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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
131/145

第38話 連携強化

 翌日は、早々に狩りを再開する。

 戦い方は既に話しておいた通りのフォーメーションだ。


 アバンとルリアは上手く連携できているようだが、それに対してランとミュウが合わせ辛そうにしている。

 今まではどちらかというと、ランとミュウに合わせていた感じがあるから、仕方がないのかもしれない。

 それに引き換え、パルとパロは人に合わせるのが上手だな。

 ソシエは、まだぎこちないが教えた分だけ吸収してくれるので、問題は無いだろう。


 さて、どうしたものか。


「ラン、ミュウ。アバンさんとルリア達の動きを良く見て、それに合わせて邪魔にならないように攻撃してみろ」

「難しいけど、やってみるよー」

「さっきから、やってるです!(むずかしいんだもん……)」


 ランとミュウに、タイミングなどを教えつつ、練習を繰り返す。

 今までの一撃でモンスターを倒せるダンジョンと違い、出てくるモンスターが強いので、何度でも練習出来るのは助かるな。


「あの、ご主人様。わたしは、今のままで良いのでしょうか?」

「そうだな。ソシエは教えた通りに動いてくれるから楽で助かる」

「あ、ありがとうございます」

「しっかりとアバンさんやルリアの動きを見て、分からなかったら二人に聞いて覚えると良い」

「は、はい!」


 ランはバカだけど、戦闘に関しては教育を受けているだけある。

 それに、アバンの動きや癖なども分かっているだろうし、徐々にではあるが、合わせることができている。

 今は集中させるためにも、何も言わずにおこう。


 やっぱり、問題はミュウか。


 まだ子どもだし、戦闘時に連携を取るなどは難しいだろう。

 そもそも戦闘目的で迎え入れたわけではないし、幼い事もあり、基本は力任せにモンスターをぶん殴っているだけだ。

 何とかしてあげたいところだが、言っても聞かないし。


 いや、一つだけ方法がある!


「ミュウ。ルリアが攻撃を止めたり、下がったら、前に出て攻撃」

「わかってるです!(わからないです……)」

「ほら、今ルリアが一歩下がっただろう、そこで前に出て攻撃だ」

「ちゃんと見てるです!(あれのことかぁ……)」


「ほら、今はルリアが攻撃を続けているけど、モンスターの後ろが空いているだろう? そんなときは後ろからモンスターを攻撃だ」

「やるです!(こんな時は待たなくていいんだ?)」

「ほら、今度はランが下がってこっちに来たぞ? そんなときは、ランと場所を入れ替わってアバンさんの方に行かないと」

「いくです!(空いてるところで攻撃すればいいんだ!)」

「良く倒したな。でも、ルリアとランの方がまだ終わってないぞ。あれ? ランが右を攻撃していて、左が空いてるな?」

「はいです!(あっちいったりこっちいったりたのしい!)」


「流石、天才ミュウは違うな。一回教えただけで覚えるとは」

「ふ、ふふーん、らくしょーです!(えへへ……)」


 やっぱり口で説明しても、実践しないと分からないんだろう。

 暫くの間は褒め殺しで、指示しながらパターンを覚えさせよう。

 そうやって何度も繰り返せば、一人で動けるようになるだろう。


「ボス―! アタイ達はどうすればいいの?」

「罠は仕掛けてるけど、攻撃しなくていいの?」

「罠の仕掛け方はばっちりだ。的確に仕掛けているから問題ない。上出来だ。罠設置後、隙があったら攻撃して良いぞ」

「はいさ!」

「らじゃ!」


 パルとパロの罠設置も上達したな。

 しっかり、皆の動きを見て、誰も居ない場所に仕掛けているし、アバンやルリアもそれを確認して、誘導まで出来ている。

 文句の付けようがない。


 パルとパロを褒めながら、裏ではステータスを微調整していく。

 調整しつつ、ふと時間を見ると、いつの間にか昼を過ぎていた。


「そういえば、魔術が飛んでこないな?」

「そうだねぇー。皆集まって話をしながら来ているみたいだけど、何してるんだろ?」

「どう魔術を使うか相談してるんじゃないか?」

「かもねー」

「ちょっとあっちに行ってくる。練習しておいてくれ」

「はーい」


 ランに後の事を頼み、後衛が集まっているところに移動する。


「お前達、何をしているんだ? ちゃんと練習できているか?」

「え、えぇ。ちゃんとやっているわよ?」

「そうか? 何か話しているようにしか見えなかったが」

「そ、そうですよ。ち、ちゃんとやってました!」


 怪しい。

 ミリアの焦りようは、間違いなく嘘を吐いている時のそれだ。


――本当に練習していたのか?

――――し、してましたよ?(タカシさんの事を話しながら、少しやってたし嘘じゃない、よね?)

――何かさっき、俺の名前が聞こえたんだけど?

――――き、気のせいですよ!(ば、バレてる!? もしかして、昨晩ソシエとイチャイチャしてたことを報告した事も!?)


 こいつ、何をサラに報告してんだよ……。

 何かそういう協定でもあるのか?


――そういえば、ソシエの名前も出てたな?

――――そ、ソシエも剣術上手くなったね、と!(やっぱり!? じゃあ、それに対してサラさんが嫉妬していたことも!?)


 ミリアとサラを放置しておくと、すぐそういう話になるな。

 性格的に合うのだろう。本当に仲の良い姉妹みたいだ。


 それにしても、嫉妬していたのか。可愛いやつだな。


――大丈夫だ。何もバレていないぞ。


「な、なな、ば、バレてるじゃないですか!?」

「何で声出してんだよ」

「あ、あぁ!? うぅ……」

「何を話していたのかしら?」

「タカシ、せつめい」

「タカシ様。皆が居るところで内緒話は酷いです」

「うるさい。嫁と内緒話をするくらい良いだろうが」

「じゃあ、私とはしてくださらないのね。はぁ……酷いわ……」


 わざわざ説明しないといけないのかよ。

 別に俺が誰と一緒に寝ようが、良いじゃ……良くないな。


「俺が昨晩、ソシエを抱き枕にして寝たことをサラが聞いて、俺に対して嫉妬をしていたんだろう?」

「うっ……」

「でも、朝になったらソシエじゃなくてファラになってたぞ?」

「あ、そうですよね。いつも思ってたんですが、必ず朝はファラになってますよね? あれ、何でですか?」

「俺も朝起きたら必ずそうなってるから知らん。ファラに聞け」

「何でなの、ファラ?」

「あそこはファラの場所」

「え?」

「そういうことだ。それ以上、聞いてやるな」

「あ、はい」


 やはりファラ本人の仕業か。この中で一番嫉妬深いのかもな。

 今は髪を抜かれたり蹴られるだけだから、今後刺されないように気を付けて接しておこう。


「じゃあ、今日はサラを抱こうかな」

「えっ!?」

「だから、嫉妬なんかしていないで、しっかり真面目に練習しろ。このダンジョンはお前の夢なんだろ?」

「も、もも、もちろんよ」

「はい、この話はこれで終わり。さぁ、午後も頑張るぞ!」

「はい!」


 井戸端会議を強制終了させ、戦闘に集中させる。


「前衛に当たらず、邪魔にならないよう、魔術を行使する練習だ。どのようにすれば良いか分かるか?」

「鋭く尖った岩を飛ばすとか?」

「上から炎を当てるとか?」

「そうだな。でも、岩はタイミングが合わないと危ないな。当たる個所によっては致命傷になる」

「で、ですね……」

「とりあえず、慣れるまでは対象の上下から攻撃しよう」

「はい。でも、どんな魔術で攻撃しますか?」

「そうだな。やってみるから、見ててくれ」


 右手を前に出し、魔力を込め、戦闘中であるモンスターの足元に段差を付ける。

 更に、真上から鋭く尖った岩を無数に打ち込む。

 最後に、モンスターの真下から火柱を上げさせる。


「こんな感じでどうだ?」

「バランスを崩させ、そこに岩を撃ち込んで、燃やす。ですか……相変わらずでたらめな連射ですね……」

「私にも出来るかしら?」

「別に一人で全てやらなくても良いだろう? 相手のバランスを崩す人と攻撃する人で分ければ良い」

「そうですね! 流石です!」


 バランスを崩すタイミングは、前衛と合わせないといけないし、更に崩れたタイミングで岩を射出するのも難しい。

 折角複数人の魔術士が居るんだ。全員が全員同じ事をやらないといけないという事はない。


「おぉ、ミリアに褒められると素直に嬉しいな」

「なっ!? 私はいつでも褒めているじゃないですか!」

「そうか? 最近は、またタカシさんは……しか言ってないぞ?」

「そんな事言ってっ、ますね……ごめんなさい」

「おお、素直に謝るミリアも可愛いぞ?」

「茶化さないでください」


 ミリアとサラに、何度か行動阻害と攻撃の練習をさせる。

 入れ替わりながら練習をしていると、サラは火力が高いだけで、精密な魔術行使が苦手のようだ。

 それはそうだろう。いきなり魔術を使えるようにしたわけだし、ミリア達みたいに、毎晩練習していないのだから。


 そのような理由もあり、行動阻害をサラが担当。攻撃はミリアということになった。


「あの、タカシ様! 私の事をお忘れじゃないです!?」

「おう、忘れてたな!」

「ひどいです……」


 そういえば、マリーは精霊法士から精霊師になったんだ。

 精霊師は、精霊を身に宿して、自身が精霊化するっていうスキルがある。それで攻撃してもらおう。

 MP消耗は激しいようだが、身体能力も全体的に強化されるし、前衛にしても良かったかもな……。

 今となっては作戦通りに練習しているから、替えられないが。


「じゃあ、マリーも攻撃に専念してくれ」

「はいです! お任せください!」


 精霊師の事を思い出したついでに、皆のステータスを調整。

 こいつらは徐々に修正せずとも、既にバレているので一気に調整してしまう。

 ファラやマリーは知らないが、いつもの事なので、初めは違和感を感じるだろうが、すぐに慣れる。


「そういえば、今気が付いた。何でファラがここに居るんだ?」

「タカシのこと話してたから」

「マルカとジジイを守るのが、お前の仕事だろう?」

「ガルミにたのんだ」


 だから、こっちの護衛であるガルミが居ないのか。

 護衛を変わったにしても、あっちはガルミには荷が重すぎる。


「そうか。でも、自分より格下の者に、大事な仕事を任せるのは、関心しないな」

「ごめん。すぐもどる」

「じゃあ、一緒に行くか」

「うん」

「よし、お前達。しっかり練習するんだぞ?」

「はい!」

「分かったわ」

「はいです!」


 これで遠距離組は問題ないな。

 後は勝手に練習して、いつの間にか最適解に辿り着くだろう。


「ガルミ、ファラと代わってくれていたんだって? すまないな」

「オレも暇だったしな。問題ないぜ、旦那!」

「そうか、ありがとうな。それで、お前の実力も知っておきたい。前線に出て戦ってみてくれないか?」

「おう、任せてくれ! 今か? 護衛は良いのか? 行くぞ?」


 どうやら前衛に出てみたかったらしい。丁度良かったな。


「しっかり見ておくから、思う存分やって来い」

「おう、行ってくるぜ!」


 尻尾を振りながら走って行った。

 犬みたいな奴だな。狼らしいけど。


「して、お主は何しておったんじゃ?」

「皆に色々教えたりしてたんだよ。お前こそ何していたんだ?」

「マルカ嬢とお話じゃ」

「マルカ、こいつに何かエロい事されなかったか?」

「ひゃい!? な、何もされ、されないでしゅ!」

「お主からしたら、我はどんな扱いなのかの?」

「害虫、かな?」

「ひどいやつじゃ……。のう、マルカ嬢よ」

「害虫は言い過ぎかもしれませんね」


 何でジジイと会話の時は普通なんだよ。

 しかも、遠回しに俺の事を否定してやがるし。


「そんなことよりも、どうだ? 回復やれそうか?」

「だ、だじょぶですゆ!」

「余裕じゃ」


 ジジイの心配はしていないが、マルカも大丈夫そうだな。


「ファラ。誰かを回復しに行く時は、必ず護衛に付くんだぞ?」

「わかった」


 ファラは自分を召喚獣として複数出せるし、護衛には最適だな。


「ところで、お主。昨日は、何故あやつと同部屋にしたのじゃ? 我の大事なアルメちゃんが傷物にされたらどうするのじゃ?」

「アバンさんか。彼は大丈夫だ。心配ない。安心して相部屋しろ」

「何かあってからでは遅いんじゃぞ!?」

「問題ない。お前が誘惑しなければ大丈夫だ」

「す、するわけがなかろう! 奴は男じゃぞ!?」

「何かさ、お前と喋っていると、男と女の境目が分からなくなる時があって怖いな。黙ってたら可愛いんだから、喋らないでくれ」

「ひどいぞ、おい!」


 ジジイが喋らず、ジッとしているアルメは美幼女だ。

 性的な意味ではなく、純粋に、可愛がってあげたくなるんだが、喋られるとジジイがチラついて萎える。

 何度ジジイを浄化させようと考えたことか……。

 今は便利に使えるのでそのままにしているが、アルメがもう少し大きくなったら、アルメ蘇生作戦を実行せねば。


「お主、今いやらしいことを考えておるじゃろ」

「は? 何言ってんだよ。なぁ、マルカ」

「ひゃ、ひゃい!?」

「タカシはいつもかんがえてる」

「なら仕方がないのう」

「そう」

「おい、お前等。勝手に決めつけるな! なぁ、マルカ」

「あの、しょの、う、ウチにはわかり、ましぇん!」


 マルカともイチャイチャしたいんだがなぁ。まだ先は長そうだ。

 いつか、あの胸を……いや、まだ我慢だ。


「よし、じゃあファラ。後は任せたぞ? 召喚等の練習も兼ねて、ジジイに色々と教えて貰えよ?」

「わかった」

「任せておくのじゃ」


 中距離組には、特に何も教える事はないだろう。

 それぞれの役割を分かっているし、ジジイも居る。


 遠距離組もミリアが居るし、大丈夫だ。


 やっぱり、近距離組次第だな。


 モンスターは、シュスルスダンジョンのボスには劣るが強いし、次々と出て来るから、練習だけでなくレベルの上がりも早い。


 午後もステータスを調整しつつ、みっちり練習だな。

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