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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
134/145

第41話 ガデル・フォン・クドラング

 モンスターはほとんど狩り尽していたので、数匹討伐するだけでボス部屋の前まで到着した。

 連携に慣れ、モンスター共を全て近接組が処理したこともあり、HPやMPは減っていない。


 レベルもかなり上がったし、今は万全の状態といえるだろう。

 これで負けたら、時間を掛けてレベリングだけを行うか、あとは諦めるしかない。

 ただ、食料にも限度はあるし、死ぬのは嫌だ。

 全力を尽くして倒そう。


「この先にボスが居る。皆、作戦通りに動くように。いくぞ?」


 小声で合図をすると、皆は頷くだけで返答してきた。

 それぞれと目を合わせ、部屋に侵入して行く。


 そこには仁王立ちで腕を組み、こちらを見ている人物が居た。


「待っておったぞ!」


 こいつ、数日間もずっと立って待っていたのか……?

 ダンジョンのボスということは、既に獣人ではなくモンスター化しているかもしれないとはいえ、律儀な奴だな。


「あれ、が、ガデル様……!?」

「肖像画で見た事があるわ」

「ランのご先祖様かー」


 サラ、ラン、アバンはガデルの姿を見て反応している。


「ん? お前達は獣人……もしや、そこのお前は儂の子孫か?」

「うん、ラン・フォン・クドラングです。よろしく、ご先祖様!」

「私は、この子の姉、サラ・フォン・クドラングです」

「ほほう、お前は進化出来たのか。良い国になっているようだな」

「進化……?」

「加護を受け……いや、そんな事はどうでも良いか。それよりも、子孫と殺り合えるとは生きてみるものだな! わはは!」


 三人が会話をしている間に、陣形を整えていく。


「さぁ、準備は出来たか? 早速始めようではないか!」

「皆、いくぞ!」

「初めは待ってやろう。ほれ、来るが良い!」

「行け!」


 近距離組が合図と共にガデルに向けて駆け出す。

 続いて残りの皆も一定の距離を保ちつつ、位置調整を行う。


「お前達は、儂が今まで戦ってきた中で、一番の強者達のようだ」

「あり、がとう! ふんっ、はぁっ!」

「だが、まだキレがない、な! ほれっ! どうしたっ!」


 ランとガデルがやり合っているが、ランの攻撃は当たらない。

 両サイドでアバンとルリアが攻撃を合わせ、ガデルの背後からはソシエとミュウが交互に攻撃を出している。

 皆の攻撃は何発かガデルに命中しているが、浅い。

 掠っている程度だ。


 それに、アバンを中心に戦うはずだったのだが、ガデルがランを執拗に攻撃してくる為、連携が上手くいかないようだ。


「そらっ! はっ! こんなものか!?」

「くっ、やっ! ぐっ、たぁっ! はぁっ!」


 ランは喋る余裕が無いようだ……かなり被弾しているし。


「は、早いっ!?」

「くっ、このっ!」


 ガデルの動きが早く、アバンとルリアもランをフォローするのに一生懸命のようだな。


――ラン、一度下がれ。

――――わ、かった。

――ルリア、ランを下がらせる。カバーしてくれ。

――――承知、した!

――ソシエ、ルリアのポジションに移動だ。

――――は、はい!


 ランがステップで後方に下がり、その隙間にルリアが入る。

 空いたサイドには、ソシエを入れてガデルの四方を埋める。


 練習の成果がはっきりと出た、スムーズな切り替えだった。皆、本番に強いのだろうな。


「良い連携だが、これで儂を足止め出来ると思っているのか!?」


 ランの代わりにルリアと戦っていたガデルが、突然向きを変えてソシエの方を向いた。


「オラオラオラッ!」


 近距離組の中で、ソシエはまだ戦闘に慣れていない。

 あの交戦だけで、それに気が付いたのか?


 遠距離組から放たれる魔術はほぼ避けられているし、命中してもそんなにダメージを与えられていない。


 当然、ソシエは防戦一方になっているし、まずいな……。


「ラン、早くしろ!」


 警戒しながら下がっているランを早く回復する為、急がせる。


「甘いっ!」


 ランに声を掛けたところで、ガデルの攻撃を何発か攻撃を貰い、ギリギリ防御できていたソシエの背後に回り込まれ、ソシエが吹き飛ばされる。

 吹き飛ばされたソシエは、アバンが受け止めるが、二人して地面に転がる。

 その隙に、ガデルがこちらに向かってくる。


「ま、待ちやがるです!」


 自分を放置して移動するガデルに、ミュウは全く追い付けない。


「ファラ!」

「ん!」


 自分を召喚して、それぞれに武器を持たせているファラ’sが、ガデルの正面に出て交戦し始める。

 ファラの分身とはいえ、召喚獣ということもあり、可愛いだけで戦闘力はそこまで高くはない。


 モンスター相手には、十分な働きをしてくれていた召喚獣達も、ガデル相手には無理があったようで、当然の如く蹴散らされる。

 しかし、ランを回復する時間は稼げたので良しとしよう。


 魔法の使えるメンバーで、ファラと交戦しているガデルに何発も魔術を放つが、全然当たらない。

 俺の放った速射は数発当たっていたが、威力より速度を重視しているため、ダメージは微々たるものだ。


 集中して魔術を行使していると、ファラが吹き飛ばされる。

 ダメージはあまり負っていないようだが、やはり吹き飛ばされるだけあって一撃は重いようだ。


――ファラ、自分を回復したら、ソシエを回復しろ。

――――うぐぅっ、わ、わかった。


 ファラに回復の指示を出し、マルカとアルメに迫ろうとしていたガデルの前に転移する。

 突然俺が出現した事に、目を見開いて驚いた様子ではあったが、次の瞬間には目を細め、半笑いでラッシュしてくる。


「それぞれの能力も高く、連携も取れている。良いパーティーではないか!」

「そりゃあ、どう、もっ!」


 打ち合いながら、会話する。


「しかし、遅い! それでは、儂を倒せんぞっ!」

「なん、とか、なるだ、ろっ!」

「無理だ無理だ!」

「お兄ちゃんは強いから、だいじょぶ!」


 回復してもらったランが、俺の横からガデルに攻撃したところでスッと後ろに後退される。


「セヤァッ!」


 ガデルの後ろには、ずっと追ってきていたミュウが居て、派手に吹き飛ばされる。

 どうやって皆の位置を把握してんだよ、こいつ……。


「っ!?」


 吹き飛ばされた先は壁で、ぶつかって衝撃で壊れた壁の岩や砂に埋もれてしまう。

 ガデルを追う事に一生懸命で、追っていたはずの者が突然目の前に現れたので対処できなかったのだろう。

 すぐさまHPの確認を行うが、まだ大丈夫のようだ。

 良かった……。


「ミュウちゃん!」


 ミュウの飛ばされた方向に、大声を出しながら駆け出したマルカに、ガデルが一瞬で迫る。

 その勢いのまま、マルカをミュウとは逆方向に吹き飛ばす。


「ぶぇっ!?」


 ミュウの方を見ていて、隙だらけだったし仕方がないか……。

 しかも、ガデルの奴……怪我人であるミュウとは逆方向に飛ばしやがった。

 飛ばされた先には、ミリアとサラが居るし、大丈夫だろう。


 その隙にジジイが、こっそりミュウの方に移動するが、それすらバレていたようで、首筋に手刀を受け、地面に伏す。


「こやつ、首を飛ばそうとしたのだが、思ったより強者だな」


 幼女にも容赦無しかよ。それより、何怖い事言ってやがるんだ、こいつは……。

 マルカとジジイに身体強化を施しておいて良かった。


 首を飛ばされるわけにはいかないので、トドメを刺される前に、ジジイとガデルの間に転移して攻撃の邪魔をする。


「お前達は本当に強いようだな」

「あり、がと、さんっ!」

「しかし、強さに体が付いてきていないのはどういう事だ?」

「し、らねぇ、よっ!」


 また打ち合いをしながら、会話をして時間を稼ぐ。


 回復役が居ない状況はまずい。

 ガデルもそれを狙い攻撃してきていた様子だし、マルカとジジイが早く復帰してくれないと皆も危ないな。


 そんな事を考え攻撃をしていると、ガデルがスッと一歩下がり、助走を付けて攻撃してきた。

 盾で防御するが、攻撃は重く、吹き飛ばされてしまう。


 ガデルにはその隙で十分だったらしく、俺の脇を抜け駆ける。


 まずい! 早々に防衛ラインと定めていた、俺を抜かれた……。


 ガデルの先には、精霊化したマリーが居る。

 いくら精霊化しているとはいえ、マリーが近接戦闘で勝てるわけ……ほら、一撃で吹き飛ばされた。


「あぅぁっ!?」

「きゃあっ!?」


 しかも、マルカを介抱していたミリアに衝突しているし……。

 わざと誰かにぶつかるように吹き飛ばす事で、戦闘に参加できる人員を少しでも減らしているのだろう。

 それで各個撃破ということか。こいつ……複数人相手の戦い方に相当慣れているな。


 サラに迫ろうとしていたガデルの前に、ガルミが割って入る。


「オレが相手だ!」

「甘いっ!」


 何度も打ち合いダメージを少しの与えたが、倍は攻撃を貰って、回り込まれる。

 ガルミが振り返る前に、腕を取られ、振り回され、勢いの付いたまま、壁に叩き付けられる。


「がぁぁあぁっ!」


 振り回されている際、“ゴキッ”とガルミから大きな音がしたが大丈夫だろうか。

 ガルミのHPは大丈夫だが、脱臼か骨折、もう戦えないな……。


 そんな心配をしながら起き上がってると、サラが殴られていた。


「せぃっ、それでも、儂の子孫か! 進化しているのであろう! どうした、やり返さんか! オラァ!」

「きゃっ、ぶっ、ぐっ、がっ、がっ、はっ」


 くそっ、サラのHPがまずい。

 身体強化を施しているとはいえ、ガデルの攻撃を食らい続けるとサラでは耐えられない。


 盾になる為、サラとガデルの間に強制的に転移する。


「なっ!?」

「がぁっ!?」


 サラを引き剥がす事には成功したが、当然直撃をいくつも貰う。

 右腕と剣でガデルの攻撃を防ぎつつ、サラに治癒を重ねて使っておく。

 これで少しはマシだろう。


――ミリア、急げ! 今の内にサラとマリーを連れて、下がれ!

――――は、ははいっ!


 盾を投げ捨て、右手で剣、左手で魔術を使い、時間を稼ぐ。


「お前だけはやるようだな!」

「く、くそっ、あ、あり、がと、よっ!」

「だが、まだまだっ!」


 スキルらしきものを使われ、攻撃される回数が増える。

 これ以上の攻撃は耐えられそうにないな……。


――マルカ! 今の内にサラとマリーを回復してくれ!


 マルカに二人を回復するよう指示。ガルミは回復に手間が掛かりそうだし、暫く我慢してもらおう。


「バインド、スリープ、昇天、ガデル、拒絶!」

「ぐっ、ふぅ、がぁっ!」

「バインド、バインド、バインド、バインド!」

「くっ、させぬっ! させんぞっ!」


 ガデルの攻撃が鈍くなるが、それでも攻撃してくる。

 対象のレベルが高すぎると、強制的に与える効果が薄くなるのは何とかしないといけない課題だ。


「拒絶、拒絶、拒絶、拒絶、拒絶、拒絶、拒絶!」

「ぐああっ、くそがぁっ、ぬぅぅっ!」


 痛覚があることは助かる。

 本当は俺に触ると激痛が走る呪いのようなものだが、俺から攻撃を貰っていると錯覚してくれているようだし、これは使えるな。


 ガデルからいくつもの攻撃を貰いつつ、自分に治癒を使いながら周りを見ると、動ける者は動いているようだ。


 ミリア達は下がってくれたし、マルカからの返事は無かったが、回復してくれているだろう。

 アバン、ラン、ルリア、ソシエは追い付いた。

 ミュウも戦線に復帰できそうだ。


 ファラは新しく召喚獣を出しているし、これでまたふりだしだ。

 いや、戦闘不能が二人居るし、ふりだしではなく、後半戦か。


 ガデルのHPも三割は減ったし、この調子ならいけそうだな。

 よし、またアバンとルリアに前線を任せて、俺は少し下がろう。

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