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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
110/145

第17話 お漏らし

 前日早く寝たこともあり、日が昇る前に目が覚めた。

 周りを見ると、まだ早朝であるにも拘わらず、ファラとランしかベッドには寝ていなかった。

 今日のミリアは、朝に強いミリアのようだな。


 ファラは安定の抱き枕となっている、いや、抱き枕にされているので、ランを空間で浮かせ、ゆっくりとこちらに引き寄せる。

 ちょうど腕の中まで移動させたところで、ランが寝返りをうってこちらに抱き付いてきた。

 耳元で名前を囁いてみる。


「……ラン」


 一瞬体が“ビクンッ”と強張った後、プルプルなり始めた。

 寝ていても、耳から聞こえれば効果はあるのか……。

 ただ、失神していた時には効果が無かったから、寝ているのか、気を失っているかで少し効果が違うのだろうな。面白いな。


「ラン、好きだぞ、ラン、可愛いな、ラン」

「……タカシ、ファラよりランが好き……?」


 ランで遊んでいるとファラが起きたようだ。

 上目遣いで愛おしく思うようなことを言ってくる。


「そんなことはないぞ。ファラが一番だぞ?」

「ならいい」


 裸で抱き付いて、上目遣いという新しいスキルを覚えたファラは凄まじい攻撃力だな。

 ランがプルプルからブルブルになり、俺の体に強くしがみ付いてきたが、放置して、ファラにキスをしてあげる。


 ファラを唇を堪能していると、太もも辺りが温かくなってきた。

 慌ててランの方を見ると、何かを悟ったようなスッキリした顔をしている。……こいつ、漏らしやがったな!


 それよりも、尿を掛けられたことに驚かない自分の新しい属性、“尿”に驚く。

 そういえば、ミリアも散々放尿させたっけ。こうやって性癖とか分かっていくんだな。


 そうじゃない。違う。

 そんなことよりも、今はこのビショビショを何とかしないと。


「ファラ、ちょっと良いか?」

「ん?」

「ランがお漏らしした。片付けるから、少し離れててくれ」

「お、おもっ……」


 ランのお漏らしが面白かったのだろうか。ファラが、口を押えて反対側を向いてプルプルし始めた。

 素で笑っているファラなんて、初めてみたな。感情を表に出してくれるようになってきて良かった。


「おい、起きろ。おい」


 ランの名前を呼ぶと追撃が来る恐れがあるので、揺すり起こす。


「はぁはぁ……はぁ……なぁ、にぃ?」

「起きろ。そして自分の股間を見ろ」

「ふぅふぅ……何な……なぁっ!?」

「盛大にお漏らししやがって。ほら、片付けるから起きろ」

「えっ、うそっ!? これ、ランが!? やだやだっ!」


 ガバっと立ち上がったと思ったら、自分の股間をペタペタ触った後、そのまま倒れ込む。

 足に力が入らないのだろう。


「え、ちょ、なに、何で、立てないよ!? んぅーっ!」

「知るか。それより、ほら、パンツを脱げ」

「え、えぇ、えぇ!? ちょっと!」


 ビショビショになったパンツを脱がす。


「もうやだ……ぐすん。お嫁に行けない……」

「大丈夫だ。お前は既に俺の嫁だからな」

「そういう問題じゃ……この歳でお漏らしなんて……」


 真っ赤になった顔を、両手で顔を覆い俯いている。

 お漏らしをさせたのは俺だ、とは言わないでおこう。


「ほら、そっちに移動してくれ。片付けられない」

「うぅ……いいよぉ。ランがやるから……」


 片付ける為布団を掴むと、布団を奪い、それを握り締めたまま、生まれたての小鹿のように、プルプルなりながらも立ち上がる。


「はぁはぁ……これ、絶対お兄ちゃんが何かしたでしょ! 足に、全く力が入らないんだけど!」

「俺はファラとイチャイチャしていただけだ。そしたらお前が俺に抱き付いてきて、シャーっと漏らしやがったんだよ」

「ファラがタカシとキスしてたら、ランが漏らした」

「はぅっ!? がっ、まっ!?」


 プルプルなりながらもやっと立ち上がったと思ったら、ファラの発言によって自分のお漏らし部分に向かって盛大に顔から倒れる。


――ベチャッ


 そのままプルプルなりながらも、お漏らしまみれの顔をズラしてこちらを睨んでくる。


「ふぅふぅ……はぁ、お、お兄ちゃ、これ、何なのっ」

「知らん。ほら、片付けてやるから、手を離せ」

「も、もう……はぁはぁ、うぅ、やだ……」


 言う事を聞かないので、スリープで眠らせて、空間魔術を使い、邪魔にならない場所へ移動させる。


「ファラ。朝っぱらから汚れてしまったし、風呂に入りたいから、沸かしてきてくれるか?」

「わかった。ファラも入っていい?」

「おう、一緒に入ろうぜ」

「ん」


 ファラに風呂を頼み、布団をインベントリに収める。


 別に、女の子達の尿付きのアイテムを集めているわけではない。洗うためだ。

 ミリアやファラの尿付きアイテムは洗う機会がなかっただけだ。再度言うが、集めているわけではない。断じて。


 って、誰に言っているんだろうな。

 まぁ、俺の性癖の話は置いといて、ランを風呂まで運ぶか。


 ランを荷物よろしく肩に担いでリビングに行くと、ミリアは椅子に座って、何かを書いていた。

 それを覗き込みながら、挨拶をしておく。


「ミリア、おはよう。何を書いているんだ?」

「あ、タカシさん。おはようございます。えっと、これは、な、な何でもないです!」


 本みたいだったが、詩でも書いていたのだろうか。


「心配しなくても良い。俺はこの世界の字が読めないからな」

「べ、別に隠すつもりはなかったんです! ごめんなさい。えっと皆さんが使える、ジョブやスキルなどをまとめていただけですよ。ただ、その、私の主観というか……メモも入っているので、それを読まれるのが恥ずかしくって……」


 珍しく早口に喋っているし、その主観とやらが気になるな。

 ミリアは素直だから、ツッコミを入れたらボロが出るだろうが、今はそっとしておこう。


「そ、それより! ランさんどうしたんですか!? 何か、珍しくファラも朝から元気にしていたみたいですけど」

「あぁ、その、なんだ。ランの名誉に関することだから、内緒だ」

「何ですかそれ……」

「内緒だ」

「何でランさんはパンツを脱いで、あぁ……」

「内緒だ」

「はい。内緒ですね。黙っておきます」


 ちょっと匂うしな。状況から察したのだろう。

 察しの良いミリアを置いて、ファラの待つ風呂に移動をすると、ファラは既に全裸待機していた。


「準備できた」

「おう、ありがとうな!」


 頭を撫でた後、肩に手を置いて一緒に風呂に入る。

 掛け湯なんて知ったことではない。


「ふぅ……朝風呂も良いな」

「んぅー……」


 ランはこのままでも面白いが、流石に日常生活にも支障をきたすレベルなので、解除してあげよう。

 これは夜のスキルであって、昼に使うものではなかったな……。

 もう満足したし、ランの呪いを解除してやる。


「おい、ラン! 起きろ!」

「ふぅぁ……あうっ!? おしっこ!?」

「違う、ここは風呂だ」

「お風呂!? 何で!?」

「お前がお漏らししたからだろう?」

「えっ、夢じゃないの!?」

「夢じゃない、現実だ。お漏らしした事実を認めろ」


 寝惚けているのもあるだろうが、夢にしようとしてやがる。

 ミリアにはバレてしまったが、ランの名誉は守れただろう。


 暫くランの言い訳がましい戯言を聞きながら、風呂を楽しむが、朝からファラをのぼせさせるわけにはいかないので、体を洗った後すぐに風呂を出る。

 リビングに戻ると、マルカとミュウも起きて来たようで、朝食の準備をしていた。


「そういえば、ルリアとマリー、パル、パロ達の姿が見えないが、あいつらは何をしているんだ?」

「ルリアさんとマリーは修行だ、と言って外で訓練していますよ。パルとパロは探険だ、と言って何処かに行きました」

「あいつらは元気だよなぁ。でも、風呂をそのままにしておいて、ちょうど良かったな」

「はぁ……多分ですけど、アバンさんやサラさんに感化されたんだと思います。何か悔しがっていましたし」

「そうか。まぁ、無理はさせないように、ミリアも見ておいてやってくれ」

「分かりました」


 ルリアもマリーも、ステータス自体はかなり高くなっているが、剣術ではアバンに及ばず、魔術はサラに及ばなかったので、悔しいと思う気持ちは分かる。

 パルとパロは、もう少しおしとやかに……ならなくても良いか。元気な方が一緒に居て楽しいしな。


「それより、ミリア。一つ聞きたいんだが」

「はい、何でしょう?」

「奴隷ってさ、持てるお金に制限があるだろう? あれって、どうにかならないのか?」


 今日は休暇にして、小遣いを渡そうと思っていたが、どうしても制限が邪魔をする。


「普通に持たせれば良いじゃないですか」

「ん? だから制限があるじゃないか」

「いえ、そうじゃなくてですね、前お母さんのところに泊まる時、私に金貨を渡してくれたじゃないですか」

「渡したな」

「あんな感じで、インベントリには入れず、直接持っていれば良いだけですよ。ただ、ジャラジャラ持って街中を歩くのは、どうかと思うので、袋に入れて持ち歩くとか」

「あぁ、そういう事か。そういえば、あの時はまだミリアにも制限があったんだっけな」

「そうです。だから、もう分かっているんだと思ってたんですが」


 制限は、インベントリに入れられないだけか。

 よし、皆には財布を作ってあげよう。財布とはいっても、ただの布袋だが。


「ん? もうそろそろ、朝食が出来そうだな。ミリア、外の奴等を風呂に入るように言ってきてくれないか?」

「はい、分かりました」


 ミリアにルリアとマリーの事を頼み、今日の休暇で渡す小遣いや皆が行きたいと言っていた場所を再確認する。

 ミリアはまた図書館。ファラ、ラン、マルカ、ミュウは買い物。マリーとルリアは特に無し、パルとパロは何処でも良いから遊びに行きたいと言っていたな。


「ファラ、買い物はまたオスルムで良いか?」

「どこでも良い」

「一緒にマルカとミュウを同行させても良いか?」

「どうでも良い」

「そっか。ありがとうな」


 これで、ミリア、ファラ、マルカ、ミュウは決まったな。

 ランはいざという時、バングルで呼び寄せれば良いし、単独でも問題は無いだろう。

 パルとパロは二人っきりにすると心配だな。守るのも修行ということにして、マリーとルリアを同行させるか。


「タカシは? 一緒に来ない?」

「俺はちょっと用事があるからな。また今度一緒に行こうな」

「……わかった」


 残念そうにしているファラの頭を撫でて慰めていると、マリーとルリアが戻ってきた。


「戻りました!」

「おはようございます!」

「おう、おはようさん。汗を掻いただろう? ファラが風呂を沸かせてくれているから、朝食前に入って来い」

「「はい!」」


 マリーとルリアを風呂に向かわせた後、パルとパロに今日の予定について相談をしておく。


――パロ、聞こえるか?

――――おおう、ボス、おはよう! どったのー?

――おはよう。お前達何処かに遊びに行きたいって言っていたが、スワルトで良いか?

――――いいね! アタシ達エルフだけど、スワルトに行ったことないんだよね! 一度行ってみたいかもっ!

――そうか。マリーとルリアを同行させるが、構わないか?

――――もっちろーん! パルも良いってよー!

――ありがとうな。じゃあ、そろそろ朝食だから、戻ってこい。

――――はーい!


 よし、これで全員の行先は決まったな。

 小遣いは、3金もあれば何でも出来るだろう。たまには、羽目を外して楽しんでもらおう。


 マリーとルリアが風呂から上がってきたので、朝食を摂る。

 朝食が終わった後、片付けはミュウに任せて、まだ使っていない上質な布をマルカに渡して、皆の分の財布を作ってもらう。


「タカシしゃま! こ、これで、これでいいですか!?」

「おう、上出来だ。マルカは何でも出来るな。ありがとう!」

「い、いいい、いい、いえ、いえ! このくらいっ!」

「じゃあ、これはマルカの分な」

「ほへ?」


 作ってもらった布袋に、早速金貨を3枚入れて、マルカに渡す。

 マルカが受け取った財布を持ったまま、ポカンとして財布と俺を交互に見ているが、残りの財布にも3枚ずつ金貨を入れていく。


「はわっ、あの、あの! これ! こんなに!」

「あぁ、気にしなくて良いぞ。皆平等に3枚だから」

「でも、ウチ何もしてなっしゅ! いただけないでしゅ!」

「ダンジョンの報酬だ。受け取ってくれ」

「でも、でも!」

「いいから。あ、給料は別に出すからな」

「ちが、そじゃなくて! 多いでしゅ!」

「マルカが受け取らないというのなら、皆も無しだ。これは正当な報酬なんだから、しっかり受け取れ」


 ギルドに報告したら、その何倍もの金貨を貰えるから、3金では少ないとは思うけれども……。


「うぅ……ありがと、ごじゃます……」

「そうだ。お前はそれだけの働きをしてくれた。だから、俺にも、気持ち良く報酬を出させてくれ」

「はい……はい! ありがとうございます!」

「お、噛まずに喋ったな。これからも頼むな!」

「ひゃいっ!」


 言った傍からこれかよ……。そこが可愛いところでもあるが。


 マルカに渡し終わった後、皆にも配っていく。

 ミュウには、我が家の食料調達を頼み、2金多めに渡しておく。


「よし、皆今日は楽しんでくるんだぞ? お金は全部使い切っても良いからな。残った分はその財布に入れて各自管理すること」

「「「「はい!」」」」


 服などは買っても良いが、装備は俺が揃えてやるから小遣いから買わないこと。喧嘩はしないこと。日が沈むまでには待ち合わせの場所まで来ること。等の最低限の話をして、皆に準備させる。


 ランの元気があまりないが、送り届けますかね。

 買い物でもしている内に元気になるだろう。


 さて、出発だ。

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