第14話 条件設定
今日は物凄く経験値が稼げたようで、一気にレベルが上がった。今現在はこんな感じだ。
▼タカシ・ワタナベ Lv.9 冒険者 Rank.D
HP:340(240+100)
MP:240(240+0)
ATK:131(120+11)
MAG:120(120+0)
DEF:121(120+1)
AGI:120(120+0)
STR:5 VIT:5 INT:5 DEX:5 CHA:8 (8)
JOB:M冒険者Lv.9 SアンノウンLv.7 村人Lv.1
SKL:体力上昇小 神手
EQP:アイアンダガー+1 サンダル
INV:なし
GLD:白貨0、金貨0、銀貨46、銅貨100
▼ミリア・ウェール Lv.7 冒険者 Rank.E
HP:154(54+100)
MP:149(99+50)
ATK:27(27+0)
MAG:82(72+10)
DEF:31(27+4)
AGI:27(27+0)
STR:3 VIT:3 INT:8 DEX:3 CHA:3 (6)
JOB:M冒険者Lv.7 S魔術士Lv.7 村人Lv.2 商人Lv.1 奴隷Lv.1
SKL:体力上昇小 魔力上昇小
EQP:布の服 布の靴
INV:なし
GLD:白貨0、金貨0、銀貨4、銅貨6
ミリアのレベルも上がっているので、パーティーは組んでいるだけで経験値の恩恵があるようだ。
「ミリアはどんなジョブに就いてみたい?」
「えっと……魔術士です」
もう既に就いてるけどね。
でも、まだそれを伝える訳にはいかないな。俺のスキルが、まだどのようなものか分かってないし。
「そっかぁ。何か理由でもあるの?」
「私……実は人族ではないんです」
「うん、それで?」
「えっ!? ……驚かないんですか!?」
「何で? 耳の形とか肌の色とか少し違うの分かってたし、別に驚く要素ないと思うけど?」
何だろうか。魔族って嫌われてるのか?
別にミリアはミリアだし、可愛ければ種族とか関係ないと思うのはこの世界の住人ではない俺だけなのだろうか。
「その……ありがとうございます」
「えっと、俺は種族なんでどうでも良いよ? 今日森で言った通り、世間の常識なんて何も知らないから……知ってた方が良かった事なのであれば、ごめんね?」
忘れてた。俺はそういう設定だったのだ。先に言っておけば問題ないだろう。
「い、いえ! 私こそ、勝手な思い込みで……その、ごめんなさい!」
「だから、お礼とか謝罪はいいって。俺たちの間では、そういう他人行儀なの無しだからね? 気を使って疲れちゃうから」
「はい……気を付けます」
狼と戦って以来、何とか俺の名前を呼んでくれるようにはなったけど、まだ壁があるんだよなぁ。
「普段のように、元気に突っ込んでくれてる時のミリアは何処にいったのさ」
「あれはっ! タカシさんが変な事言うからでしょ!?」
「変な事って何だよ。俺、本音しか喋ってないよ?」
「だって! 私のことかわ、か、かわいい、とか、彼氏だ、とか!」
「彼氏っていうは、俺の願望だからいいじゃん。それにミリアがかわいいのは、周知の事実だし?」
「う、うぅぅ……」
すぐ赤くなるなぁ。よし、これを赤ミリアと名付けよう。
「それで、話を戻すけど、魔族だから魔術士になりたいっていうのは、種族的な何かがあるの?」
「はい。魔族は昔から、魔術士を輩出した一族は階級が上がるんです。だから皆、魔法習得に積極的なんです」
「そうなのか。ミリアが使ってるところ見てないけど、まだ覚えてないのかな?」
ジョブがないから使えないのは分かっているが、あえて聞いてみる。
「私の一族は、体が小さいので近距離戦闘はあまり得意ではなくて、魔法が得意なんです。でも、私は小さい頃から魔法が使えませんでした」
「そうなのか。でも、これから使えるようになるかもよ?」
「はい。でも、いくら訓練しても使えませんでした。そのせいで家族からも階級が下がるかもしれないと、厄介者扱いされていました」
「ひどいな。ただ魔法が使えないだけで、そんな仕打ちなの!?」
「はい。魔界というのは人間界と比べてモンスターも強くて、階級の高い一族が討伐することになるんです。だから、私のような者は足手まといないんです」
弱肉強食の世界と言っても、ちょっと成長が遅いだけなのかもしれないのに、それだけで厄介者扱いなんてひどいな。
「それで、厄介者を理由に、奴隷として売られてしまいました……」
「ひどいな。だから、魔法を使えるようになって、家族を見返してやりたいの?」
「いえ、結局奴隷として売られちゃいましたけど、私を産んでくれたからこそ、今この幸せがあるので、感謝はしてるんです」
ええ子やぁ。奴隷として売られたのに、恨んでなくて、しかも、産んでくれたことに感謝してるとか……泣ける。
「分かった! そういうことなら、俺がミリアを魔術士にしてあげる! それで、元両親にご挨拶に行こう!」
「えぇ!? ムリ! 無理ですよ! というか、ご挨拶って何ですか!」
「私たち、結婚します。産んでくれてありがとう! って」
「なっ、何バカなこと言ってるんですか! しませんよ!?」
暗い雰囲気になってしまったので、ふざけて誤魔化したが、少しでもミリアの力になってあげたい。
でも単に力を与えるだけでは、周りにバレた時にまずいな。
力を与える為に何か条件があるとすれば、万人に使える能力ではないということになるし、もしバレたとしても幾分かマシだろうか。
一応ハーレムを目指しているわけだから、俺とエッチな事をすれば……いや、これだと直球すぎるな。じゃあ恋人、結婚……いまいちだな。
俺がいきなり黙り込んだことに疑問を持ったのか、ミリアが不安気に尋ねてくる。
「あの、どうしたんですか?」
「あぁ、いや、ごめんごめん。ちょっと考え事」
「どうせ、また私をからかうようなことを考えてたんでしょ!」
これだよ。このイチャイチャ要素を盛り込むには、どうのように条件設定したら良いだろうか。
出来なかった時の事を考えて、誤魔化しの効く設定が良いな。
俺と仲良くなれば力を授けるとか……宗教みたいだな。うーん。
俺と一定以上親しくなると力を授ける、渡す、与える、恩恵……これだ!
「ミリア」
「なっ、なん、ですか? いきなり」
「ミリアが過去の話をしてくれたこと、嬉しく思う。少しずつだけど、俺に心を開いてくれていることを感じるよ。ありがとう」
真面目な顔をして、これから大事な話をしますオーラを出す。
「え……あ、はい。でも、どうしたんですか……?」
「ミリアにだけ、俺の秘密を一つ話しておこうと思うんだ」
「はい、どんなことなんですか? そんな真剣になるような話なら、ちゃんと聞きます」
真剣な話じゃないと聞いてくれないのかよ。まぁ、良い。
これからミリアは、俺を意識し始めるはずだからな!
「えっと、俺にはね、ちょっとした力があるんだ。でもあまり他人には言えない力なんだよ」
「確かに初心者でウルフの群れと戦えるくらいの人なので、何かあると思っていましたが、気になります。なんでしょうか?」
「俺とね、一定以上親しくなったり、俺に一定以上の好意を持ったり、心の距離が近い者にのみ、恩恵を与えることが出来るんだ」
「そんな出来過ぎた話があるわけないじゃないですか。神様でもないのに」
いや、俺は神と繋がりあるんだけど。とは言えない。
もちろん最初は信じてもらえないのは分かってる。計算通りだ!