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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
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第24話 オスルムダンジョン

 ダンジョンの中は真っ暗だった。

 真横に居るはずのメンバーの顔すら見えない、闇だ。


 ダンジョンに入る前はまだ夕方前だったので、ここはに日の光が届かないのだろう。

 念の為魔眼を使い、メンバー以外にモンスター等が居ないか確認を行うが、その心配は無さそうだ。


 火魔術を使い明かりを出す。


「暗いな。ここは、洞窟か何かなのか?」

「どうでしょう。ミリア様が、海が近いので水気の多いところかもしれない、とは言ってましたが」

「え、ソシエ。お前、ミリアの事を様付けで呼んでるのかよ」

「今の会話で疑問を持つところは、そこでしたか? ミリア様は、ご主人様の第一夫人でしょ? だったら……」

「そこまで深く考えなくて良いぞ。ミリアが、俺の第一奴隷だったというだけだ」

「だった……?」

「あぁ、俺が奴隷を解除してやったからな」

「解除!?」

「そう、解除だ。詳しくは、ミリアに聞いてくれ」


 ソシエはミリアと気が合いそうだしな、二人で会話をする機会を設けてあげよう。


 それにしても、ここは本当にゲームのようなダンジョンだな。

 閉鎖されているような空間だし、まるで洞窟だ。


「はぁはぁ、おい、お主。この痛み、何とかならんのか」

「お前が、俺の嫁達に触れないと約束するのであれば、何とかしてやらんこともないぞ」

「するから何とかしてくれ」

「おい、聞いたか、お前達。こいつが少しでも体に触ってきたら、必ず俺に報告するように。黙っていたら罰だからな?」


 今は皆の意識があるので、大丈夫だろう。

 皆が起きている間くらいは解除しておいてやろう。


 アルメの呪いを解除した後、ミリアに連絡を取る。


――ミリア、聞こえるか? そっちはどうだ?

――――真っ暗なので、とりあえず火を出して警戒しているところです。今のところ異常はありません。

――そっちもか。

――――どうしましょう。タカシさんを召喚しましょうか?

――いや、ちょっと待機していてくれ。


 しかし、参ったな……。

 毎回転移で移動すれば何とかなると思っていたが、景色や目印になる物がないと、転移先をイメージできない。

 俺がまだ神脚を使いこなせていないだけなのだろうが、転移先をイメージ出来ないと発動できないんだよな。


 中で合流すれば良いと考えていたから、パーティーの振り分けを適当にしたのも失敗だ。

 幸いなことに、レイドパーティーの居る位置が、マップ上に点で表示されているので、何とかならないことはないだろうが。


 ダンジョンに入らないと、中がどんな状況なのか分からないのは本当に厄介だな。

 でも、入ってしまったものは仕方がないので、現状で考えられる神脚以外の方法で合流するしかない。


 まずは、メンバーだ。

 第一は俺(錬金術士)、ファラ(付与術士)、マルカ(聖職者)、ミュウ(杖戦師)、ソシエ(魔術士)、アルメ(神官)。

 第二がミリア(魔導士)、マリー(精霊師)、ラン(波武師)、ルリア(大剣師)、パル(射士)、パロ(射士)。


 メンバーを思い浮かべて、更に失敗したことに気が付く。

 先日のダンジョンで、皆のレベルが30を超えたので、ジョブを変更して、俺、ミリア、マルカ以外は全員レベルが1だ……。

 ステータス自体は、ジョブの最大レベルに依存するから、物理で殴れば何とかなるだろうが、ラン辺りが心配だな。


――ミリア。今お前が火魔術を使っているんだよな?

――――え、はい。そうですけど。

――ちょっと転移出来そうにないんだ。すまないが、ミリアが皆を守ってくれ。

――――えっ、私が、ですか!?

――前線はランとルリア。指示、フォローはミリア。明かり担当はマリーの精霊。パルとパロは、マリーの護衛。という感じで頼む。

――――うぅ、分かりました。

――くれぐれも壁や天井に衝撃を与えないようにな。

――――はい!


 あっちのパーティーは、指示をした陣形が無難だろう。ミリアを中心に展開してもらおう。

 問題はこっちだ。前衛が、ミュウしかいない。

 俺はソシエとアルメを守らないといけないし、ここが洞窟という事もあり、派手な魔法は使えない。

 マルカはヒーラーだし、戦闘が全く期待できないから、必然的にファラとミュウだけで戦闘を乗り切らなければならない。


 ミュウは良いとして、ファラは近接戦闘をできない。

 やはり、ここは安全のためにも妥協しておくべきだろう。

 ファラのメインを召喚術士にして、サブの使徒を付与術士と入れ替えておく。


「ファラ。召喚獣に武器を持たせて、戦わせる事って出来るか?」

「できる」

「そうか。じゃあ、召喚してくれ」


 指示通り、ファラがミリアを四人ほど召喚するが、当然裸だったので、アルメ対策のために明かりを消しておく。

 暗闇にした後、魔眼を頼りにミリアへ近付き、布の服を着せる。

 パンツは無いが、召喚獣だし別に良いだろう。


 再度明かりを点け、今度はそれぞれに武器を持たせる。


「こんな感じかな。どうだ、動かせるか?」

「だいじょぶ」


 偽ミリアが、手に持った武器をブンブン振り回している。

 これなら大丈夫そうだな。ミリア部隊完成だ。


「そうだ、マルカ?」

「ひゃ、ひゃい、なんでしゅか」

「お前、ミリアに光魔法がどんなものか教わっていただろう?」

「ひゃあい! できましゅ!」

「じゃあ、早速出番だ。光で辺りを照らしてくれ」

「はひっ!」


 先日のダンジョンでマルカの聖職者がレベル30になり、新しく下位光魔法を覚えていたので、ミリアに教えさせて正解だった。


「明瞭なる聖光よ、闇夜を照らし給え、ライティング!」


 マルカの頭上に光が集まり、辺りを照らしてくれる。

 地面や天井、壁までしっかり見る事ができる。


「すごいなマルカ。噛まずに言えただけでなく、効果も抜群だ」

「はわわわっ、ありがとごじゃます」

「ふんっ、お姉ちゃんはすごいんです!」


 ミュウが胸を張って自慢しているのは不明だが、本当にすごいな光魔法。まるで蛍光灯のように明るい。これは便利だ。

 ミリア達のパーティーにも、聖職者を入れておくべきだったな。今となっては手遅れだが。

 まずは合流を目指して進むか。


――ミリア、とりあえず北を目指してくれ。

――――え、北ってどっちですか? タカシさん分かるのかな?

――俺の居る方だ。

――――それだけじゃ分かりませんよ……。もう……。

――とりあえず一方向に進んでくれ。後で指示する。

――分かりました。


「それじゃあ、進むか。ミリア達はあっちの方だ」

「タカシ、わかるの?」

「おう、あっちからミリアの匂いがする」

「さすがエロ大王です」

「ご主人様は一体何者なんですか……」

「こやつは、勇者じゃよ」


 アルメが、さも当たり前の事のように断定しやがった。


「おいジジイ。あんまり適当な事言うなよ?」

「何を言うか。お主、言術が使えるのじゃろう? その術は過去、勇者以外で使えた者は居らぬぞ。賢そうなミリア嬢であれば、当然知っておるのではないか?」

「あぁ、奴隷を解除した時にそんな事言ってたな。でも、俺は勇者と言われるのが嫌いなんだよ。覚えておけ」

「何でじゃ! 良いではないか。勇者だと公言すれば、おなごからモテモテじゃぞ。ハーレムなんてすぐ出来るぞい」

「俺は、自分の手で面子を集めたいんだよ。だから、おおっぴらに言うなよ? 言うとお前の魂だけ浄化してやるからな」

「なっ……わ、分かった。頼むぞい?」


 こいつ、どれだけ現世に未練があるんだよ……。

 でも、それだけに脅しが利くから楽だ。


「その、ご主人様が勇者だとすると、今世界では何かが起ころうとしているのですか?」

「ん、何だ? そういう設定でもあるのか?」

「えと、わたしの聞いた話、読んだ本では、勇者は世界を救う為に現れる、と。歴代の勇者もそうだった、と」

「じゃあ、俺は例外だ。自身に災厄が降りかからないのであれば、世界が危機に陥っても知らん」

「そんなっ!?」


 やはり、この世界の人間は勇者に対して期待しすぎなのだろう。ソシエも今まで出会った奴等と同じ反応をする。


「じゃな。我も、その意見には賛成じゃ。世界が危機じゃからと、勇者の都合なぞお構いなしに異世界から強制的に召喚しておいて、あれやこれやと厚かましい」

「おお、ジジイ。話が分かるじゃねーか。お前いい奴だな」

「我、賢神。賢神じゃよ!?」

「元、な」

「まぁ、我も賢神というだけで、助けてください助けてくださいと色々言われてきたからのう。我は皆の為に賢神になったわけではないというに」

「そうだよな。俺もだ。だから、ソシエ。これは内緒な?」

「え、えぇ、まぁ。ご主人様がそう言うのでしたら……」


 アルメと二人、ガシっと握手をした後、ソシエの方に顔を向けて他言しないように指示しておく。

 このジジイも苦労していたんだな。


「ところで、ジジイ。じゃあ、何の為に賢神になったんだ?」

「研究の為、各地を巡っていたら、いつの間にかなっておった」

「その研究って何だ?」

「錬金、空間、合成、付与を使った転換や転生じゃ」

「他人と中身を入れ替える、または乗り移るってやつか?」

「そうじゃな。その研究の成果が、現在の我というわけじゃ」


 俺も神口や神心を使って、ある程度は人を操ることができるが、中に入ることは出来ない。

 でも、先日の話を聞く限りは、乗っ取り先であるアルメを完全に支配しているわけではなさそうだが、実験は成功なのだろうな。


「転生か、すごいな」

「そうじゃろう、そうじゃろう」

「本音は?」

「女の快感を味わってみたかった。はっ!?」

「昇天、アルメ」

「んんんっ!?」


 幼女の可愛い声で悶えているのを見るのは興奮するところだが、中身の事を考えるとその興奮も半減だな。


「ご主人様は、たまに人を指差して何か言っていますよね。それは何をされているのですか?」

「激痛や快感を味あわせてるんだよ。アルメが快感を味わってみたかったらしいから快感を味あわせてやった。興味があるのかか? とても気持ち良いぞー?」

「えぇ、まぁ。激痛は嫌ですが、快感でしたら興味はあります」


 大人しい性格をしているのに、好奇心はあるんだな。

 どうせ二人共に今は戦闘に参加出来ないんだ。やってやるか。


「昇天、ソシエ」

「きゃふっ!?」


 アルメとソシエがそれぞれビクンとなった後、地面に膝をつき、自らの体を抱き締めプルプルとなっている。

 前の方では、ファラの操る偽ミリアとミュウが戦っているので、こちらまでモンスターが来ることはないだろう。


「はぁはぁ……い、きなり、な、なにをするんじゃ!」

「何って、味わってみたかったんだろう? どうだった?」

「どうって、まだ分からんのう……今度ゆっくりしてくれ」

「とんだ変態だな」

「否定はせんぞい」


 夜にでも、呪いを掛けた状態で、失神させる為に連続使用してやろう。

 そういえば、アルメに掛けていた呪いは汎用性を高めるために、“俺の名前を知っている人物に触れたら激痛”ではなく、“他人に触れたら自らに激痛”に改良して省略可しておいた。

 これなら俺にも触れられないし、咄嗟の状況にも対応できる。


「ご、ご主人様、はぁはぁ、何ですかアレは……」

「気持ち良かっただろう?」

「分かりません。何か真っ白になってふわっというか……」

「あぁ、ソシエはまだ処女だったな」

「えっ」

「え?」


 まぁ、いいか。感想からして、聞くまでも無かった。

 順調に南の方へ進んでいるので、ついでにミリア達の位置を確認してみる。

 どうやら一方向へ進むよう指示していたので、西の方へ向かってしまっているようだ。新しい指示を出しておくか。


――ミリア。今大丈夫か?

――――はい! 大丈夫ですよ。どうしたんですか?

――ミリア達は西に進んでいるようだ。そこから北に向かうよう、進行方向を修正してくれ。

――――はい。何で分かるんだろう……。見えてるのかな?

――それで、次広そうな場所があれば、そこに家を建てよう。

――――分かりました。


 いつもなら既に晩飯の時間だが、空がないので感覚が鈍るな。

 ミリア達にも休むよう伝え、こちらも家を建てられそうな場所を探して、先に進む。


 しばらく進むと、通路左側に大きくひらけた場所があったので、天井を強化して、通路と広場に壁を作って隔離する。

 その中に簡易的な部屋を作って、今日の寝床とする。


 マップの移動距離から考えると、このままダンジョンが迷路等になっていなければ、明日の夜には合流ができそうだな。


 マルカに飯の支度を頼み、その間にモンスターの襲撃がないよう各所に壁などを設置し、補強しておく。

 空気の問題があるので、完全に封鎖できないが、この隙間からは虫くらいしか入って来ないだろう。


 今日の探索はここまでだ。

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