第46話 決闘
屋敷に戻ってから、皆ドレスに着替えさせる。
ドレス一式を買ったので、かなりの出費だった。折角手に入れたダンジョンの報酬が、ほぼ無くなってしまう程だ。
今考えると凄い額だよな……これで奴隷が何人買えただろうか。
そんな事を考えつつ、別に購入していたタキシードのような服に着替え、皆を待っていると、順に部屋から出てきた。
「……」
「あの、タカシさん……何か言ってくださいよ」
「すまん、見惚れていた。綺麗だ……」
「うぅ……こんなの着るの初めてで、恥ずかしいです……」
ミリアのドレス姿、すごく綺麗だ。似合っている。
お金が、お金が、などとケチ臭い事を考えていたが、ミリアの姿を見たら、どうでも良くなった……。
それほどまでに、美しい。
「タカシ」
「ん? おぉ……」
「どう?」
「可愛いぞ……」
ファラも可愛らしい。少し、大人の雰囲気が出ているところが、また愛らしい。
二人が出てきた後、ゾロゾロと皆一斉に出てきた。
何故、ミリアとファラだけ一人ずつ出てきたのだろうか?
「お前達も、凄く可愛らしいし、美しいな。似合っているよ」
「えへへ……そうかな?」
「タカシ様、ありがとうございますです!」
「ボクは、本当に似合っているのだろうか……」
「ふふん、みゅは何を着ても似合うですよ」
「あわわわっ、お、おち、おちちゅかないしゅ」
「フッリフリだよ、ボス!」
「へへーん、可愛いでしょー、ボス!」
「恥ずかしいです、ご主人様……」
「アルメちゃんは可愛いじゃろう?」
これだけの美少女達が、ドレス姿で一堂に会しているというのは素晴らしい光景だな。
何か俺だけ場違いのようだ。
「お前達、そこに一列に並んでくれ」
「ん?」
疑問はあるようだが、皆整列してくれる。
椅子から立ち上がり、ミリアから順にネックレスを付けていく。
「あの、これは……」
「皆それぞれに合うだろうと、俺が選んだネックレスだ」
どのドレスも胸元が開いているから、アクセサリーが目立って、良いアクセントになっている。
ランはチョーカーを付けていて、少し目立ち過ぎているかもしれないが、それでも似合っているな。
「ありがとうございます……大事にしますね!」
「タカシ好き」
「タカシ様からのプレゼント……素敵です……」
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「ボクには勿体ないほど綺麗だ……ありがとう!」
「はわわ……う、ウチ……ウチ……ッ」
「あ、あり……とぅ。ふんっ、エロ魔王も分かってきたですね!」
「ボスからプレゼントだなんて感激だよ! ありがとー!」
「これでアタシもボスのお嫁さんだ! 大事にするね!」
「ふふふ……どうじゃ? やっぱりアルメちゃんは可愛いのう!」
「あの、あ、ありがとうございます。ご主人様……」
プレゼントで喜んでくれるなんて、やっぱり皆女の子だな……。
プレゼントして本当に良かった。
「皆、本当に似合っているぞ。よし、見せびらかせに行こうか!」
「はい!」
皆に抱き付かれ、サラの部屋まで転移する。
――シュンッ!
流石にドレス姿のままで、皆で門の前に転移するのは場違い感があるだろうと、サラの部屋に飛んで来たが、まさか下着姿とは……。
そのサラの姿を見て、咄嗟にジジイの目を隠そうとも思ったが、今日くらいは良いか。
「はぁ……タカシさん。乙女の部屋――しかも王女の部屋に無言で入るのは、如何なものかしら……」
「キレイだよ」
「なっ、も、もうっ! 誤魔化さ……あぁ、これがミリアちゃんの言っていた、いつもの誤魔化しってやつなのかしらね」
「何だよ誤魔化しって。素直な感想が口から出ただけだぞ?」
「はぁ……とにかく、外に出ていてくださらないかしら? この子達も怖がっていることですし」
確かに侍女たちは驚いて固まっている。
突然部屋に十二人も現れたら驚くよな……悪い事をした。
「分かったよ。おいラン。案内しろ」
「はーい。それじゃあ、またね、お姉ちゃん」
「はい。タカシさんの事、よろしくね」
「もっちろんだよ!」
サラには手を振り、ランを先頭に部屋を出て行く。
「おう、だ、旦那!? い、いつの間に!?」
部屋を出ると、ガルミが待機していた。護衛だろう。
「ガルミか。ご苦労。ん、お前は正装しないのか?」
「オレは護衛だからな。これが正装みたいなものなんだぜ?」
「そっか。可愛い恰好をしたガルミが見たかったんだが、残念だ」
「か、かわっ!? からかってんじゃねえ! オレはしないぞ?」
「似合うと思うんだけどなぁー。はぁ……残念だ」
「くっ……そ、そんな事言っても……。うぅ、くそっ!」
「今度、俺が用意した服を着てみてくれよ。絶対、可愛いから」
「わ、分かったよ……そ、そこまで言うなら仕方ねぇな」
こいつもチョロいな。
仕事中のようだし、からかうのは、このくらいにしておこう。
今度可愛い恰好をさせるという約束をして、移動を再開する。
「多分、ここだと思うなー」
ランに案内され移動した先は、先日食事をしたところとは違い、更に大きなホールのようなところだった。
既にかなりの数の人が居る。
テーブルの数もそれなりで、様々な料理が並べられている。
皆立って話をしているし、立食形式のようだ。
ホールからは、直接隣の庭に出られるようになっており、庭にもいくつかテーブルが並べられている。
「広いな。人も多いし、何が始まるんだ?」
「さぁ……パーティーだとは思うんだけど、普通なら何日も前から招待状を送ったりするのが常識だし、今日みたいに、いきなり開催っていうのは初めてかな。だから何が始まるのか分かんないや」
「祝賀会とは聞いていたが、まさかこんなに人が多いとは……もう帰ろうか。満足したし」
「えー。折角来たんだし、何か食べて帰ろうよー」
「そ、そうですよ、タカシさん! 折角ドレスまで着たのに……」
そうか。折角着飾ったんだもんな。
もう少しだけ、この場の雰囲気を味あわせてあげよう。
「これはこれは、ラン様。お久し振りでございます」
「え、あ、うんー。久し振りー」
何かイケメンがランに話し掛けてきた。
身なりは良さそうだが、貴族か?
――誰だそいつ?
――――えっと、はは、覚えてないや。誰だろう?
話し掛けたのに忘れられているとか、可哀想な奴。
それにしても、王族って大変だな。
「本日はお招き頂戴いたしまして、感謝しております」
「ううん、別に良いよー」
「本日、何か重大な発表があるとお聞きしたのですが、どのような事なのでしょうか?」
「知らないや。ランも突然今朝呼ばれただけだしー」
何だ、この会話の温度差は……。
ランの素を知らない人から見たら、王族故の余裕と見えるのか?
「左様ですか。失礼いたしました。して、そちらのお方は……?」
「あ、おにい、じゃないや、この人はランの旦那様だよー」
「そうですか、旦那、だん? 旦那!? そ、そんな! い、いつご結婚されたのですか!?」
「へ、結婚はしてないよー?」
現在、会場に居る王族はランだけのようだし、イケメンの会話に聞き耳を立てていた周囲の人達が、ざわつき初め集まってきた。
俺の事を紹介して欲しそうにしているが、無視だ無視。
面倒な事しやがって……お仕置きだな。
――ラン、余計な事を言うなよ?
――――え、余計な事だっけ、あ、余計だね!?
気が付いたか。やっぱりバカだな……。
皆を集めて内緒話をする。
「ランのせいで、面倒な事になりそうだ。俺はあっちに居るから、皆好きに食べ歩いていいぞ」
皆、このような場に慣れていないだろうが、俺も慣れていない。
全員オドオドして戸惑っているが、好きにやらせよう……というより、俺が動きたくないだけだ……。
――ラン、お前のせいだからな。ウチの連中、全員の面倒を見ろ。
――――うぅ、ごめんなさい。何すれば良いかなー?
――食べ物、飲み物を中心に、全員が楽しめるよう、リードしろ。
――――はーい!
ランに指示して、皆から離れ、メイドさんから飲み物だけを受け取り、壁際に並べてある椅子に座る。
さっきの挨拶のせいでチラチラと視線を感じるが、全て無視だ。
改めて参加者を確認すると、貴族ばかりのようだ。
とても高そうなドレスにいくつものジュエルを身に付けていて、街中で見掛ける人達とは、雰囲気からして明らかに違う。
賢者を使って、体の隅々まで確認してみるが、街中に居る子達の方が健康そうで、俺は好きだな。
参加者全員の裸体を脳裏に記憶していると、ファラが皿に沢山のデザートを乗せて近付いて来た。
「どうしたんだ? 皆と一緒に楽しんでこい」
「タカシと居る」
「そっか」
となりの椅子にデザートの皿を乗せ、俺の膝に座ってきた。
「美味しいお菓子、見つかったか?」
「これおいしい。ん、あーん」
「あーん」
スプーンに乗ったデザートをファラに食べさせてもらう。
柑橘系のムースかな……確かに美味しい。
「あーっ! ファラ姉ずるい。アタイもボスに食べさせる!」
「ちょっと、パル! アタシが先だよ!」
食べ物を乗せた皿を持って、次々と皆が集まってきた。
「お前達、俺の事は良いから楽しんで来い」
「何か、その、場違いっていいますか……恥ずかしいので……」
「そっか……」
皆から順に一口ずつ“あーん”をしてもらうが、デザート、肉、野菜、デザート、麺、デザート、めちゃくちゃだ……。
行為自体は物凄く嬉しいけれども、せめて、統一してくれ。
それにしても、何だこれ……何故こうなった……。
周りを見てみると、注目の的じゃないか……。
あまりにも注目されてしまったので、帰ろうかとしたところで、サラが現れた。隣にはガルミが居る。
「ふふ、やっぱりタカシさんは目立つわね」
「旦那、注目の的だな!」
「お前達まで来てしまったら、更に目立つじゃないか!」
「いいじゃない。私も仲間に入れてちょうだいよ」
「オレは仕事だし、勘弁してくれよな」
そう言って、サラがマルカから皿を受け取る。
「はい、あーん?」
「お前もか……」
“あーん”は良いとしても、またデザートの後に肉かよ……。
でも、無視するわけにはいかないので、食べさせてもらう。
しかし、その行為のせいで周囲のざわめきが更に大きくなった。
「ふふふ、注目の的ね……」
「それもこれも、お前達のせいだろうが。俺は何もしないからな。お前達で何とかしろよ?」
サラとランには特に強く言っておく。
「ランも何かしたのかしら?」
「あぁ、俺の事を旦那様とか紹介しやがった」
「ラン、卑怯ね……じゃあ、私は肉奴隷とでも言おうかしら?」
「やめてくれ」
「うふふ、冗談よ」
そんな冗談を言い合っていると、会場がいきなり静かになった。
どうやら、王が来たようだ。王妃とアバンも居るな。
「あら、ごめんなさい。行かなくちゃ……帰らないでね?」
「分かったよ」
「行ってくるわ。ガルミはここに居て頂戴」
「おう」
王が何かを喋るからだろうか、会場に集まっていた人達は、全員前の方に集まって行った。
「あの、タカシさん。私達は行かなくて良いんですか?」
「構わん構わん、どうせ長ったらしい挨拶だろうし」
「タカシ、とってくる」
「おう、今の内に行って来い」
ファラが膝から降り、空になった皿を持って誰も居ないテーブルに向かって行った。
こういう時はアクティブなんだよな。
「ご主人様、飲み物でも持ってきますね」
「あぁ、ありがとう、ソシエ」
移動したファラの後を追って、ソシエが飲み物を取りに行った。
ファラの面倒を見てくれているのだろう。良い子だ。
それにしても、王の話は長いな……。
そんな事を思いながら、王の方を見ていると、突然目が合った。
次の瞬間には、前方に集まっていた人達が一斉にこちらを向く。
何だ……何なんだ……。俺達を紹介でもされたのか?
しかも、全員俺達に向けて拍手なんかしやがって……。
くそっ……面倒な……もう帰ろうかな……。
また王の話が始まったようで、その話を聞いている人達が全員、前を向いた。
チャンスだ。
「よし、今の内に逃げるぞ。付いて来い」
「おい、旦那! 姫さんに帰るなって言われ……」
「いいんだよ! 移動するだけだ。ほら、来い」
皆を連れて、こそこそと庭に移動する。
移動中、王達の視線を感じたが、無視だ無視!
庭は騎士団が警護しているようで、どこに座ろうか悩んだ結果、隅の方で俺を睨んでいる女の子が居るので、その近くにする。
その女の子を真後ろに、近くにあるテーブルをいくつか集めて、皆で座る。
テーブルを集めている間、チラっと女の子を見たが、やはり俺を睨んでいるようだ。
「おい、ガルミ。食事を持って来てくれ」
「何でオレなんだよ! 自分で行けば良いだろう!?」
「うるさい、俺は今あまり機嫌が良くない。行ってこい。命令だ」
「あ、あにょ! う、ウチも行きます」
「ありがとうな、マルカ」
「なっ!? 何かマルカとオレの扱い違くないか!?」
「うるさい、早く行け」
「くそっ……分かったよ……」
ガルミとマルカが会場に戻り、それにミュウが付いて行く。
三人居れば皆の分は足りるだろう。
「ところで、ラン。お前は王の所に行かなくて良かったのか?」
「知らない。呼ばれてないし、いいんじゃないかなー?」
「そっか、お前、家族から疎まれているもんな」
「えっ……」
本気で驚いているな……でも、間違いではないかもしれない。
ランだけ呼ばれていないしな。
そうやってランをからかっていると、アバンが現れた。
「タカシ様、よろしいですか?」
「えぇ、どうしたんですか、アバンさん?」
「只今ダンジョン攻略の報告をしているのですが、攻略した際に、何か証拠となるようなアイテムは無かったでしょうか?」
「証拠になるアイテムか……あぁ、ランが装備してますよ」
「おぉ、少しだけ皆様方にご紹介してもよろしいですか?」
「構いませんよ。おい、ラン。お前行って来い」
「えー。だってラン、パパ達から疎まれてるんでしょ?」
「あれは嘘だ。お前が必要なんだってよ」
「もーう。パパもママもしょうがないなぁ……」
そう言いつつも、ダンジョン内で手に入れたガデルクロウを装備しながら、ニヤニヤして立ち上がる。
仕方のない奴だな……。
「それと、申し訳ないのですが……皆様の事も紹介したいのです。少しだけお時間よろしいですか?」
「ほら、ミリア達も行っておいで」
「いやいや、あの、タカシ様も、なのですが……」
「いくらアバンさんのお願いでも、それは無理です。ミリア、今はお前が家長だ。頼んだぞ?」
「えぇっ!? ちょ、ちょっと! 何で私なんですか!」
「むぅ……そうですか……分かりました。仕方がないです。では、ミリアさんお願いできますか?」
「えぇ!?」
「ほら、お前達も行ってこい。俺はここに居るから」
皆アバンに連れられて行く。計画通りだ。ガルミ達が戻るまで、一人の時間を作ることができた。
後は、後ろの女の子に話し掛けるタイミングを見つけるだけだ。
タイミングを見計らっていると、食べ物を集めていたガルミや、マルカ、ミュウ達も連れて行かれた。
ナイスだ、アバン!
「あ、あの……」
「ん?」
良しきた! まさか向こうから話し掛けてくれるとは。
「あなた様が、ワタナベ様ですの?」
「そうだけど、キミは?」
「ワタクシは、ベル・ファ・フォードと申します。ガルミお姉様の下で働かせていただいておりますわ」
「ファ?」
「えぇ、ワタクシ、精霊の加護を受けております故」
ミドルネームがある人物は久し振りなので、反応してしまった。
加護を受けたらミドルネームが付くのか? 貴族や王族にミドルネームが付くモノだと思っていたのだが……。
それにしても、ベルちゃんか……。猫族だろうか?
可愛い耳と尻尾をピクピクさせ、露出の多い鎧を着ている。
銀髪の縦ロール。いかにもプライドの高そうな子だな。
あぁ……そのプライド、粉々にして屈服させたい……。
「ほう……加護か。見せてくれるか?」
「もちろんですわ」
加護の事を知っている風に、偉そうな口調で話を続けてみたが、上手くいったようだ。
ベルちゃんが、掌に炎を出し、自慢気に見せてくれる。
獣人なのに魔法が使えるのか。やるな……。
「いいじゃないか。流石、“ファ”を名乗るだけある」
「恐縮ですわ」
「話が逸れてすまない。俺に何か用か?」
「えぇ、お姉様がお慕いしておられる方に、一言物申したく」
「お、ガルミ、何だかんだ言って俺の事を慕ってくれていたのか。嬉しいね。それで、一言って何だ?」
「いくら貴方様が有名な方であろうと、お姉様は渡しませんわ!」
百合かよ……これは、からかい甲斐がありそうだな!
良い暇つぶしになりそうだ。
「ほう、ガルミは俺のモノ、と言ったらどうするんだ?」
「くっ……」
「わざわざ俺に声を掛けてきたんだ。覚悟は出来ているんだろう?」
「も、もちろんですわっ!」
これは良い……。
このやり取り、ゲームや漫画の中で得た知識通りの展開だ。
「ここは場が悪いな。移動するか」
「そ、そうですわね……」
立ち上がり、移動するフリをして、ベルが後ろを向いた瞬間に、彼女の肩に手を乗せ、ウチの庭に転移する。
――シュンッ!
「なっ!?」
「ここなら邪魔は入らないだろう」
「えっ、えぇ、そ、そうですわね」
突然の転移に驚いているな。
「警護中に私用で抜け出しても良かったのか?」
「別の者に代わりを頼んでおりますわ。何の問題もありません」
「それで、キミは俺に何を要求するつもりだ?」
「今後一切、お姉様――いえ、城に近付かないでくださいまし」
「良いだろう。それだけで良いのか?」
「そ、それで、結構ですわ!」
見ず知らずの子に、何で俺はここまで嫌われているんだよ。
百合の、いや、思い込みの成せる業なのかね……。
何か一方的に嫌われるというのも、結構ダメージが大きいな。
もう少し煽ってやるか……。
「これは、決闘なのだろう? 俺が負けたら、それだけではなく、この街から出て、二度と近付かない事を約束しようではないか」
「良いでしょう」
「但し、俺が勝ったらお前は俺の配下になれ。絶対服従の奴隷だ。騎士団も辞めてもらおう」
「わ、わかり、分かりましたわ」
ガルミの部下だ。まず負ける事はないだろう。
プライドを粉々にする為にも、一方的に勝つ必要がある。
力の差というものを見せてやるか……。
「いいぞ。どこからでも掛かって来い」
「なっ!? 武器も持たずに、バカにしてますの!?」
「お前程度、これで十分だ。ほら、掛かって来い」
「くっ……このぉっ!」
剣を抜き、上段から斬り掛かってきた。
転移でスッとベルが居た位置に移動する。
「どうした、その程度で俺に勝てるとでも思ったのか?」
「はぁぁっ!」
今度は火の玉を飛ばしてきたので、障壁を作り無効化する。
「お前は何がしたいのだ? ダンジョンのモンスターより弱いな」
「お姉様は渡しません! たあぁぁぁっ!」
また斬り掛かってきたので、転移で避ける。
「せいっ、やぁっ、ふんっ!」
同じ手は通じないようで、避けた場所に先回りし、連続で攻撃を仕掛けてきた。
動きは中々良いが、ガルミ程ではない。
身体強化を施し、それら全てを素手で弾いて見せる。
「なっ、す、素手で!?」
「暇潰しにもならんな。もう飽きた。バインド」
「きゃうっ!?」
地面に張り付けさせ、武器を奪う。
「か、返しなさい!」
「そんな恰好で良く言えるな。まだ実力の差が分からんのか?」
「ぐっ、こ、このぉ……」
力を入れ立ち上がろうとするが、無理のようだ。
奪った剣で、鎧のつなぎ目を破壊し、脱がしていく。
「ほう、ガルミには及ばないが良い体をしているじゃないか」
「なっ!? げ、下衆がっ! お姉様もそうやって……くっ」
下衆とか言いながら、泣いているじゃないか……。
そんなにガルミの事が好きなのか。
傍から見ると、俺は確実に悪者だよな……演じているとはいえ、少し可哀想になってきた。
「スリープ」
「……」
眠らせてから屋敷に連れ込んで、テーブルに寝かせて全裸にし、奴隷にする。
奴隷の設定などは良く分からないので、全て上限値にしておく。
それにしても、何かイケナイ事をしているようだな……。
急展開ではあったが、決闘を申し込んできたのは向こうだから、これは仕方が無い事なのだ。
殺さなかっただけ、マシだと思ってもらおう。
あとはアバンやガルミへの、説明をどうするか、だ……。
決闘を挑まれて勝ったから、奴隷にした……で良いかな?
そうだ。サラから、報告も兼ねて、一言付け加えてもらうか。
――サラ、聞こえるか? 今、大丈夫か?
――――あら、タカシさん? どうしたの?
――今な、騎士団の奴から決闘を申し込まれて、叩きのめした。
――――な、なな、なっ!?
――それでさぁ、殺さない代わりに、強制的に奴隷にしたんだよ。それで、こいつを騎士団を抜けさせたいんだが、良いか?
――――ちょ、ちょちょっと待ってもらえるかしら、ほ、本当に、騎士団の人なの!?
――ガルミの部下、らしいぞ。
――――はぁ……騎士団で決闘、しかもタカシさん相手だなんて、それだけでも処刑モノよ……。
――処刑にするくらいなら、俺に、というか、もう、俺のモノだ。だから、アバンさんやガルミに一言頼む。
――――分かったわ。アバンには伝えます。迷惑掛けてしまって、ごめんなさいね、タカシさん……。
――気にするな。助かるよ。
よし、こんなもんか。
殺すつもりなんて初めからなかったが、良い流れになったので、良しとするか。
さて、俺もそろそろ戻らないとな……。
ベルは、スタイルからして、パルやパロの服なら合いそうだ。
ただ、ドレスなんて物は無いからな。それっぽい、ゴスロリでも着せておくか。
銀髪縦ロールのネコ娘にゴスロリ……アリだな。
それにしても、何だったんだこいつは……。
まぁ、良い子にしていたら、ガルミと二人きりでイチャイチャが出来る空間でも作ってやるか。
マナポーションを飲み、服を着せたベルと共に元の場所に戻る。




