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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
112/145

第19話 昇天

 翌日、朝食の時間、装備についてミリアへ尋ねてみた。


「なぁ、ミリア。皆の装備を一新しようと思うんだが、前言ってた性能、使い易さ、デザイン以外で一番装備が充実している武具屋があるのは、どの街だ?」

「装備ですか……充実しているのはクドラングと思います。ただ、タカシさんが良く気にしている見た目も含めると、スワルトです」

「俺のこと良く分かってるなー」

「そりゃあまぁ……」


 クドラングの店を覗いてみたことはあるんだが、どうもゴツゴツしていて、見た目がよろしくないんだよな。

 性能面である、攻撃力や防御力に関しては、どこの街よりも一番高そうではあるんだが。

 こう、ダサいっていうか、何というか……。


「じゃあ、スワルトに行ってみるかな」

「私達はその間、何をすれば良いですか?」

「そっか。昨日休暇を与えたし、連日休暇っていうのもなぁ」

「私は図書館に行けるのであれば、休暇でも嬉しいですが」

「ふむ」


 こいつらだけで、モンスターを狩りに行かせるのは心配だしな。かといって、ミリアだけ図書館に行かせるのは……。

 それに九人だからな。パーティー分配も大変だし、悩むな……。


 あ、そうだ!


「なぁ、ミリア。魔族領って、遠いのか?」

「何ですか、突然? うーん、シュスルスの森からそんなに距離は無いですよ。半日も歩けば、小さな村があったと思います」

「そうか。じゃあさ、シュスルスの森まで送るからさ、お前達皆で魔族領の方へ行ってみてくれないか?」

「え、タカシさんはどうするんですか!? 一度行った事のある所じゃないと、転移できないんじゃ?」

「ほら。アースドラゴンから手に入れた、腕輪があるじゃないか」

「腕輪……あぁっ!」


 察してくれたようだ。

 そう、こいつらに移動だけしてもらい、俺を呼び寄せてもらう。そうすれば、後はいつでも移動が可能だ。

 咄嗟の閃きだったが、これは良い案だな!


「ただな……俺がそちらに飛ぶんじゃなくて、腕輪を持っている奴が俺の方に飛んできてしまったら、何の意味もない」

「ですね。腕輪も一緒にそっちに行ってしまいますし」

「それをランに任せるのは怖い。だから、ミリアがやってくれ」

「ひどいっ!?」

「え、えっと、ランさんごめんなさい……」

「ミリアちゃんもひどいっ!?」


 ランに身に付けさせていた腕輪を奪い、ミリアに渡す。


「はい、確かに」

「ランだって、そのくらいできるし!」


 ちょうど飯も終わったので、練習させてみるか。


「マルカ、すまない。少し練習するから、その間に片付けを頼む」

「ひゃい!」

「ミリア、ラン、ちょっと表に出るぞ」

「はい」

「任せて!」


 三人で表に出たつもりだったが、話を聞いていた皆がゾロゾロと家から出てきた。まぁ、待っているだけは暇だしな。仕方がない。


「それじゃあ、俺は今から腕輪を付けた状態でスワルトに飛ぶぞ。合図したら俺を呼び寄せてくれ」

「分かりました!」


 腕輪は、先程ミリアに渡したばかりだったので、ミリアの方から練習を行ってもらう。


 もう一つの、対になっている腕輪をインベントリから出し、腕に通してから神脚を使い、スワルトに飛ぶ。


――よし、ミリア。やってくれ。

――――はい。いきますよー。大丈夫かな……タカシさん、来い。タカシさん、来い。えーい。


 不安なのか、可愛い心の声がダダ漏れだ。

 ミリアの心の声にニヤニヤしていると、腕輪に反応があった。

 応答する為に、腕輪に魔力を流す。


 大丈夫だろうか。

 先日、俺がファラに対して使った時、魔力を流して、相手の魔力を感じた後、自分の魔力で引っ張るような所作というか、そういうコツのような動作が必要だったのだが……。


――シュンッ!


「わぁ!?」

「おおっと!?」


 ミリアが使用できるかどうか心配していたら、突然ミリアが真横に現れた――いや、屋敷だし、俺の方が移動したんだ。

 なるほど。転移ってこんな感じなのか。


「出来ました!」

「おう、よくやったな。さすが魔導士様だ」

「えへへ……」

「さぁ、次はランだな。おい、ミリア。コツとか教えるなよ?」

「大丈夫だって! ちゃんとできるよ!」


 ミリアは、腕輪をうまく使えたことが嬉しいのだろう。ニコニコしながら腕輪をランに渡す。


「合図したら腕輪を使え。それじゃあいくぞ」

「任せて!」


 これはフラグだろうなと思いつつ、今度はザクゼルに移動する。


――いいぞ。やってくれ。

――――いっくよー! えっと、まずは腕輪に魔力を流してー……あれ?


 何かに戸惑っているみたいだが、ミリアの時同様、腕輪に反応があったので、自分の魔力を腕輪に流す。

 ここまではミリアの時と全く同じだ。


――シュンッ!


「ひゃっ!?」

「うおっ!?」


 ランが現れた……うん、分かっていたよ。

 こいつ、相変わらずフラグ回収がうまいな……。


「えっと、ね。違うんだよ」

「何がだ?」

「えっと……タカシ君を感じたんだよ!」

「おう。そりゃあ、そうだろうな」

「うん……その、感じた方に魔力を流してみたんだ……」

「そうか。それで?」

「……きちゃった! てへっ」


 首を傾げて半笑いでウインクされても可愛くねぇよ。


 先日、ランに掛けてみた呪いをハッスルする時にでも使おうと、こっそり省略していたが、まさか早速使う機会が来るとは……。

 しかも、名前を呼ばれた場合ではなく、即効性のある改良版だ。


「昇天」

「なっ!?」


 呪いを掛けると、毛が逆立ち、尻尾がピンと伸びて、体がビクンとなった後、ランはその場に膝をつく。


「昇天、昇天、昇天、昇天」

「やめっ、きゃふっ、はんっ、んーっ!!」


 ドシャアっと地面に顔から崩れ落ちる。

 先日のように、下半身がびしょびしょにはなっていないので、まだ大丈夫だろう。

 股間を押さえたまま、地面にうつ伏せの状態で、ビクンビクンと痙攣しているランを肩に担ぎ、神脚で屋敷に戻る。


「あ、おかえりなさい。えっと、その……失敗、ですか?」

「見ての通り、既にお仕置き済みだ」

「ひぅ……」

「じゃあ、これはミリアに頼むな」

「はい。私で大丈夫ですか……?」

「あぁ、大丈夫だ」


――コツなんだけど、作動後に俺の魔力を感じたら、自分の魔力を更に流すと失敗する。俺の魔力を自分の魔力で引っ張ってくれ。

――――なるほど、分かりました! ふぁぁっ、危なかったぁっ!? 迷ったんだよね……。


 ここまで説明すれば、ミリアなら失敗はしないだろう。

 よし、練習も終わったし、マルカも片付けが終わったようなので早速行動を開始するかな。


「マルカとミュウはどうする? 今回はダンジョンではないから、屋敷に居ても良いぞ?」

「ふぇっ!? え、あの、ど、どど!?」

「面倒です。みゅは寝るです」

「お前は、俺専属のメイドだぞ? 仕事しないといけない時間に、病気でもないのに寝て良いと思っているのか?」

「しょ、しょだよ! ミュウちゃ!」

「うぅ……」


――どうする。ミリアと一緒に行くか? 俺と一緒に来るか?

――――なっ、何でっエロ大王と一緒に行くことになるですか! ご主人様とお買い物……。

――嫌なら別に良いが。

――――ふんっ、家でゴロゴロするですっ! 冒険も楽しそうです……でも、お買い物……。

――何か買いたい物があるなら、買ってやるぞ?

――――じ、自分で買うです! うぅ、ご主人様にパンツが欲しいだなんて言えないもん……。


 あぁ、そうか。ミュウの服は買ってやったが、下着類は数枚しかなかったんだ。

 すまないことをしたな……。


「よし、決めた。マルカはミリアと一緒に行ってくれ。ミュウは、俺の買い物に付き合え。これは、命令だ」

「ひゃぅ!? う、ウチでしゅか!?」

「ちょ、勝手に決めやがるのはおーぼーです!」

「マルカとミュウがパーティーから抜けたら、レイドパーティーが組めなくなってしまうからな」

「うぅ、足手まといではないでしょうか……」

「無視しやがるですかっ!?」

「大丈夫だ。移動だけだし、何もしなくて良い。移動中、ファラにお菓子のレシピを教えてあげてくれ」

「おかし」

「あうあう……」


 八人なら、六人と二人でレイドパーティーが組める。そしたら、皆の事はミリアに任せて俺はミュウとデートができる。

 この作戦でいこう。


「そうと決まれば、早速移動だ。ほら、皆掴まれ」


 皆が捕まった事を確認し、シュスルスダンジョンの入口があった場所まで神脚を使って移動する。

 ランの膝が震えているが、意識はあるので大丈夫だろう。


「それじゃあ、ミリア。後は頼んだぞ?」

「はい。念の為、定期的に連絡くださいね?」

「おう、分かった。それじゃあ行ってくる」

「いってらっしゃい」

「ちょっと! みゅもお姉ちゃんといっ」


 ミュウが抵抗していたので、無視して転移する。


「っしょに行くです!」

「もう手遅れだ。さぁ、俺とデートしような」

「なぁっ!? エロいことされるです! 誰かーっ!」

「うるさい。本気で怒るぞ?」

「うぅ……」


 たまには二人っきりも良いじゃないか。

 常にこいつの本音と会話できたら良いんだがな……。

 ただ、周りの奴等にミュウの本音を聞かれるのは避けたい。


「ほら、行くぞ」

「むぅ……」


 そういえば、ミュウは近接型だからMPをほぼ使わないな。

 常時、指輪に垂れ流しでも問題ないのでは……しかし、四六時中心の声が聞こえるっていうのは、奴隷以下の扱いだな。


 俺が傍に居る時だけ。うーむ、垂れ流しと変わらないな。

 発声した時だけ、指輪に魔力を込めるのはどうだろう?

 いや、発声した後に本音を言うから意味がな、い……そうか! 発声した後に魔力を込めるようにすれば良いのか!


「ミュウ、ちょっと待っててくれ」

「さっきから何なんですか!」

「いいから」


 ミュウから離れて、“発声した後暫く指輪に魔力を込める”を、“本音”に省略する。


「待たせたな。ここからは二人きりだし“本音”で話そうな?」

「本音? みゅはいつだって本音です(素直になりたいです)」

「そうだったな。とりあえず、服を買いに行こうか。ミュウには、下着とかあまり買ってあげる機会がなかったからな」

「べ、別に、いいです(覚えててくれたんだぁ)」


 よし、成功だ!


 しかし、これなら副音声として機能するが、俺以外の奴と喋っている時にも心の声だけ俺に届くから、まだ改良の余地はあるな。

 後で、解除用の省略文も作っておくことにしよう。とりあえず、今は二人きりだし、このままでも問題はない。


「毎日頑張っているからな。たまには良いじゃないか」

「そこまで言うなら、買わせてやるです(やったやった!)」


 本人も無意識の内に、指輪へ魔力を込めていることに気が付いていないみたいだし、完璧だな!

 そのまま少し会話をしながら、住人に服屋を聞いて移動する。


「ミュウ、人が多いし、手を繋いでおこう」

「なっ!? さ、さては……エロい事を考えてるですね! みゅに何をする気ですか(手、えへへ……やった!)」


 口では抵抗しているが、実際に手を取ると握り返してきたので、そのまま手を繋いで歩く。

 典型的なツンデレさんめ!


 まずは服屋に入り、服を選んであげる。


「これなんか可愛いんじゃないか?」

「お、お姉ちゃんとお揃いだから要らないです(いいかも……)」

「じゃあ、これ買うか」

「何を聞いてやがったですか! (大事にしよっ!)」


 その後、今回の目的である肌着などを見て回る。


「おい、この下着ちょうど良いんじゃないか?」

「な、何でパンツまでエロ魔人が選ぶですか! 要らないです! (うぅ、恥ずかしいです……ご主人様はこの色が好きなの?)」

「俺はこの色が好きなんだけどなぁ」

「聞いてもないこと答えなくて良いです! (そっか……)」


 子ども用の下着は、どれもこれもドロワーズのような、もっさりした紐で縛るような物ばかりだ。

 少し大きいかもしれないが、ミュウに似合いそうな色の、小さなパンツを適当にピックアップしておく。


 一つ一つ、ミュウの反応を確かめながら選んで、それらを店主に渡し会計を行う。


 店を出る前にインベントリに入れてもらうため、購入したものをミュウに渡したが、今更冒険者登録をしていない事に気付く。

 そういえば、他の連中も登録していなかった……。次ダンジョンに行く前、全員登録させておこう。


 ギルドに登録させる奴等の顔を順に思い浮かべてみると、ふと、マルカが料理の際にどこからともなくアイテムを出していたような気がした。

 インベントリを使う事自体が当たり前になっていたので、普通にスルーしてしまっていた。

 あれは見間違いなどではないな。確かに食材を出していた。

 あいつは何者だ?


――ミリア。聞こえるか。

――――はい、聞こえますよ。あ、もうお昼過ぎていたんですね。

――そうみたいだな。一つ質問があるんだが、今大丈夫か?

――――はい、モンスターも全然出てこないので、問題ないです。

――あのな、冒険者以外にインベントリを使えるジョブはあるか?

――――はい、商人の派生が使えますよ。それがどうしたんです?

――あぁ、いや、疑問に思っただけだ。ありがとう。

――――はぁ、それだけですか……?

――おう、また連絡する。

――はい。


 なるほど。商人が使えたのか……この情報も今更なんだろうな。てっきり、冒険者しか使えないものだと思っていたし。

 あれ? でも、ミリアは商人を修得していたはずだが……初めに出会った時は、インベントリに何も入っていなかったな。

 それに、皆のステータスを覗いた時、INVのリストに何か表示されていたような。ポーションとか渡したし。

 いや、ポーション類は腰に下げたバッグに入れたりしていたな。


 どうなっているんだ……?


 インベントリに入っていなくても、所有していればリストとして表示されるのだろうか。今更ながらの大発見かもしれない。

 確認したいところではあるが、屋敷に帰ってから実験をしよう。こういう実験等は、色々と聞かれないファラなんかが最適だし。


「さっきから固まって何してやがるですか(調子悪いのかな?)」

「おお、すまない。折角のミュウとのデートだからな。一緒に何を食べようかと考えていたんだ」

「お腹は減ってないです(で、デート! デート!)」

「良い時間だし、ちょっとそこら辺の店にでも入って休憩しよう」

「どうせエロいことしか考えてないですね! (デート!)」


 これ以上考えても仕方がないので、ひとまず近くにあった飲み屋のような店に入って時間を潰す。

 そこでは、ミュウがウチに来る前は何をしていたかなど、ミュウの過去について少しだけ話を聞くことができた。


 ミュウは、魔族として暮らしていたが、本当は魔族とエルフ族の混血らしい。

 言葉遣いについては、混血が原因でイジメ等に遭っていたので、少しでも自分を強く見せるために今のような感じになったらしい。

 本音が聞けるって便利だな……。


「ミュウはもう、ウチの家族の一員だからな。俺のことを父親だと思ってくれても良いんだぞ?」

「ふんっ。エロ親父の子になんかなりたくもないです(ご主人様がパパか……楽しそうだなぁ)」

「お前が何と言おうが、俺の娘という事にする。今日からは、俺の事をパパと呼べ」

「やです(いきなりパパだなんて恥ずかしいし……)」


 少し暗い話になっていたので、少し空気を変えておく。


「おっと、もうこんな時間か。デートっていうのは、時間の経過が早いな。娘とデートというのも変な話だが」

「ジジー達はすぐ、時間の流れがーとか言いやがるです。だから、エロ魔王はジジーです! (エロジジー……ぷぷぷっ)」

「お前は、そのエロ魔王の娘だがな」

「娘じゃないです! (エロくないもん!)」


 ミュウも楽しんでくれているようなので、良かった。

 そのままからかいながら飲み屋を出て、もう一つの目的である、武具屋に向かう。

 ミュウの下着類を買ったことで、つい満足してしまっていたが、本当の目的はこっちであることを忘れていた。


「ミュウ、俺は皆の分を選んでくるから、その間に、お前が使ってみたい武器を選んでおいてくれ」

「面倒です(パ……ご主人様に選んでもらいたいのに)」

「あぁ、やっぱり全員の装備を選ぶのには時間が掛かるし、一緒に選んでくれるか? その後に、お前の武器を一緒に見よう」

「仕方がないですね(やった、やった!)」


 ミュウと二人、武器や防具に対して、あーでもないこーでもないと言いながら、全員分を選んでいく。

 デザイン中心に決めていったが、性能は現在使っている装備より高性能な物ばかりなので、結果的には満足だ。


 最後にミュウが使う武器を選ぶ。

 ミュウには、槍や斧を使わせてみたが、斧を気に入ったようで、自分の体くらいある両手斧を選んだ。

 使えるのか心配だったが、本人が一目惚れをしたみたいなので、何も言わず斧を購入してあげる。


「こんなもんか」

「エロ大臣の相手は疲れたです(こんなに楽しかったの初めて)」

「今日はミュウの物が沢山買えたし、俺は満足だ。また行こうな」

「ふん、疲れるからやです(今度は本当のデートみたいに……)」


 俺の行動範囲拡大の為、頑張ってくれているあいつらには悪いが少しはミュウとの距離が縮まった気がしたので嬉しい。

 そろそろ夕方だし、あちらも良い感じだろう。


――ミリア、どんな感じだ?

――――あ、タカシさん! 待ってましたよ。

――すまない。もう村に着いたのか?

――――えぇ、かなり前に着いて、今は皆で休憩しています。

――そうか。じゃあ、俺をそっちに呼んでくれないか?

――――はい! 頑張ります!


「ミュウ、ちょっとミリア達のところに行ってくるから、少しだけ待っていてくれないか?」

「仕方がないですね。さっさと行くです(少しだけだよ?)」


 路地裏に移動して、隅に置いてあった木箱に腰を下ろすと同時に腕輪から魔力を感じたので、自分の魔力を流しておく。


――シュンッ!


「おっとと!?」

「できました!」


 ミリアの真正面に座った状態のまま呼び寄せられたので、尻もちをついてしまう。

 周りの景色をしっかりと覚え、マップを確認する。


 マップが広がっているので、間違いなく俺の知らない場所だ。

 ミリアの手を貸してもらい、立ち上がる。


 立ち上がりながら、ミリアにキスしてみる。


「ぷぁっ!? な、なな、なっ」


 目を見開いて、口をパクパクさせている。不意打ちだったので、驚いたのだろう。

 怒られる前に、ミュウの下に逃げ――ミュウを迎えに行く。


「お待たせ。それじゃあ、皆の所に行こうか」

「早くするです(お姉ちゃん達大丈夫かな?)」


――シュンッ!


「もうっ! タカシさん! さっきのは何ですか!」

「え、愛情表現。そんなことより、皆は何処だ?」

「誤魔化さないでください! びっくりしたんですから!」

「皆は何処だ?」

「もう!」


 ミリアの声に反応したのだろう、皆がゾロゾロと集まってくる。


「お兄ちゃん、おかえりー」

「おう、皆。そろそろ良い時間だから、屋敷に帰るぞ」

「「はーい!」」


 皆を集めて、屋敷に戻る。


「それじゃあ、マルカ。晩飯の支度お願いして良いか?」

「ひゃい! おまかしぇ、おまかせくだしゃい!」


 言い直しても噛んでしまったマルカに晩飯の用意を任せ、皆には休憩してもらい、その間に風呂の掃除をしておく。


 明日はどうするかな。

 いい加減、次のダンジョンにも行きたいし個別にイチャイチャもしたい……難しいところだ。

 ダンジョンで思い出した。毎回アバン達が来るわけではないし、そろそろ新しい家族――という名の奴隷でも探すかな。


 明日の予定も含めて、ミリアに相談してみよう。

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