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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
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第23話 乗っ取り

 買い物を終え、クドラング城に向かう。

 相変わらず、門番に驚かれるも、アバンを呼んできてくれる。

 俺とアバン達の関係には慣れてくれたようだ。

 その間に、アルメには余計な事を言わないよう指示しておく。


「タカシ様、お久し振り……というは変ですね。数日振りですし。本日はどのようなご用件ですか?」

「忙しいのに、すみませんね。えっと、またダンジョンに行こうと思うんですよ。それで、一応声を掛けておこうかと思って」

「おお、また行かれるのですか。わざわざ申し訳ないです。しかしながら、休んでいた間の仕事が多数残っておりましてね……」

「だろうなとは思っていましたが、声を掛けておかないと、サラが拗ねるんじゃないかと思って」

「あはは、流石ですね。サラ様のことを良くお分かりで。立ち話も何ですし、どうぞ中へ」


 アバンに、以前入れてもらえた仕事部屋へ案内される。

 部屋に向かう途中、位の高そうな騎士にサラへ報告するよう手配していたので、あいつもその内来ることだろう。


「それで、次は何処に向かわれるのですか?」

「何か、ミリアがオスルムの北にあるダンジョンが良いんじゃないかと言っていたので、そこにしようかと」

「オスルムですか。私はあまりダンジョンに詳しくないのですが、ミリアさんが言うのでしたら間違いないのでしょう」

「えぇ、あいつにはその辺を任せきりで、頭が上がらないです」

「あははっ、信頼しているのですね」

「それはもちろんですよ」


 暫く、ウチのパーティーメンバーの話題で盛り上がる。


「気になっていたのですが、そちらの子は?」

「あぁ、新しい奴隷です」

「アルメじゃ」

「じゃ? 変わった喋り方をされるのですね」

「えぇ、まぁ。ちょっと変わった子でしてね」

「変わっておるのはお主じゃろう」


 変態に言われたくない。

 一般的には俺も変態の部類かもしれないが。


「そういえば、こいつの話で思い出したんですが、もう一人奴隷を迎え入れたんですよ」

「ほほう、その子も幼いのですか?」


 この即答……何なんだろうか。

 俺はロリコンで通っているのだろうか。


「いえ、しっかりした子、ですよ? ミリアに近いタイプの子だと思います。性格的には大人しいですが」

「そうでしたか。これは失礼。では、その子達も今回のダンジョンには同行されるのですか?」

「そうですね。一緒に行く事になると思います」

「ふむ、私もご一緒したいところではあるのですが……」

「大丈夫ですよ。自分の仕事を優先してください」


 アバンから申し訳なさそうに断られたところで、“バァンッ”と勢いよくドアが開く。


「うおっ、びっくりした!」

「はぁはぁ、タカシさん、待っていたわよ! また、ダンジョンに行かれるのでしょう!? 準備は出来てるわ!」

「おほぉうっ!?」

「ちょ、姫様! 何を言っているのですか!」


 アルメは、突然現れたサラの胸に釘付けだ。

 このエロジジイ……。


「私はタカシさんが行かれる所に、ご一緒すると決めているの!」

「なりませんよ。まだ半分も終わっていないでしょう!」

「嫌よ。またお母様にお願いするわ!」

「いいえ、それは無理ですよ。マル様本人から仕事が終わるまで、城から出すなと厳命されておりますので」

「そ、んな……」


 サラが膝から崩れ落ち、両手を地面に付けて絶望している。

 こんなリアクションの大きな子だったっけ……?

 先日のダンジョンの影響で、ラン辺りのリアクション芸が感染したのかもしれない。


「ねぇ、アバン。どうしても……?」

「どうしても、です」

「うぅ、タカシさぁん……」

「俺に言われてもな。王妃がそう言うのなら仕方がないだろう」

「タカシさんまで裏切るの!? 私は体だけが目的なのね!」

「そうだぞ」

「ひどいっ!?」


 嘘だけど。

 でも、やっぱり姉妹だな。ランに似てきた。

 俺としては、ランがサラに似て欲しいのだが。


「じゃあ、次。次はご一緒させてもらうわよ!」

「姫様次第です」

「ぐっ……わ、分かったわ。見てなさいよ?」

「えぇ、期待しております」

「そんなわけなの、タカシさん。残念ながら……私は今回行けないけれど、浮気しちゃダメよ。ファラちゃん頼むわね?」

「タカシのことはまかせて」


 ダンジョン、しかも人が全然近付かないと聞いているオスルムで浮気なんて無理な話なんだが、二人が見つめ合、互いに頷く。

 何なんだ、こいつらのアイコンタクトは……。


「でも、わざわざ誘いに来てくれたのでしょう? ありがとう」

「そりゃあ、サラも俺のハーレム要員だからな。当然だ」

「うふふ。久し振りにお話できて、楽しかったわ。帰ったら、また寄ってくださいね?」

「ハーレムって……」

「アバンさんも、ある意味俺のハーレム要員ですよ?」

「わ、わわ、わた、私は男です!」


 俺にその気は無いが、何故かアバンが焦って照れている。

 男相手にモジモジするのは止めてくれ。


 変な空気になってしまったので、二人に別れを告げ、その場から屋敷に直接飛んで戻る。

 そうだった。今は誰も居ないんだった。

 ついでに、椅子に座り少し休む。


「ふぅ……」

「さっきのは、クドラングの姫さんなのかの?」

「そうだ。それがどうした?」

「あの胸は良いぞ。ふかふかじゃろうて」

「うるさい。俺のモノに手を出したら、魂を引っこ抜くぞ」

「ちょ、止めるのじゃ。頼むぞい!?」


 そうだ。これからは、このエロジジイも屋根の下一緒に暮らす事になるんだ。色々と制限を設けておかないとな。


「おい、アル」

「なんじゃ?」

「俺は、アルメという可愛い幼女を奴隷として購入したんだ。アル何とかっていうエロジジイを購入したつもりはない」

「うむ。そのくらい我だって分かるぞ」

「だから、俺のハーレム要員に手を出したら、分かるな?」

「ふーむ。じゃが、一緒のベッドで寝るからのう……何か間違いが起こらないとも言いきれんぞ」

「分かるな?」

「う、うむ。じゃが……」

「分かるな?」

「むぅ、分かった分かった。手を出さない。出さないと誓うぞい」


 口約束だけでは心配だ。

 それでもし、ミリアやファラに手を出しました、では、殺しても俺の怒りは収まらないだろう。


「俺の名前を知っている女の子に触れると激痛が走る」

「なっ!? まさか、我に言術を使ったのではあるまいな!?」

「流石、元とはいえ賢神だな。その通りだ」

「あぁ、何てことを……」

「ファラ、アルメに触れてみろ」

「わかった」


 俺の側でじっとしているファラが、スッとアルメの肩に触れる。


「ぐあぁがががっ」


 中身がジジイだとはいえ、幼女が悶え苦しんでいるのを見るのは罪悪感が凄まじいな。


「分かったか?」

「がはっ……わ、わ、かった……」

「エロい事をしたければ、お前が自分で可愛い子を連れてこい」

「はぁはぁ……そうすることにするぞい……」


 まぁ、連れてきて俺の好みだったら俺の名前を教え、俺の配下に入れてしまうわけだが。

 しっかり働けよ、奴隷。


「そういえば、話は変わるが、本当のアルメは死んだと聞いたが、それは本当なのか?」

「恐らくな。この体に入って暫くは、儂の意志は無くて、詳しくは知らんのじゃが」

「ん? じゃあ、お前の意志が表に出て来るまでは、その体を誰が動かしていたんだよ?」

「知らん。我の意志が出た後に聞いた話じゃと、不気味だったから奴隷商に売ったという話じゃから、夢遊病のような状態じゃったのかもな」


 生きるゾンビかよ。こえーな……。


「てか、アルメが可哀想じゃないか!」

「そう言われてものう……。折角娘が蘇ったというに、怖いからと奴隷として売り飛ばす親もどうかと思うぞい」

「それはそうだが。それで、アルメは今どうなっているんだよ?」

「我の構築した理論通りであれば、完全に死んでしまうと転生体である魂の入る余地は無くなるからの。本来の魂自体は、まだこの体の中にあり、今は我と同化しているはずじゃ」


 構築した理論とか言っているが、さっぱり分からない。


「どういうことだ?」

「うーむ、どう説明したもんか……」

「分かり易く説明しろ。じゃないとまた激痛だぞ」

「わ、分かった! ま、まず、我の構築した式じゃと、死んだ魂が肉体から出ていく前に一旦引き留めて、元の魂を繋ぎに、新しい魂を入れ込むのじゃよ」

「それ、転生じゃなくて、ただの乗っ取りじゃねーか」

「まぁそうなるの。ただ、対象は死ぬから魂が抜けるわけじゃし、誰かがそこに入って、肉体を再利用するのであれば、それはそれで良いのではないか? 入る方の体は魂が出てしまうわけじゃから、そちらは完全に死ぬし、単に器を替えただけじゃ」


 再利用するとか、器を変えただけとか、完全に科学者脳だな。


「元の魂が蘇る事はないのか?」

「あるぞい。ただそれをしてしまうと、我が消えてなくなるから、試した事はないがの」

「なぁ、ちょっと試してみてくれよ。俺は、アルメとイチャイチャしてみたい」

「な、何をいうか! やじゃ! 我はまだ幼女を満喫したい!」


 ダメか……。

 アルメの話は止めよう。ファラがつねってくる。


「いてて……それ以外に、元のアルメを出す方法はないのか?」

「うーむ。無い事もないが、現在の我の魔力ではどうにもならん。それに、その方法を試したとしても、我は結局アルメちゃんと話が出来ないしの。やる価値はない」

「お前の価値なんて聞いてねぇよ。俺には価値があるから聞いてんじゃねーか」

「やじゃ。我が消えるまでは、アルメちゃんと共にあるのじゃ!」


 消えるまで、ということは時限なのかもな。


 仕方がないな。とりあえずは、こいつのレベルを上げて魔力量を増やしてやろう。

 その後にでも、神口で方法を聞き出して、本物のアルメちゃんとチョメチョメしよう。


 こいつが、アルメの魂を繋ぎにしているように、俺からしたら、アレスティアの魂がアルメ復活までの繋ぎだ。


「何を考えておる! 不気味じゃぞ!」

「老い先短い魂だから、女の子に囲まれた生活を楽しませてやろうと思っただけだ。優しいご主人様に買われて良かったな」

「楽しませてくれるのか!?」

「おう、少しだけだぞ?」

「ひょー、嬉しいぞい! お主に買われて良かった!」


 それにしても濃いジジイが仲間になったな。

 それはそうと、ミリア達はどんな感じだろうか。


――ミリア、聞こえるか?

――――はい、聞こえますよ!

――そちらはどんな感じだ?

――――もうすぐ到着します。どうしますか、こちらに来ますか?

――そうだな。到着したら合図してくれ。それまで待機しておく。

――――はい、分かりました!


 もう到着するのか。どうするかな。


 明日から出発しようと考えていたが、サラやアバンには挨拶してきたし、アルメのレベルも上げないといけないから、もう今日の内に入ってしまうかな。

 今回は転移アイテムがあるから、前回のように徒歩で皆と合流をしなくて良いから楽だし。


 そんな事を考えながら、ファラといけない遊びをしつつ、それをアルメに見せつけていると、腕輪に反応があった。


「おっと、すまない。呼び出しだ。ちょっと行ってくる」

「んっ、ふぅ、わ、わかった」

「くそぅ、くそぅ……」


 ぐったりしたファラを隣の椅子に座らせ、悔しがっているアルメを無視、ミリアの方に転移――召喚される。


「うおっと」

「きゃっむぅうう」


 いつも通りミリアの至近距離に召喚されたので、キスしておく。


「ぷぁっ、もう! 何でいつも、き、きき、キスするんですか!」

「だって可愛い顔が目の前にあるから」

「うぅ……もう……」


 ミリアの頭を“ぽんぽん”と叩きながら、周りの状況とマップを確認していく。


「タカシ殿、ここら辺はモンスターも強いようだよ」

「そうか。でも一撃なんだろう?」

「そうだね。ボクも強くなったし、今のところは」

「ミュウはどうだ?」

「ふんっ、みゅにかかればよゆーです」


 ルリアとミュウが戦えるのなら、大丈夫だろう。


「ねぇ、お兄ちゃん、何でランには聞いてくれないの!?」

「ソシエは大丈夫だったか?」

「え、はい。皆さんが守ってくださっていたので、何とか」

「ねぇ、お兄ちゃんってば!」

「なら良かった。それじゃあ、ちょっとあいつら呼んでくるな」

「ちょっ」


――シュンッ!


「よし、まだ夕方まで時間があるから、今日ダンジョンに入るぞ」

「わかった」

「がっ……ふっ……」


 屋敷に戻り、予定を伝えると、先程のままファラは椅子に座り、何故かアルメが床に転がっていた。

 俺が居なくなったから、ファラに触れたのだろう。


 阿呆か……。


 二人を回収し、ミリア達の下に戻る。

 アルメはとりあえず、そのまま地面に転がしておく。


「皆、アルメには触れるなよ。触れたら死ぬかもしれん」

「なんで!?」

「ボス、また何かしたの!?」

「ふえぇぇ」


 “また”って何だよ、“また”って……。


「見た目は幼女だが、中身がジジイだと分かったからな。お前達に手を出さないよう呪いを掛けておいた」

「タカシさんらしいですね……」

「お兄ちゃんは相変わらずだねー」

「流石タカシ様です!」

「ご主人は呪いを使えるのですね……」

「おう、お前に使う事はないがな」

「ほっ……」


 ソシエは新人だしな。

 自分にも掛けられるかもしれないと、そこは心配なのだろう。


「よし、それじゃあ行こうか!」

「はい!」


 パーティーを分け、皆で手を繋ぐ。

 アルメは手を繋いだ瞬間に、再度悶絶していたが無視だ。

 少しの辛抱だ。我慢しろ。


 そのまま、全員でダンジョンの中に突入する。

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