応とか使ってみたらどうだろうか。
あ、でもその金属を燃やし続けないと色が戻ってしまうな。常に金属を持ち歩くとか勿体ないし。
それにこの世界にナトリウムとかカリウム、バリウムなどが売っているとも思えない。
あ、銅ならある! 銅は確か緑色に近い反応だったはず! そんな火魔法この世界で使う人居ないだろうし、何より俺は緑色が好きだ!
まさに、これは運命じゃないだろうか?
その度に銅貨を使うのは馬鹿みたいだ。しかも貨幣を一瞬で燃やすような火力なんて俺にはない。
あぁ、運命だと思ったんだがな……。
いや、待てよ? 銅がないなら銅を作れば良いじゃない!?
パンが無いならの人ありがとう! がんばってみるよ!
ひとまず土魔法で銅をイメージして指先に生成してみる。
――パキン!
茶色の土の塊が出来た。間違いなく銅ではない。これは土だ。
それもそうか。魔法で銅や銀や金が生成できてしまったら貨幣の価値が無くなるもんな。
生成するのが無理なら、初めから存在する物を分解するのはいけるだろうか。
ミリアが俺の膝の上に頭を乗せているので、自分の手を地面に当て、その手の周りだけ成分別になるようにイメージする。
成分と言っても、土の成分なんて分からないから、分かる物は成分別に、分からない物は1つの山にしておいた。
いくつかの小さな山が出来ている。白、茶、赤、黒、金、銀など色々な粉の山がある。
今度はそれらを1つ1つ手に取り、固まるようイメージして小さな玉にしてみた。
玉をそれぞれ鋭い炎で燃やしてみると、赤、青、緑、黄など様々な色に燃える。
これなら正確な虹色は無理だとしても、虹もどきが作れそうだ。虹色の炎か! 中二心が滾るな。
ひとまず、いつでも土から分解出来るように、7種類だけ番号を振ってすぐに出せるようイメージしやすくしておく。
次に土から分解して玉にするのは良いが、空中に浮かせることができない。土魔法を使って分解し丸くしたなのだけだから、当然地面に転がったままだ。
それを燃やしたとして、地面が七色に燃えているわぁ! 何て素敵なんでしょう! ってただの芸じゃねーか。
インベントリにストックしておくことも考えたが、それだとすぐに詠唱できない。
それにインベントリから出したとして、玉をばら撒いたところで、結果は同じ。それを燃やしても、結局は地面が燃えるだけだ。
あれ? そういえば火魔法や水魔法ってどうやっているんだ? 何で指先に浮いているんだ? どうやって飛ばせているんだ?
そういうものって言われたらそれまでだが、水魔法とか水がバシャーって前に飛ぶんだぞ? 物理法則無視してるじゃないか。
明らかにおかしいだろう。
試しに、水魔法で指先を水鉄砲に見立て水を前方に飛ばすイメージをしてみる。
――ビシューッ!
うん、やっぱり直進してる。一定以上飛んだら減衰して重力に負けるみたいだけど、やっぱりどうなっているのか分からない。
魔力で飛ばしているのだろうか。飛ぶというイメージが大事なのだろう。じゃあ浮くというイメージをすれば浮くのか?
作成した玉を掌に乗せ、玉の下部に魔力を集中して浮くようにイメージする。
――フワッ……
おお、浮いた!
玉を浮かせたまま、今度は玉の横に魔力を集中して飛ぶようにイメージする。
――シュッ!
おお、飛んでいった!
なるほど、イメージするとこういうことができるようになるのか。魔法すごいな!
よし、次は浮かせた状態で火魔法を使い、玉の内部から燃え上がるようイメージして更に魔力を込める。
――シュゴオオオ!
すごい! 七色の炎の矢が浮いているとか、マジで格好良い!
更にその炎を全て前方に飛ばす。
――ヒュゴウッ!
さっきと同じく川の中に飛ばしてみたら、玉があるので、火だけの時より重いからだろうか、さっきより深く水に刺さった。
これは良い! 格好良いし、何より炎の中に玉が入っているから物理的にダメージもある。
後は、玉の飛ぶ速度を上げるよう練習を行えば完璧だ。
これをセブンスバレットと名付けよう! 中二感丸出しで良いネーミングだ! きっとミリアも驚く!
命名も終わったところで、玉を生成してから、目標に着弾するまでの練習を何度か行っていたが、MPの残りが心配だったので、ステータスを確認する。
▼タカシ・ワタナベ Lv.11 魔術士 Rank.D
HP:168(168+0)
MP:191(273+50)
ATK:99(84+15)
MAG:211(189+22)
DEF:137(84+53)
AGI:84(84+0)
STR:4(+ -) VIT:4(+ -) INT:9(+ -) DEX:4(+ -) CHA:7(+ -) (18)
JOB:M魔術士Lv.11 SアンノウンLv.19 僧侶Lv.16 冒険者Lv.9 村人Lv.1 闘士Lv.1 戦士Lv.1 剣士Lv.1 射士Lv.1 神官Lv.1
SKL:魔力上昇小 初級魔術 初級魔術障壁 初級錬金魔術 初級空間魔術 初級合成魔術 神手 神眼
EQP:アイアンメイス+2 アイアンシールド+1 ハーフプレート レザーガントレット+1 レザーブーツ+1
あれ? さっきまで魔術士のレベルは10だったはず。魔法の練習をしてもレベルが上がるのか!?
でも良く考えたらそうだよな。街にはモンスターと戦った事が無さそうな商人でもレベルの高い人が居たし、そのジョブに合った行為をするとレベルが上がるのか?
当たり前と言えば当たり前だが、これは良い情報を得たな。
あと何かスキルが増えてる。さっきの練習の成果か?
玉を作って、浮かべて、燃やしながら、飛ばしたから……
成分を抽出したのが錬金。玉を浮かばせて飛ばすのが空間、それに火魔法を合成したのが合成ということなのだろう。
魔術士だけでこのバリエーション。他ジョブも色々試す必要がありそうだな。特に僧侶なんかも魔法の類だから色々ありそうだ。
後でミリアにも色々教えてあげよう。
ステータスの確認も終わり、MPに余裕があったので玉を飛ばす練習に戻る。
目で追えない程度の速度になったところで、ミリアが目を覚ました。




