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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
119/145

第26話 チェンジ

 目が覚めると、いつも抱き付いているファラの姿がなかった。

 隅の方を見ると、ミリアとファラは既に起きており、既に着替えも終えていた。


 そこには、布団から出ているジジイも居る。

 簀巻きにしていたのに、いつの間に、出やがったんだ……。


――ミリア、何をしているんだ?

――――わわっ!? タカシさん、おはようございます。


 いきなり話し掛けられたからだろうか、ビクっと体が跳ねた後、一瞬こちらを見て、挨拶をしてくる。


――何でジジイが布団から出ているんだ?

――――えっと、その、ご、ごめんなさい……私が出しました。

――何故だ?

――――アルメ? アレスティア様? が、タカシさんから、魔法を教えるよう頼まれたって言うから……。あうぅ、怒られるかな、うぅ、でも、教えてくれてるのは確かだし……。


 賢神自ら魔法を教えてくれる、という言葉に負けたのだろう。

 今はジジイに呪いを掛けているから大丈夫だろうが、危ない事をしやがる。注意しておかないとな。


――次から、俺の許可無しに封印を解いたらお仕置きだからな?

――――はい……ごめんなさい。


 獲物を虎視眈々と狙っている猛獣と同じだからな、ジジイは。

 今後、俺の目の届かない所では、常に呪いを発動させておこう。


「おはよう」

「おはようございます……」

「タカシ、おはよう」

「うむ、おはよう、じゃ」


 澄ました顔で挨拶しやがって、何が“おはようじゃ”だよ。


「おい、ジジイ。魔法を教える為とはいえ、俺以外にお前の封印を解かせたら、例の件は無しにするからな」

「なんじゃと!? それくらいよかろうに!」

「俺がダメだと言っているのに、俺の言い付けを守れなかったら、こいつらが困るだろう?

「……ふむ。確かに。奴隷じゃし、一理あるの」

「一理じゃねーよ。それが全てなんだよ。分かれ」

「あいわかった。我も夢実現の為じゃ。お主の言う事には従おう」


 賢者を使わせてからというもの、聞き分けが良いな。

 それだけ、楽しみにしているという事だろう。このダンジョンを出るまでは、これを餌に従わせる事ができるな。


「それで、どんな事を教えていたんだ?」

「ふむ。ミリア嬢は魔導士を極めんとしているようじゃから、我の教えはあまり役に立たぬかもしれぬ」

「そうか。ファラはどうだ? そろそろ賢聖になれるぞ?」

「それじゃ。ファラ嬢は、賢神の才能がある。今は、召喚について教えていたところじゃ」

「ファラは、元から召喚の才能があったからな。常日頃から召喚を使っているというのもあるし、覚えは早いだろう?」

「うむ。この吸収の早さには、我も驚いておる」


 そうだろう、そうだろう。ファラだしな!

 ファラは良いとして、ミリアは折角魔法を教えてもらっているというのに、少し落ち込んでいるようだな。

 俺から怒られたことより、教えて貰った事をモノにできない事に落ち込んでいるのだろう。

 大魔導士まで極めたら、賢神への道を開いてあげよう。


「ミリア、魔法以外にも色んな情報を聞いておくんだぞ?」

「はい」

「よし、朝の勉強はこのくらいにして、飯にしよう」

「わかった」

「そうじゃの!」


 ミリアに皆を起こすよう指示し、ファラを後ろから抱き抱えて、ジジイと三人でリビングに向かう。

 いつも通り、マルカとミュウが飯の用意をしており、既に料理は並べられ、調理器具などを片付けているところだった。


「マルカ、ミュウ、おはよう」

「おはよ」

「おはようじゃ!」

「おひゃ、ひゃ、よ、ござます!」

「おはようです、ご主人様」


 椅子に座り、ファラも隣に座らせる。


 いつも思う事だが、こいつらは目覚ましも無いのに、どうやって毎日起きているんだろうか。

 メイドだし、自然と目が覚めるような訓練でもしているのか?

 熟睡している俺が言うのも何だが、俺を起こさずに、どうやって部屋から出て行くのだろう。疑問だ……。

 ある意味、パルやパロより討滅者の才能があるのかもしれない。


「ふあぁ、おあよー、おにーちゃん」

「タカシ様、おはようございます」

「タカシ殿、おはよう」

「ご主人様、おはようございます」

「あふ……おはよ、ボス」

「んーっ、ボス、おはよ!」

「おう、皆おはよう」


 皆が起きてきたので、それぞれ椅子に座り、朝食を摂る。

 食べながら、今日は西の方へ向かうよう方針を決める。

 俺達が北から、ミリア達が南から合流し、東への道はないので、西に行くしかないからだ。


 飯を食べ終えて、マルカ達が片付けをしてくれている間に、皆の装備や所持アイテム等を再度確認する。

 ジョブはまだ変える必要がなかったので、ステータのスポイントだけ割り振り、準備が完了。


「それじゃあ、出発だ」

「がんばるぞい!」


 何故かジジイが張り切っているが、そっとしておこう……。


 拠点を潰し、出発する。


 先頭はラン、ルリア、ミュウに任せて、そのサポートにマリーとマルカ。その後ろにミリア、ファラ、アルメが勉強しながら警戒。

 殿は全員の動きを把握する為、俺。一人では寂しいので、話相手として、パル、パロ、ソシエという陣形で西へ進む。


「ねぇねぇ、昨日までボス達とどんな感じだったの?」

「どうせ、皆でエッチなことしてたんじゃないの?」

「し、してませんよ!?」


 そうだった。しておけば良かった。

 頭の中がジジイの事でいっぱいだったからな……。


「じゃあ、何してたの? おっぱい揉まれた?」

「何言ってんの、パル。おっぱいなんて、そっこーでしょ!」

「速攻!? いつもそうなんですか?」

「どうだろう? ソシエ姉、そこそこあるし、形良いからなー」

「揉まれたんでしょ? パロも揉んでいい?」

「た、確かに、も、もま、揉まれましたけど、ダメです!」


 そういえば揉んだな。すごい張りがあったな。あぁ、思い出しただけで、また揉みたくなってきた。

 あまり運動しているように見えないんだが、何であんなに張りがあったんだろうか。気になるな。


――モミ


「きゃあっ!? ちょ、ご主人様!?」


 やっぱり、弾力がすごい。


 マルカみたいにフワフワではない。

 サラみたいにポヨンポヨンでもない。

 ルリアみたいにプルンプルンでもない。

 指が沈むのではなく、跳ね返される弾力がある。


「張りがあって弾力がすごいし、病気かもしれない」

「えぇっ、そんな!?」

「これから毎日、触って確かめる必要があるな」

「ボス、それ揉みたいだけじゃん」

「さすがボス! 真顔で嘘を吐く天才だね!」


 パルとパロは勘違いしているようだが、違う。俺は、単に乳がんの心配をしただけだ。揉みたいだけではない。……表向きは。


「その、本当に、病気かもしれないんですか……?」

「まだ分からん。だから毎日触診だ」

「うぅ……」

「ボスはぶれないねっ」

「別にパロの揉んでも良いんだよ?」


 許可が出たので三人を揉み比べる。


「ひゃうっ!?」

「くすぐったいよ、ボス」

「あははっ」

「お前等はまだまだ、だな」

「「ひどいっ!?」」


 チラっと前の方を見ると、ミリアとファラから突き刺さるような視線を貰ったので、お医者さんごっこは止めておく。


「と、ところで、お前達。普段、こんなことができたら良いなぁ、というような事って何か無いか?」

「突然ですね……」

「普段ってどんな時だっけ?」

「うーん、何かあるかな」


 パルとパロなら、神口を使うにあたり、何かヒントになるようなアイデアを出してくれるかもしれないので、話を変えるためにも、とりあえず聞いてみる。


「こんなんだったら楽だなとか、便利だろうなとか、無いか?」

「こっそり会話が出来るとか?」


――それはもう出来るぞ?


「えっ!?」


――今、お前の頭の中に直接話し掛けている。どうだ?


「えっ、えっ、何っ、うそっ!?」

「どうしたの、ソシエ姉?」

「どったの?」


――額に、俺の魔力を感じないか? そこに自分の魔力を流して、俺の魔力を辿ってみろ。

――――うぅん! うぅん!

――そうだ。それで喋ってみろ。

――――こうですか? 何これ、本当に? ご主人様すごい……。まるで、神様みたい……。

――俺が話し掛けた時に限り、こうやって会話できるぞ。

――――わぁ……すごいです。昨日勇者様だって言っていたのは、本当だったんだ……。


「い、いえ。何でもないです……」

「そうか。パルやパロは、何か無いか?」

「ダンジョンって歩いてばかりだから、飛べたら楽かなー」

「ほれ」


 空間魔術で浮かせてあげる。


「ほわあああああっ」

「すげぇ、ボス!」


 一気に前線まで飛ばし、すぐにこちらまで戻す。


「すげぇ、すげぇ!」

「パロも! パロもやって!」

「ほら」


 クルクルと回転させながらパルと同じよう前線まで飛ばす。

 これは空間魔術であって、神口は関係がないので、終わらせる。


「他に何か無いか?」

「あの、ど、奴隷を解除したりもできるのですか?」

「出来るぞ。ミリアやミュウは解除してやった」

「ご主人様は何でも出来るのですね……」

「何でも出来るかどうかは分からんが、大抵の事はな」


 ソシエの中で俺のポイントが上がったかもしれない。

 今後の為にも、まだまだポイントを上げてもらおう。


「ねぇボス! アルメの中の人って本人じゃないんでしょ?」

「ん、そうだな。そうらしいぞ」

「じゃあさ! パルとパロの中身を入れ替える事ってできない?」

「どうだろうな。やった事がないし、分からん。出来たとしても、もしかしたら戻れないかもしれないぞ?」

「やってやって! アタシは別に戻れなくても良いから!」

「お前は良いかもしれんが……」

「アタイも別に大丈夫だよ!」


 精神を入れ替える? 魂を入れ替える? どうやれば良いんだ?


 ジジイが、アルメの魂を媒介に、自分の魂をアルメの肉体の中に入れた的な事を言っていたな。

 但し、抜けると完全に死ぬとも言っていた。魂を移動させるのは危ないので止めておこう。

 精神を入れ替えることはできるかもしれない。やってみるか。


「パル・トロイトとパロ・トロイトの精神が入れ替わる」

「おわぁっ!?」

「うおぉっ!?」


 ぐっ……いきなり体に負荷が掛かった。

 MPの消費がすごい……。あれ? でも、MPが消費したという事は、成功したということか?


「ふぅ、ど、どうだ?」

「うぉぉ、パロだ!」

「あはは、パルだ!」

「え、本当に成功したんですか……?」

「すごいよ、ボス!」

「できてるできてる!」


 成功か。これは良いアイデアを貰ったな。

 ボス戦だと、虫等と精神を入れ替えたらあっさり殺せそうだ。


 あれ、でもその場合どっちが死ぬんだ? 体はそのままだから、もちろんボスの方だよな。

 でも、入れ替えた先で精神だけが無くなってしまった場合等は、どうなるんだろうか。解除しても精神の戻り先が無いよな……。


 それとも、死ぬ瞬間、生きている方だけ強制的に戻されるのか?

 片方が死んで、入れ替えを解除した場合、生きている方の精神が消えてしまい、体は精神だけがない廃人状態になるとか……。


 あぁもう、考えても答えが出ない。


「おい、お前達。感覚はどうか、それぞれの体を触ってみろ」

「了解! ふっふっふ、パル、覚悟!」

「覚悟するのはパロだ! そりゃあ!」


 互いに胸を揉みまくっている。

 それだと、同じ感覚だろうから意味がないだろうに。


「もういい。ほれ、今俺が頭を撫でられているのはどっちだ?」


 パルの頭を撫でてやる。


「アタシ、えっと、パロだよ!」


 次にパロの胸を揉んでみる。


「くふふ、もう、ボスってば、アタイだよ!」


 どうやら体の感覚は、入れ替わった先のものらしい。


「パル・トロイトとパロ・トロイトの精神が入れ替わる」

「ふあぁっ!?」

「おぉぉっ!?」


 元に戻してみる。


「どうだ?」

「おお、戻ったよ!」

「ボス、もうおしまい?」

「おう、終わりだ。また今度な」

「ほわー、す、すごい、ですね、ご主人様……」


 よし、ソシエポイント連取だ!

 俺もジジイのように、女性の快感というやつを経験してみたくはあるが、入れ替わった先で神シリーズのスキルが使えなかったり、入れ替わり対象が神シリーズを使えると怖いので、試せないのは辛いな……。

 でも、俺以外の人間には使えそうだ。主に夜。

 この魔法はチェンジと名付け、早速省略しておこう。


「お前等のお陰で、面白い魔法が完成した。ありがとうな」

「え、わたし何もしてな……」

「えっへん、パルにお任せあれ!」

「パルじゃないでしょ、提案したのはアタシだかんねっ!」

「おう、パロは今度可愛がってやろう」

「やったー! 約束だよ、ボス!」

「パルも何か思い付いたら、こっそり教えてくれな」

「ちぇ、分かったよー」


 こいつらは、未だにエロい事をされると、恩恵で何かを貰えると思ってくれているから、扱いが楽だ。

 俺も気持ち良いし、こいつらは嬉しい、正に良い事尽くしだな。


 とりあえずは、実験で大量に消費したMPを回復させるために、マナポーションを飲んで暫くは休憩だな。

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