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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
129/145

第36話 ネタバレ

 休憩後、早速狩りを開始する。


 まさか、初戦がボスだとは思わなかったが、そのお陰もあって、どの程度レベルを上げると良いのか目標が出来た。

 ある意味ネタバレな展開ではあるが、これは大きな収獲だ。


 もし何も知らずにガデルと戦闘になった場合、現状のステータスでは死人が出た可能性だってある。

 そうならない為にも、今回のボス戦では俺が前線に出て、ガデルの足止めをする事も考えないといけないな……。


 しかし、俺の手の内は既に見せてしまっているから、出来るだけ今の前衛達に任せたい。

 ひとまずは、ダンジョン内に居るモンスターを全滅させるくらい狩って、皆のレベルを上げよう。

 話はそれからだな。


「どうしたんですか、タカシさん?」

「ん、おう。ガデルをどう倒そうか考えてた」

「タカシさん、私達が戦っている間、いつも考えてますよね」

「代わりに戦ってくれるミリア達には、いつも感謝してるぞ?」

「それは、その、はい、分かります。でも、考えただけで強くなれ……あぁ、前に一度、頭の中で実験しているとか言ってましたね。あれですか?」

「似たようなものだ。今はお前達をどう育てるか考えている」

「育てるって……」


 言い方がまずかったな。ゲーム感覚で返答してしまった。

 でも、ステータスの調整と言っても分からないだろうし、間違いではないから否定はしないでおこう。

 勘の良いミリアの事だ。何かを察するかもしれない。


「何を話しているの、タカシさん?」

「サラか。いつも俺の代わりに戦ってくれている皆に、ありがとうって伝えていたのさ」

「はぁ、素直に嬉しいけれど、その台詞別に恰好良くないわよ?」

「すまん」

「冗談は置いておいて。それで、何の話なの?」

「冗談じゃねーし!」


 俺の事なのに、本人をスルーしてミリアに聞きに行きやがった。

 いいもん……俺は一人で考えるから!


「私達の育て方、いえ、育てる方向性? を考えているそうです」


 流石ミリアだ。俺の言わんとすることを察してくれた。

 そうだよな。先日風呂の中で、それぞれに就いてもらうジョブを伝えたばかりなのに、またこうやって悩んでいるわけだから、そう捉える事もできるよな。

 話に入ると面倒なことになりそうなので、考え事をしているフリをしておこう。


「そう。でも、それをタカシさんが考えたところで、どうにかなる問題なのかしら?」

「そこですよ。私も同じ事を聞いたところでした」

「そうよね。また、便利な恩恵とやらで誤魔化すのかしら?」

「そう、かもしれませんね。そろそろ、本当の事を教えてくれても良いと思うんですけどね」


 こいつら……。

 やっぱり、賢い女性が集まると怖いね。

 本人が居るのに、チラチラと本人を見ながら、わざと聞こえる声で会話をしてやがる。


「そうだ、俺もそろそろ訓練しなきゃ」

「あ、逃げたわ」

「逃げましたね」


 期待のこもった眼差しで見られているのが分かったので、独り言を言いながら、戦闘が行われている方に逃げる。


「何で逃げるのかしら、タカシさん?」

「何で逃げるんですか、タカシさん?」


 しかし、回り込まれてしまった。


 右腕にサラ、左腕にミリアが抱き付いてきた。

 背後に気配を感じ、振り向いてみるとソシエが立っていた。

 完全に逃げ道を失ってしまったな……。


「ミリア、おっぱい当たってるぞ」

「うぇっ!? い、いえ、今はいいんです。当ててるんです!」

「そうか。じゃあ、直に触らせてくれ」

「嫌です! サラさんにお願いしてください」

「えぇっ、私!? うーん、す、少しなら……」

「冗談です」

「えぇ!?」


 何こいつら。いっそのことコンビでも組めば良いのに。

 それよりも、サラの素が徐々に出てきた。まるでランみたいだ。


「ミリアも言うようになったな」

「また誤魔化そうとしているのが、分かりましたから」

「そ、そうよ。今はそんな事どうでもいいのよ」


 後ろでクスクスとソシエが笑っているのが分かる。

 あぁ、こいつら邪魔だ。ソシエの笑顔が見たかったな……。


「ソシエー。こいつらに何とか言ってやってくれよ」

「わたしもご主人様の秘密、気になります」

「お前もか!」

「ふふっ……」


 首だけ後ろを向いて、ソシエに助けを求めたら裏切られた。

 でも、笑顔を見れたので良しとしよう。


「それで、どうやって恩恵を与えているんですか?」

「どうやって、育てるつもりだったのかしら?」

「分かった、分かったよ。話す。だから解放してくれ」

「本当ですか? だったら……」

「分かったわ。じゃあ……」


 二人が腕を離してくれたので、また掴まれないように腕を組んで周囲にミリア、サラ、ソシエ以外が居ない事を確認しておく。


「但し! 俺が墓まで持って行こうと思っていた秘密を話すんだ。それなりの見返りは、あるんだろうな?」

「最大の秘密なんですか……?」

「特に何もないわ。ただ聞くだけよ」

「え、えぇっ、わたしも!?」

「それは当然だろう。世界の常識が、覆るような内容だ。生半可な見返りでは絶対に話せない」

「またまた、そうやって誤魔化すつもりなんでしょう?」

「嘘はダメよ、タカシさん?」


 こいつら、何も分かってないな……。

 あぁ、何も言ってないから分からなくて当然か。


 でも、世界の常識が覆るような内容なのは確かだ。俺の意志一つで、ステータス的に人を生かす事も殺す事も出来るのだから。


「本当だ。これを知れば、お前達を口止めしないといけなくなる。最悪の場合、俺がお前達と一緒に居られなくなる」

「ほ、本当……ですか?」

「それこそ冗談よ。そんなわけ、ない、わよね……?」

「嘘ではない。話しても良い。でも、それだけの覚悟が必要だ」

「…………」


 真顔で声のトーンを落として喋っていたので、三人共さっきまでの冗談半分の様子ではなくなった。

 ソシエなんかは、何も喋らずに目が泳いでいる。


 そんな状況で、暫く無言で三人を見つめる。


「他言無用だが、どうする? 聞くか? 何を見返りにする?」

「わ、私は……それでも聞きたいです。当然秘密にします。本当にとんでもないことだったら、何でもします」

「私は国を背負う身よ。秘密は守るわ。もし、本当に世界に影響を与えるようなことだったら、身も心も捧げるわ」

「…………」

「ソシエはどうだ? まだ間に合うぞ。何事も無かったかのように皆の所に戻って狩りを続けてくれ」

「わ、わたしは……わたしは……」

「無理はしなくて良い。こいつらは特別好奇心が強いだけだ」

「いえ、わたしはご主人様の奴隷です。もし……もし、ご主人様の秘密を知った事で不都合が起きるのでしたら、殺していただいても構いません。それくらい気になります……」

「そうか……」


 こんなに良い子を殺すなんて事は絶対に無いが、それだけ覚悟はあるということなのだろう。


「分かった。お前達だけには話す。大きな声を出すなよ? あと、身内だとしても絶対にバラすなよ?」

「分かりました」

「えぇ、もちろんよ」

「…………」


 ここまで長い前振りをしたんだ。ソシエはまた黙ってしまったが話すことにするか……。


「俺はな、人の能力を数字として見る事が出来る。そして、それを足したり引いたりして、その数字を操作する事が出来るんだ。更に他人のジョブを自由に変更する事も出来る」

「数字……?」

「操作……?」

「変更……?」

「三人共、あまりピンとこないようだな。俺が今まで言った事を、頭の中でもう一度考えてみろ」


 ミリアなんかはすぐに分かるはずだ。

 俺がエロい事をする度に、魔力を上げたりジョブを変えたりしていたからな。


「あ、え、でも、そんな……うそ……全部!?」

「私も操作され……でも……」

「そういうことだったんですね……納得できました」


 三者三様の反応だな。

 ミリアは難しい顔をしたり、恥ずかしそうにしたり、忙しい。

 サラは、信じられないとでもいうような顔をしている。

 ソシエは、割と普通だ。一番肝が据わっているのかもしれない。


「どうだ? 分かったか?」

「はっ!? ほ、本当なんですか!?」

「本当なの、タカシさん!?」

「ご主人様がそんなにすごい方だったとは、驚きです……」

「全て、本当だ」

「すごい……すごいです。本当だとしたらすごいです!」

「えぇ、すごいわ。本当に。本当なの!?」

「だから、全て、本当の事、だ」


 ミリアはすごいしか言っていない。

 サラに至ってはまだ疑っているし……。


「タカシさん……勇者じゃなかったんですね……」

「そうよ。これはもう、勇者レベルの話じゃないわ……」

「そうですよね。もう、神様レベルの話ですよ、それ……」

「そりゃあそうだろう。神から貰った能力だし」

「えぇっ!?」

「はぁっ!?」

「うるさい」

「すみません……」

「ごめんなさい……」

「ご主人様、神様なんですね……」


 神とはいえ、自称神だが、間違いではないだろう。

 この世界の常識からしたら、超常の力になるわけなのだから。


「どうだ、世界の常識が覆る内容だろう?」

「えぇ、正直そこまでの話だとは思ってもみませんでした……」

「驚いたわ……私、神が手を付けた女になるのかしら?」

「神様……」


 ソシエが何かうっとりしているぞ……これはポイント高いな。

 でも、勘違いされても困る。訂正するところはしておこう。


「言っておくが、俺は神じゃないぞ。ただ力を持っているだけの、普通の人間だ。死んだら、そこで終わり。当然、死ぬ」

「それでもすごいですよ……それで、私達の育てる方法を考えたりしていたわけですね」

「そうだ。皆の能力は、どれをどのくらい伸ばすか、何のジョブにしようか、色々考えていたんだ。それをお前達に邪魔された」

「邪魔だなんて……でも、すごいわね。ミリアちゃん、あなた……神のお嫁さんよ?」

「およっ!? よ、嫁じゃないです! うぅ……」

「わたしは、神様の奴隷ですね」

「だから、俺は神じゃないんだって!」


 神なのに嫁や奴隷を持ってるのかよ……。

 何か、話が変な方向に向かってるな。


「そ、そそ、そうです! タカシさんはタカシさんですよ! 私はお嫁さんじゃないです!」

「神の力を持った男の嫁よ? すごいじゃない。私と代わる?」

「代わらないです!」

「代わらないんだ……」

「ちがっ! そ、そういう意味じゃ!」

「どういう意味かしら……?」

「うぅ……」

「おい、喧嘩するな。それで、お前達は俺の秘密を知ったわけだ。……後は分かるな?」


 三人同時にビクッとなり、こちらを向く。

 喋らざるを得ない状況を作られてしまったわけだから、当然その見返りは貰わないといけないよな。


「その……何でもっていうのは……言い過ぎたっていうか……」

「そうね。今この時をもって、私は身も心もタカシさんのモノよ」

「わたしは、既に神様のモノです。好きにしてください」

「えぇ、ちょっと!?」


 ミリアが躊躇したところを、すかさずサラとソシエが裏切る。

 これは俺も追い打ちをしておかないとな。


「ミリアは今日から正式に俺の嫁な。異論は認めない。もちろん、人に挨拶する度、タカシの妻ミリアです、と言うように」

「えぇっ!?」

「二人は約束を守ったのに、一人だけ約束を破ろうとした罰だ」

「はい……ごめんなさい」

「子作り、がんばろうな!」

「うぅ……それは、ちょっと、まだ早いというか……」

「俺等、夫婦だろう?」

「えぅ……はい……」


 よし、ミリアイジメはこんなものだろう。

 三人には、俺が良いというまで絶対に口外しないよう釘を刺しておく。

 ミリアのドジっ子モード時以外は、大丈夫だろうが、念の為だ。


「じゃあ、そろそろ先発隊の体力や精神力も尽きてきただろうし、交代してやってくれ」

「はい……」

「分かったわ」

「行きます」


 ジジイやガルミはマリーとファラに護衛させているが、そろそろポイントを割り振って、前線に出しても良い頃合いかもしれない。

 ミリア達三人には、それぞれ今現在戦闘中のメンバーと交代するように伝え、再度、皆のステータスについて考える。

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