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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
137/145

第44話 アイテム鑑定

 ダンジョンの外に出ると、既に夕方になっていた。

 長い間戦っていたし、最後は気を失っていたから、時計を見る暇すらなかった。


「いつも、このタイミングで攻略したんだなって実感します」

「そうね、中とは空気が違うものね」


 ミリアとサラが背伸びをしながら、達成感を感じている。


「どうする? サラ達は、ダンジョン攻略の報告もあるだろうし、とりあえず城に送ろうか?」

「うーん、そうね……まだ皆とこの感覚を味わっていたいけれど、仕方が無いわね」

「そうです、仕方が無いのです。王にご報告いたしましょう」

「えー、もう帰るんかよ。隊長、もうちょっといいだろ?」

「ダメだ。タカシ様達も疲れているだろうし、我々は帰ろう」

「ちぇっ……」


 ガルミは不服のようだが、アバンには逆らえないのだろう。

 送ってやるとするか。


 マナポーションを飲んで、MPはある程度回復している。

 城まで送った後、屋敷に戻るくらいは問題ないだろう。


「さて、凱旋だ。皆掴まれ」


 皆が俺に触れている事を確認し、城まで転移する。


――シュンッ!


「わぁぁっ!?」


 いつも驚かせてしまう門番は、相変わらず驚きながら数歩下がり悲鳴に近い大声を上げている。

 今となっては、これも恒例行事みたいなものだな。


「いつも驚かせてすまないな」

「い、いい、いえ! ひ、姫様っ! お帰りなさいませ! 隊長、副隊長もお帰りなさい!」

「ただいま戻りました」

「あぁ、ただいま」

「おう、帰ったぜ」


 門番は、サラの方に頭を下げて挨拶をしていたが、ランには気が付かなかったのだろうか。

 ランが俺の真後ろに居たから分からなかっただけか?

 本人は気にしていないみたいだし、良いか。


「それじゃあ、俺等は帰るぞ?」

「えぇ。タカシさん、本当にお疲れ様。そして、ありがとう」

「こちらこそ助かったよ。これから大変だろうが、頑張れよ?」

「もちろんよ!」


「アバンさんも、ガルミもお疲れ様」

「はい、お疲れ様でした! 王には、タカシ様の事をしっかりと、ご報告させていただきます」

「ほどほどにお願いしますね」

「旦那、お陰様で強くなれたぜ! 今度、屋敷までお礼に行くから待っててくれよな!」

「おう、体を清めて、可愛い下着を身に付けてから来いよ?」

「可愛い? 良くわかんねーが、下着を替えていけば良いんだな。それじゃあな!」


 三人に手を振りながら別れを告げ、転移で屋敷に戻る。


――シュンッ!


「ふぅ……疲れたな」

「疲れましたねー」

「疲れた」

「もうヘトヘトだよぉー」


 ミリア、ファラ、ランに続くように、皆近い椅子に座る。


「今日はさっさと飯を食べて、早めに寝るか」

「でゃっ、で、でや、夕飯の用意しましゅ!」

「疲れているところ、すまないな。お願いするよ」

「にゃいっ! ミュウちゃんいくよー!」

「うん、やるです」


 マルカは元気だな……。

 相変わらずミュウに対しては噛まずに喋る事が出来ているし。


「そういえば、タカシ殿。サラ君達の前では言わなかったけれど、今回のダンジョンではどのようなアイテムを収得したんだい?」

「あぁ、そうだったな。素で忘れてた。えっと……」


 前回のダンジョンでは、ドラゴンシリーズ装備を作ってルリアに持たせたから、気になったのだろう。

 今回、ガデルから回収した爪、首輪、指輪、耳飾りをテーブルの上に出してみる。


「それぞれ、どんな効果なのだろう?」

「使ってみないと分からないな」

「四つもあったんですね」

「お兄ちゃん、使ってみてよー」


 ランは使ってみろと言うが、使用回数制限があったり、呪われていたりしないだろうな……。

 まぁ、いいか。


「じゃあ、爪からな」

「うんうん!」


 椅子から立ち上がり、ジョブを闘士にして装備してみる。

 魔力を込めてみるが、特に変わりは無い。


「爪だな」

「爪だね」

「爪ですね」

「爪のようだね」


 付けたり外したりしてみるが、何も違和感が無い。

 特殊スキルがあるのかもしれないのでステータスを見てみると、着脱を繰り返す度にDEXが増減している。

 DEX補正の武器か。


 増加値はDEXが12……。すごいな!


「分かった」

「え、何なに!?」

「この爪、名前をガデルクロウっていうんだが、素早さと精神力が凄まじく上昇する装備だ」

「精神力ですか!?」

「素早さ!?」


 ミリアとランが食いついてきた。

 精神力はMPに直結するし、素早さはランの課題でもあるしな。当然二人は欲しがるだろう。


「今回のダンジョン。ランがトドメを刺したし、この爪は、ランの先祖が使っていた物だしな。ランにあげよう」

「やったあああああっ!」

「そ、そうですね。とと、当然の権利かと思います……」


 ミリアは残念そうにしているが、我慢だ。

 ガデルクロウをランに渡す。


「タカシ殿、次はこの首輪なんかどうだい?」

「まぁ、待て。順番だ、順番」


 ランを見て、自分も貰えるかもしれないと期待したのだろう。

 ルリアが次のアイテム鑑定を急かす。


「んー。この首輪は何だろうな」

「タカシ様、何かワクワクしますです!」

「ボス、早く早く!」


 皆ノッてきたな……。


 同じく着脱を繰り返してステータスの確認してみると、スキルが増減している事が分かった。

 スキル名は“魔術抵抗大”だ。


「この首輪の名前は、レジストチョーカーだ。魔術への抵抗力を、大幅に向上させる事が出来るアイテム、かな」

「すっげぇ!」

「何ですか、その反則なアイテム!」

「どの程度、抵抗力が上がるのか気になるのう」


 確かに、効果が“大”ということは分かった。

 でも、どの程度レジストしてくれるのか気になるな。


「ミリア、俺に向かって火魔術を使ってみてくれ」

「え、いいんですか?」

「いいから」


 右手を前に出し、その掌に向けて撃つように指示する。


「えいっ」


――シュゥゥゥ


「あれ、消えましたよ!?」

「消えたな。もっと魔力を込めて撃ってみてくれ」

「分かりました。ええいっ!」


――シュウウウゥゥゥ


「また消えた!?」

「なるほど。これは使えるな」


 ミリアのMPを確認していたが、いつもモンスターに向けて放つ程度の消費だった。

 そのくらいはレジストしてくれるらしい。


「なるほどのう。あのボス、ガデルと言ったかのう。奴め、これを装備しておったから、魔術の効きがイマイチじゃったんじゃな」

「あぁ、そういうことか! 道理で……あの野郎……」

「謎が解けましたね」

「そういうことだったのですね」


 四人で全力の一斉魔術攻撃なのに、HPが全然減らなかったのはこのアイテムのせいだったらしい。


「よし、これもランにくれてやろう」

「えぇ!? いいの!?」

「おう、お前もガデルのように強くなれよ?」

「うんっ!」


 皆から白い目で見られているが、いいじゃないか……。

 だって、ラン、頑張ったんだもの……。


「ラン君、正直羨ましいよ」

「ラン姉ばかり、いいなぁー」

「ランさん、ズルいです……」

「そーだ、そーだ。ボス、ラン姉ばかりズルいズルい!」

「えへへ……タカシくんありがとう。大事にするね。えへへ……」


 爪と首輪を両手で胸の前に抱いて、はにかんでいる。

 もう、この表情が見られただけで、満足だ。

 周りからは白い目だけれども……。


「さぁ、次だ次! 次は、指輪だな。指輪!」

「誤魔化しましたね……」

「誤魔化したね……」


 ミリアはいつも通りだが、今日はルリアが本当に良く喋るな。

 そんなにマジックアイテムが欲しいのか。

 まぁ、目標が強くなる事だから当然か……。


「うるさい! えっと、何だこれは。またスキルか」

「え、スキルですか!?」

「スキルって何だい!?」


 装備する事によって得るスキルは“バースト”だ。

 名前から察するに、何かをドカンと放出したりするんだろうか。

 部屋の中で使うには、危なそうなスキルだな。


「攻撃スキルかもしれない。ここでは危険だ。実際に使ってみせるから、興味のある奴だけ、外に出て来い」


 そう言い残して外に出てみると、当然の如く、全員出てきた。

 晩飯の準備をしていたマルカとミュウまで一緒に、だ。

 欲しがりさんめ……。


「どうするかな……」

「何をですか?」

「いや、何処に向けて魔術を放ってみようかと思ってな」

「上で良いんじゃないですか?」

「上、か……」


 上に向けて放つとすれば、当然落ちてくる。

 土や水はまずい。火も消えなかったら危ないな。風にするか。


「いくぞ」

「はい!」


 指輪を装備し、両手を空に向けて、風魔術をイメージしながら、バーストを唱える。


――ヒュゴッ!


 いつもの風魔術の音ではないし、腕にもズシッと重みが走った。


「え、な、なん、ですか、今の……」

「風魔術を空に向かって撃っただけだ」

「え、いや、違うでしょう。何か見えましたよ?」


 そう、ただの風のはずなのに、魔術の飛んだ軌道が視認できる。

 これはもう風魔術ではない何かだ……。


「本当にただの、簡単な、風魔術だ」

「えぇー……」


 疑いたいのは分かる。

 風が目視できるわけないもんな。

 でも、MPをごっそり持っていかれた一撃だったんだよ。

 濃密な魔力だから目視できたのかもしれないな。


「これはやばいな」

「やばいですね」

「名前はテンペストリング。スキル名はバースト」

「もう名前がやばそうですよね」


 そう、名前からして既にやばい。

 使用MPを自分で調整出来たら使い勝手は良いだろうが、扱いは難しそうだ。


「よし、ミリアにあげよう」

「えぇ!?」

「ただな、膨大な精神力を使用するから、使う時は気を付けろよ」

「え、ちょ、ちょっと! タカシさん? そんな危険なモノ……、もっと普通の、ランさんみたいなアイテムが……」

「大事にしてくれよ?」

「ねぇ、ちょっと!」

「次は、最後か。耳飾りだな」

「ねぇってば、タカシさん!?」


 ミリアに指輪を渡し、早々に屋敷の中に入って行く。

 つられて皆も何も喋らず、足早に元の位置に戻る。


 ルリア、パル、パロは、順にミリアの肩を叩いてから屋敷の中に入ってきたが、そこには触れないでおこう。


 泣きそうなミリアをそのままにして、耳飾りを装備する。

 ステータスを確認すると、スキルに“千里眼”が増えていた。


 これもスキルか……。


 しかし、千里眼は俺が自分で開発したモノがある。

 これも誰かにあげるか……。


「これはクレポヤカフスというらしい」

「何か、テンペストの後だと、ぱっとしない名前だね」

「間の抜けた名前だね!」

「期待外れっぽいねー、ボス」


 名前はさておき、とりあえず使用してみる。

 いつも使っている自前の千里眼の要領で、遠視のスキルだろうと思い、調理をしているマルカのお尻を見てみる。


 何も変わらない。


「ん?」

「どうされたんですか、タカシ様?」

「いや、何でも、あれ?」


 ジッとマルカのお尻を見ていると目が乾いたので、瞬きすると、一瞬何かが見えた。


 更にマルカのお尻を見てみる。

 また何かが見えた。


 何度か繰り返していると、瞬きをした時に何かが見える。

 なるほど……目を閉じている時に、見える光景なのか。


 目を閉じて、その光景を注意深く見てみる。


 ……空?


 残念ながら、マルカのお尻ではないようだ。

 何か、雲のようなモノが見える。

 カフスに魔力を込めつつ、もっと意識して見てみる。


 ……街?


 上空から街を見下ろしているような光景だ。

 更に魔力を込めて、その街にある建物を見てみる。


 ……これって、ウチか?


 目を瞑ったまま、建物の入口付近を見てみる。


 ……あ、空に向かって両手を突き出している人が――ミリアだ!


 何だこれ、俺の千里眼が幼稚に思えるくらいすごい。

 色々な、ムフフな現場を覗けるじゃないか!


 それにしても、ミリア……。

 空に向けて魔術を使って、肩で息をしているじゃないか。

 ちゃんと与えたアイテムを調べていて、健気だなぁ。

 だが、そこが可愛い。


 試しに、屋敷の中を覗くよう意識を集中する――が、建物の中は見る事ができないようだ。

 むしろ、一定以下の高さから下に視点を移動できない。


 10メートルの高さから見下ろしているとすると、1メートルの高さの障害物があれば、視点が1メートル上昇する感じだ。

 下に何か物があると、視点がその物の高さ分くらい上がるので、物体の中身を見る事はできないのだろう。


 そうだとしても、これはすごい。

 これこそ正に神眼だと思うのだが、これでただの千里眼なのか。

 暇な時はこれで遊ぼう。


「それで、何なのじゃ。何か分かったのかの?」

「タカシ殿、さっきから目を閉じて何をしているんだい?」

「あぁ、すまんな。魔力を込めても、何も起きなかったから、目を瞑って意識を集中してみたんだが、やっぱり何も起きなかった」

「なんじゃそら」

「名前の通り、ハズレだな」


 ついつい、嘘を言ってしまった……。

 でも、ミリアは居ないし、気付かれていないだろう。


「じゃあ、アタイに頂戴、ボス!」

「お前には、これが高く売れたら何か買ってやるよ」

「やったー!」

「えぇ!? アタシも!」

「分かった分かった。売れたら、な?」

「やったぁ!」


 売る気は無いが、もう後には引けないし、仕方が無い。

 ムフフなアイテムは独り占めだ。


「よし、アイテム鑑定はこれで終わり! さぁ、飯も出来るみたいだし、さっさと食って風呂に入ったら寝るぞ!」

「はーい」

「はいな」


 今回は良いアイテムが手に入った。

 これを使えば、神脚と組み合わせてどこでも好きな所に移動する事ができそうだし、楽しみだな。


 明日からは千里眼の練習だ。

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