第45話 買い物
翌朝。
朝食後、皆には適当に寛いでもらいながら、その間に早速千里眼の練習を行う。
「タカシさん、さっきから目を瞑って何をしてるんですか?」
「おう、ミリアか。今日も可愛いな。大好きだぞ」
「何でそう、次から次に適当な事が口から出てくるんですかね……せめて、目を開けて、私の顔を見てから言ってくださいよ……」
そうだ。今は千里眼で、街の通りを歩いている可愛らしい獣人の女の子を視ているんだった。
決して、幼女ではない。単に体が小さいだけの女の子だ。
「ミリアからは、可愛い匂いがするからな。匂いで分かる」
「またそんな適当な事を……って、私臭います!?」
「気にするな。俺はミリアの匂いが好きなんだから」
「もう……」
ミリアと適当な会話をしていると、袖を引かれる――ファラだ。
「もちろん、ファラの匂いも大好きだからな」
「ん」
ファラの肩に顔を埋め、スンスンと匂いを嗅ぐ。
「お兄ちゃーん。ランは?」
「お前は結構だ」
「ひどいっ!?」
声のする方に掌をかざして、断っておく。
今、ランの匂いなんて嗅いでしまったら、止められなくなる。
ナニを、とは言わないが。
「それで、また誤魔化されましたが、結局何してるんですか?」
「ダンジョンで精神力が尽きるっていう悔しい思いをしたからな。精神集中の修行中だ」
「え、目を瞑ってファラに変態行為をすることが……ですか?」
「そうだ」
「ん」
何故ファラが得意げになっているか全く理解出来ないけれども、そういう事にしておこう。
“修行”で思い出したが、ルリアも外で鍛錬しているんだった。覗いてみるか。
一度目を開き、千里眼をリセットした後、再度目を瞑る。
千里眼の練習を行って気付いた事は、目を瞑っている間は高速で移動し、好きな場所を視られるが、目を開けてしまうと、千里眼がリセットされ、自分が立っている場所の上空に戻ってしまう。
その為、遠い場所を視に行きたい時は、千里眼で移動している間ずっと目を閉じていないといけない。
使用中の体は無防備だが、それだけでこの性能だ。その程度は、軽いリスクだろう。
庭を見てみると、ルリアは型の稽古をしているようだ。
しばらく見ていたが、基本的に同じ動作をしているだけであり、見ていて楽しいモノではない。
そのまま、千里眼で街中まで道草をしながら移動する事にした。
特に人は居ないが、使われていない建物や田畑あるので、それらをじっくり観察しながら、この世界の勉強をする。
暫く道なりに進むと、見た事のある恰好をした獣人が、馬に乗り走ってきていた。
馬が走ると、胸がバインバインとなるあの摩訶不思議なおっぱいちゃん――獣人は、間違いなくガルミだ。
屋敷にはすぐにでも到着する距離だな。
目を瞑りながら、ガルミの胸を視つつ、ファラを膝から下ろし、屋敷の玄関前まで移動する。
手探りで歩いて移動しているので、ぎこちない。
「な、た、タカシさん? どうしたんですか?」
「あぁ、客だ。ガルミが来た」
外からは、既に馬の走る音が聞こえてくる。
「何で分かるんですか!? あ……やっぱり、目を瞑っている事に何か関係があるんですね!」
「ないよ」
「馬の走る音だけ人物で分かるわけがないじゃないですか! また何か、新しい実験でもしているんでしょ!? 教えてください!」
相変わらず勘が良いな、こいつ……。
まぁ、俺の怪しい動きからしてバレバレではあるが。
「集中して、周りの人の魔力を感じ取っていたら、ガルミの魔力が近付いてきていただけだよ」
「何ですか、その達人みたいな察知の仕方は……」
「達人だからな」
「もう……」
納得はしてもらえなかったようだが、引き下がってくれた。
ミリアの中で、何となく理解したのだろう。
そんなやり取りをしていると、勢いよく“バーン”と扉が開き、屋敷にガルミが入ってきた。
「旦那ーっ! オレだ! いる、うおっ!?」
扉を開いたら、正面に俺が待ち構えていたので驚かせてしまったようだ。
「何だ、びっくりするじゃねーか。来たぜ!」
「お前は騒がしい奴だな。もっと静かに入って来れないのか?」
「オレはこれが普通なんだ!」
「はぁ……それで、何しに来たんだ?」
「お礼を言いに来たんだ!」
「お礼? まぁ、良いや。とりあえず座れよ」
お礼とはダンジョン攻略の事だろう。
テーブルまで案内し、座らせ、俺も膝にファラを乗せ、座る。
「それで、俺のモノになる決心でもついたのか? それとも、俺にナニかしてくれるのか?」
「おう、旦那の望む事なら何でも言っ、あ、いや、その、あれだ。エッチな事、そう、エッチな事以外で!」
ニヤニヤしながら尋ねると、上手く回避された。こいつも、俺の事が少しは分かってきたな。
「お礼をしたいのに、俺が喜ぶ事はしてくれないのか。残念だ」
「あ、いや、ちがっ、べ、別に、そういうわけじゃ!」
「じゃあ、何だ。何をしてくれるんだ?」
「うーん……あっ! そ、そうだ! 新しい下着穿いてきたぜ!」
「そうか。こっちに来てくれないか?」
「え、おう。いいけど、どうしたんだ?」
警戒せずにこちらへ近付いてきてくれる。
隣に立ったところで、ズボンを一気に床まで下げる。
脱がしやすそうな状態で良かった。
「ひゃああああっ!?」
「あっ……」
ズボンだけ脱がそうとしたのだが、下着は紐パンだったらしく、ズボンと一緒にずり落ち、本来隠されている場所が眼前にあった。
「な、何やってるんですか、タカシさん!?」
「あぁ、いや新しい下着っていうからさ、見てみようかと」
ガルミはその場にしゃがみ込み、こちらを睨んでいる。
「それにしても、可愛い悲鳴だったな。ガルミ?」
「うぅ……」
「それで、俺にパンツを見せに来ただけなのか?」
「ち、ちげーよ……姫からの伝言もあったんだよ……」
「何だよ、それを先に言えよ」
「べ、べべ、別に、オレのお礼が先でもいいじゃないか! 本気で感謝してるんだから!」
「お礼は、今度お前の処女を貰いに行くから結構だ。それよりも、サラからの伝言って何だ?」
「しょっ!?」
ガルミは口をパクパクとさせて固まっている。
恥ずかしいのなら、さっさとパンツを穿けば良いのに。脱がしたのはオレだけれども……。
「な、何だよもう……本当、旦那と居ると調子狂わされるぜ……」
パンツとズボンを穿きながら、ブツブツ言いやがって。
「あーっとな、城で祝賀会を開くそうなんだよ。だから、是非とも旦那に参加して欲しいんだとさ」
「面倒だ。パス」
「ちょっ!? 頼むよ。来てくれよ! オレが怒られちまう!」
「はぁ!? 嫌なものは嫌だ。どうせ、王とかも居るんだろう? 話さないといけないだろうし、面倒だ」
王とか気まずい関係になってしまったからなぁ。
あっちも、今更娘の夢を叶えてくれてありがとう、などと言えるような立場ではないだろうし。
「うっ、そりゃあ王様は当然居るけどさ……あぁっ!?」
「ん? 何だよ?」
「姫がな、来てくれるお礼は、私。とか言ってたぜ!」
「よし、イクか」
「なんじゃそらあああああ!」
ガルミが、両手を頭に乗せ、体を仰け反らせて叫んでいる。
オーバーリアクションな奴だ。芸人かお前は。
「そうと決まれば用意しないとな。何か必要な物とか、服装とか、決まり事ってあるか?」
「へっ、あ、ちょっ、本気かよ!? さっきまではあんなに嫌そうだったのに!?」
「何を言っているんだお前は。嫌そうになんかしていないだろ? サラの頼みなら、断るわけにはいかないじゃないか!」
「何だよそれ……何なんだよ!」
床に“ダンダン”と地団駄を踏んでいる。
本当に騒がしい奴だな……。
「なぁ、ミリア。城で行われる祝賀会なんだから、やはり正装していかないといけないよな?」
「はぁ……知りません」
「何で怒ってんだよ」
「怒ってませんよ。はぁ……」
「痛っ!? ちょ、ファラ!?」
ファラが足をつねってきた。それ、地味に痛いから!
サラに仲間なんだから、今更嫉妬なんかしなくて良いだろうに。
「お前達が一番だからな?」
「はぁ……」
ダメだな。皆して俺をジト目で見てくる。
仕方が無い。更に直接聞くか……。
――サラ。今少し良いか?
――――あ、タカシさん。ガルミから聞いたかしら?
――おう、サラの欲求が溜まってるから、性処理をしてあげてくれって、わざわざ言いに来たぞ。
――――なっ!? 何よそれ!? 違うわよ!?
――もちろん承諾したから安心しろ。それよりも、祝賀会ってさ、城で行われるわけだから、正装しないといけないよな?
――――え、やだ、もう……タカシさんったら……。
こいつはこいつでノリノリじゃないか。
――おい、だから、ドレスコードはどうなんだ?
――――へぁ!? あ、ふふ。ええと、そうね。必要よ。
――ウチの子達はドレスなんて持ってないぞ。今から作ってもらうとすると間に合わないから、品揃えの良い店を教えてくれ。
――――あぁ、そういうこと……。そうねぇ、先日タカシさんから指輪を買って貰った付近に、確か大きなお店があったような。
――そうか。行ってみる。ありがとうな。
――――いえいえ、楽しみにしてるわね?
――おう。
ドレスとなると高いだろうな……。
お金に余裕はあるが、全員分となるとかなり大きな出費だ。
でも、こいつらのドレス姿も見てみたい。可愛いだろうな……。
「よし、買い物に行くぞ!」
「またいきなりですね……」
「ファラ、お菓子も買ってあげよう」
「はやくいこ」
ファラが膝から降りて、急かす。
本当お菓子の事になると単純だな。
「ミリア。俺はとりあえず、ガルミを送ってくる。汗を掻いているルリア達を風呂に入らせて、待機しておいてくれ」
「はい、分かりました」
「よし、ガルミ。さっきお前の大事な部分を見てしまった詫びに、城まで送ってやる」
「それはもう忘れてくれよ……」
「あ、そうだ。ジジイ。お前も来い」
「ん? 何で、我なんじゃ?」
「いいから来い」
「人遣いの荒い奴じゃのう……」
ジジイとガルミを連れ、外に繋がれている馬の所まで移動する。
馬も連れて帰ってあげないと可哀想だからな。
「よし、移動するぞ?」
「おう!」
「ほい」
馬に触れ、ジジイに触れてもらい、ガルミを抱き寄せて胸を揉みながら、城まで飛ぶ。
――シュンッ
「ひゃああっ!?」
「わぁぁぁっ!?」
胸を揉まれたガルミの悲鳴と、突然現れた俺達に驚いたいつもの門番の悲鳴が、重なってうるさい。
「ちょっ、旦那! 外でそういうのは、やめてくれっ!」
「ん、あぁ、すまんな」
「羨ましいのう……」
胸を揉んでいた手からガルミを解放する。
「それじゃあ、旦那。夕方迄には来てくれよな?」
「おう、分かった。善処する」
「いやいや、善処とかじゃなくて、ちゃんと来てくれよ!?」
「分かったよ! じゃあな」
「あぁ、また後で!」
ガルミを置いて、今度はジジイと一緒に冒険者ギルドに飛ぶ。
そういえば、クドラングのギルドに来るのは初めてじゃないか?
「ところで、何でミリア嬢やファラ嬢ではなく我だったのじゃ?」
「約束していただろう? ご褒美だよ、ご褒美」
「はっ!?」
「賢者」
ジジイに賢者を掛け、ついでに自分にも掛ける。
「ひょおおおおおおおおおお!? み、見える、見えるぞい!?」
街中には若い子も居るしな。これで約束は果たせただろう。
そんな事を考えながら、建物内に入って行き、掲示板で依頼等を受けてからカウンターに移動する。
「いらっしゃいませー」
「換金お願いできるかな?」
「はいはーい。じゃあ、アイテム出してくれますかー?」
「うっひょおっ!」
「ん、お嬢ちゃん、可愛いね!」
何か、子どもが好きそうな女の子だな。
それにしても、スタイル良いので、目の保養になる。
「えっと、換金アイテムが凄く多いので、何処か広げられるような広い場所あるかな?」
「じゃあ、こっちに行きましょうー」
リスのような尻尾をフリフリしながら、奥に案内される。
「えへへ、お嬢ちゃんはパパとお買い物なのかなー?」
「う、うん☆」
ジジイめ……ぶりっこモードに切り替えやがったな。
何だよ、俺はいつからお前のパパになったんだよ。
「お姉ちゃんね、今からパパと大事なお話があるからね、ちょっと待っててくれるかなー?」
「はーい☆」
「おい、アルメ。建物の外を見てきても良いぞ。但し、店の前から離れるなよ?」
「ふひっ、はーい。パパ、お仕事頑張ってね☆」
一瞬気持ち悪い笑みが出たな。それでも演技を続けるのか……。
大したエロ魂だ。
「それじゃあ、パパ――あ、失礼しました。ええっと、アイテムをこちらに出していただけますか?」
「パパで良いですよ。それじゃあ、出しますね」
次々に討伐の証になるであろうアイテムを並べていく。
「ふわぁぁ……な、何ですかこれは……パパさん凄いですね!」
「いえ、まだありますよ。えと、これと、これ、それと、これも」
「ひえぇぇ……何者ですか、パパさん……」
若い子にパパ、パパと言われるのも良いものだな。
何か癖になってしまいそうだ。
アルメやミュウにはパパと言わせるのも良いかもしれない……。
おっと、今はそんな性癖に目覚めている場合じゃなかった。
「こんなものかな?」
「ちょちょ、ちょっと、お待ちください。他の者を連れてきます」
「はい」
女の子が違う職員を連れてきた。
流石にこの量を一人で数える事が出来ないからだろう。
「お、お待たせしました。それでは、清算しますね」
「お願いします」
職員三人掛かりでアイテムを数えていく。
クドラングでは今までのように適当ではなく、モンスターを全て狩り尽したと言っても過言ではないから、中には百個を超えているアイテムもあるし、大変だろうな。
それに、見た事のないモンスター等も居たし、どれも今までとは比べ物にならないくらい強かった。
当然入手したアイテムもそれなりの物だろうし、換金額には相当期待できるだろう。
「お、お待たせしました……」
「ええと、その、現在、当ギルド内の金庫にあるお金では足りないので、集めに行っております。少々お待ちいただけますか?」
「分かりました。用意出来たら、呼んでください」
「畏まりました」
さっきまで応対してくれていた女の子が、走ってギルドを出て行ったので、代わりにおじさんが相手をしてきた。
おじさんの全裸なんか見ても嬉しくないので、その場を離れる。
ギルドの外に出ると、ジジイがキョロキョロと周りを見ている。
女の子ばかりを目で追っているし、怪しさが滲み出ているな。
幼女のくせに。
「おい、どうだ。ご褒美の感想は?」
「最高じゃ! さいっこうじゃぁ! 天国、ここは天国じゃ!」
「喜んでくれて良かった。これからも頼むぞ?」
「もちろんじゃ! お主に一生付いていくぞい!」
「俺はお前じゃなくて、アルメが欲しいんだがな」
「そんな事言うでない。我だって役に立つんじゃぞい!?」
「まぁ、ご褒美はやるから、しっかり働けよ?」
「承知したのじゃ!」
キョロキョロしやがって、少しは俺の目を見て話せよな……。
「あ、パパさん! お、お待たせしました!」
「あぁ、お帰りなさい」
「は、はい、ただいまです。えっと、それじゃ中へどうぞ!」
中に居る、先程のおじさんの所まで案内される。
女の子はそのまま奥に行ってしまった。
「お待たせしまして、申し訳ございません」
「いえいえ、あ、これカードです」
「はい、確かにお預かりいたします」
おじさんがカードを持って奥の部屋に行き、中に居た数人の職員達と何かを話しながら、お金を数えている。
報酬額の相談だろうか。
話し合いが終わったのか、女の子と一緒に戻ってきた。
「カードをお返しします。それで、報酬はこちらになります」
「パパさん、どうやってあれだけの数を討伐されたんですか?」
「ダンジョンですよ」
「何処のダンジョンですか?」
「クドラングです」
「え、西の?」
「えぇ、そうです」
「はぁ!?」
そういえば、サラの手柄にしないといけないから、俺が攻略した事にしたらダメだな……。
適当に言い訳でもしておくか。
「あ、サラ姫に同行させてもらったんですよ。これは、その報酬としてもらった物です」
「サラ姫に!?」
「えぇ、昨日帰ってきたばかりなので、まだ公になっていません。王、またはサラ姫から発表があるまで、秘密でお願いしますね?」
「ほ、本当なのですか!? あのサラ姫が!?」
「本当です。今日は、今から城で祝賀会なんですよ」
「ほえぇ……パパさんってすごい人なんですね……」
「ははは、そうでもないですよ。何かお困りであれば、俺のところまで来てください。歓迎しますよ」
「えへへ……頼もしいんですね。ありがとうございます」
「それでは、俺は今から用意で忙しいので、これで失礼します」
「はい! また来てくださいね!」
女の子に手を振って別れる。
これってナンパになるんだろうか? まぁ良いか。
それにしても、6白貨を超えるとは……思ってもみなかった。
これだからダンジョンは辞められないな。
そのままギルドから出て、ジジイの賢者を解除する。
「ふぁぁ!? 何じゃ、突然!?」
「おい、ジジイ。帰るぞ」
「ぬああ、お主か! もう少し、もう少しだけ、頼む!」
「ダメだ。もう時間が無い。また今度な」
「むぅぅ……約束じゃぞ?」
良い働きをしたらな、と心の中で返答をするだけで留め、ジジイを連れて、そのまま屋敷に戻る。
――シュンッ!
「あ、タカシさんお帰りなさい」
「ただいま。ん、よし。皆揃ってるな。買い物に行くぞ」
マナポーションを飲みながら、皆に触れてもらう。
そのまま、先日更に指輪を買ってあげた店の前まで飛ぶ。
――シュンッ!
皆にはその場で待ってもらい、アクセサリー屋の店内に入って、ドレスの売っている店を店主に聞き、移動する。
ドレス屋に入ったところで、ミリアは何かに気が付いたようだ。
「えっと、ここ高級な服屋さんですよね。服を買うんですか?」
「おう。城に行くには正装が必要らしいからな。ドレスを買う」
「「ど、ドレス!?」」
「ぼ、ボクにドレスなんて……」
「はわわ、な、なな、何でウチまで!?」
「ラン、持ってるよ?」
そんな話をしていると、店主がやってきた。
「いらっしゃいませ。何をお探しでしょうか」
「この子達に合うドレスをください」
「ふむ、ご予算はいかほどでしょう?」
「この子達の可愛さを引き出せるのなら、糸目は付けません」
「し、しょ、承知いたしました!」
可愛ければ全て良し。収入も得た事だし、大奮発だ。
「あぁ、ただですね。急用で今日入用なんですよ。だから、作るんじゃなく、多少高くなっても良いので既存のドレスで最高のモノをお願いします」
「左様ですか。分かりました。お任せください!」
「お前達、好みのドレスを選べ。店主に、自分の好みはしっかりと伝えろよ?」
「あ、あの……こんなに高級なドレス、良いんでしょうか?」
「構わん! お前達が可愛くなればそれで良い」
「うぅ……」
困っているようだが、そこは店主に任せよう。
店主に声を掛け、皆を残して、外に出る。
そして、そのまま先程のアクセサリー屋に移動し、皆それぞれに合いそうなアクセサリーを選んでおく。
金額的にも一人一つだな……。
皆を想像しながら、時間を掛けてアクセサリーを選んでいく。
結構な額だ……今日使った分は、王にでも交渉しよう。
アクセサリーを購入した後、ドレス屋に戻る。
「どうだ?」
「あ、ワタナベ様。一通りのドレスは選び終えました。これより、サイズの調整などを行いますので、少しだけお時間を頂戴しても、よろしいでしょうか?」
「分かりました。どのくらいですか?」
「夕方までには、何とか……」
「突然だったのにすみませんね。それではウロウロしてきます」
「はい! よろしくお願いいたします」
ゾロゾロと店を出て食料を調達したり、お菓子などを買ったり、消費アイテムを補充したり、時間を潰す。
今から城で美味しいモノを食べられるということで、ファラにはお菓子は買うだけで食べるなと言い聞かせるのが大変だった。
その後、皆でドレスを受け取りに行き、屋敷に戻る。




