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ステータスマイスター  作者: なめこ汁
第二章
109/145

第16話 シュスルス攻略

 皆集まってきたので、それぞれに声を掛けると、ミュウやマルカはまだ肩で息をしていた。

 これは走って戻ってきたからではなく、戦闘の疲れだろう。


「へぇへぇ……タカシしゃ……はぁはぁ、やりました。う、ウチ、お役に、ふぅふぅ、立てた、でしゅかっ!?」

「ふぅ、はぁはぁ……よゆーです!」

「おう、役に立ってたみたいだぞ!」

「ふえぇ……み、見って、ないっ!?」

「みゅの、動き、見て、ふぅ、なかったですか!?」

「途中まではちゃんと見ていたぞ。頑張ったな!」


 途中から一匹連れて移動したからな。

 こいつらには悪いが、仕方がないんだ。許してくれ。


「タカシ様、この子達の動き、初めての強敵相手にも拘わらず、素晴らしいものでしたよ」

「それは良かった。アバンさんの指示のお陰でしょうね」

「いえいえ、私は自分の事でいっぱいでしたから。この子達の実力です。大したものです」


 とりあえずミリアに皆の分のお茶を用意してもらう。

 お茶を飲みながら、ランが回収してくれたであろう、土竜からのドロップアイテムについて話を変える。


「おい、ラン。あのドラゴン共から回収したモノを見せてくれ」

「え、あ、うん。はい、これだよー」


 テーブルの上に、次々にアイテムが乗せられる。

 それらを同じ形の物で分けて、ミリアに尋ねる。


「ミリア、これらが何であるか、順に教えてくれないか?」

「はい! えっと、多分右から順に土竜の皮、鱗、骨、瞳ですね。それで、これとこれは分からないですが、この茶色の玉が竜玉じゃないかと思います」

「これが竜玉か。もう一つは何だろうな?」


 薄茶色で光沢のある輪っかが、何か分からない。


「タカシさん、これ腕輪じゃないかしら?」

「ブレスレットか。ちょっと付けてみるかな」


 腕輪にしては大きいので、まさかとは思ったが、サラから貰ったマジックアイテムの指輪は身に付けた指の大きさに調整されたし、もしかするかもしれない。

 大きな輪っかに腕を通してみると、シュッと縮んで腕にぴったりフィットした。


「やっぱり! これマジックアイテムじゃない!?」

「うーん、でも、特に何も感じないし、変わらないぞ?」


 ステータスを見てみるが、特に何も変わっていない。


「タカシさん、ダンジョン産マジックアイテムのアクセサリーは、対になっている物が多いって、何かの本で見たことがあります」

「でも、これ一つだぞ? ラン、他に無かったか?」

「えっ!? あ、うう、ううん、全部拾ったよ?」


 何で狼狽えているんだ?

 ステータスを覗くついでに、インベントリ内を覗いてみる。


INV:王家の証 ナイフ ブラシ ハサミ ライフポーション22 パワーポーション13 投げナイフ20 インバイトバングル


「おい……お前、何か一つ持っているだろう?」

「え、いや、ううん、何もないよ!」

「俺には分かるんだよ。今ならまだ許してやるぞ?」

「ラン様、まさか……」

「ラン、あなた……」

「うぅ、だって……ランの毛並にそっくりだったんだもん……」


 問い詰めると、テーブルの上にバングルを出してきた。


「はぁ……ラン様、私は悲しいですよ。まさか、王族とあろう者がそのようなことをなされるなど……」

「ラン、見損なったわよ?」

「もうっ! ごめんってば! 二個あるから一個くらい、いいかなって思っただけだから!」

「素直に出したら許してやろうと思ったが、言い訳をするとはな。お前には少しキツイお仕置きが必要なようだな」

「ひぅっ!? ちょ、ちょっと……冗談だよ? 冗談なんだから、ね、お、お兄ちゃん?」


 椅子から立ち上がり、ランの手を引き、皆から少し離れる。


「ね、ねぇ。お兄ちゃん? 可愛い妹に、酷い事しないよ、ね?」

「盗みまがいの事をするような妹を、持ったつもりはないが?」

「冗談だから! ね、本当にごめんなさい! 許して?」

「ラン・フォン・クドラングは、“ラン”と呼ばれる度に、全身にオーガズムを感じるようになる」

「え、な、何? おがずむ? なに、何をしたの!?」


 そのままランを放置して、こっちを見ている皆の所に戻り、何も無かったかのように椅子に座って、ミリアに話し掛ける。


「ミリア、この腕輪。多分転移系のマジックアイテムだぞ」

「え、何故分かるんですか!?」

「うーん、何となく? 使ってみたい奴居るか?」

「ランさんでなくて良いんですか?」

「っ!?」


 ミリアが名前を呼んだ瞬間、トボトボと戻ってきていたランが、その場に崩れ落ちる。

 体がビクンビクンなってやがる……。


「ランさん!?」


――ビクンッ!


「ちょ、タカシさん!? ランさんに何したんですか!?」

「ぐっ、がっ!?」


――ガクガクッ!


「ラン様!? タカシ様、何を!?」

「や、め……」


――ビクンビクンッ


 立て続けに名前を呼ばれたものだから、地面で悶えている。

 これはお仕置きとして、やりすぎたかもしれないな。

 でも、本人は涎を垂れ流しながら恍惚とした表情をしているし、特に問題はないだろう。


「ラン! ラン! しっかりして、ラン! ねぇってば、ラン!」


――ガクガクガクガクガクガクッ


 こいつ……わざとやってるのか?

 サラに連呼され、激しく痙攣した後ピクリとも動かなくなった。意識を失ったのだろう。

 酷い事をしやがる。やったのは俺だが……。


「自分の名前に反応する呪いを掛けただけだ。だから、これ以上、酷い目に合わせたくないのなら、とりあえず、そいつの名前を呼んでやるな」

「「なっ!?」」

「あぁ、クドラングで、タカシさんはそういう設定でしたね……」


 ミリアが呆れた声で溜息を吐いている。

 それより、設定って何だよ。


「そのままにしておけ。それで、マジックアイテムの話に戻るぞ」

「うぅ、分かりました。それで、何で効果が分かったんですか?」

「何で、と言われてもな。名前が分かったから、名前の通りなのであれば、転移系じゃないかなと思っただけだ」

「だから、何で、名前が分かるんですか!?」

「そういう設定なんだよ、察しろ。じゃあ、とりあえずはファラ。お前が付けてみてくれ」

「わかった」

「うぅ、またそうやって……」


 ファラに腕輪を渡して、身に付けさせる。

 そして、そのまま少し距離を置いて腕輪に魔力を込めてみる。


「おーい、ファラも腕輪に魔力を込めてみてくれ」


――シュンッ!


 離れたところに居たファラが、瞬時に正面に現れた。


「どうだ?」

「どうだって……すごいとしか言いようが……」


 ファラと一緒にミリアの所まで戻り、腕輪を見せつけるが、特に感想を貰えなかった。

 他の皆も“すごい”としか言っていない。


 試しにミリアとマリーにファラの肩を触れさせて、腕輪を使ってみるが、こちらに来たのはファラだけだった。


「ただ、腕輪を持っている者同士しか効果がないとなると、あまり使い勝手は良くないな」

「そうですね。でも、すごいアイテムですよ!?」

「まぁ、すごいんだろうな。俺は転移出来るから、別にすごいとは思わないわけだけれども」

「そ、そうですね……」

「用途は思い付かないし……一つはこの腕輪の色を気に入っていたあいつに身に付けさせて、一つは俺が保管しておこう」


 皆も、その案に異論はなかったようなので、失禁したまま地面に放置されているランに腕輪を付けて、もう一つは俺のインベントリに入れておく。

 ついでに少し倒れている位置をずらし、パンツを脱がせてから、拭いた後、違うスカートを穿かせておく。

 俺がランのスカートの中に手を突っ込んだ瞬間、アバンは何かを感じたのか、反対方向を見てくれたので見られてはいないだろう。


「そういえば、タカシさんが連れてったドラゴンが一番大きかったですが、何かマジックアイテムとか出なかったんですか?」

「出なかったな。ただ、鱗の色が違った。ほら、これだ」


 インベントリから、さっきミリアに教えてもらった鱗の色違いを出してテーブルの上に置く。


「本当ね。色が違うわ。何か特別な素材なのかしら」

「この鱗で盾とかでも何か作ってみるか」

「盾、良いですね。鱗をそのまま使えそうです」


 ドラゴンの鱗は、魔法が効き難いって効果があったよな。

 それで盾を作ったら、魔法に対して防御力が高くなりそうだな。完成したら、ルリアにでも持たせてあげよう。


「こんなものかな。よし、それじゃ、ぼちぼちコアを探すか」

「あ、ボス! あの木のところに、何か光る物があったよ!」

「そうそう! 水晶みたいなやつ!」

「おぉ、さすがパルとパロだ。もう見つけていたのか。偉いぞ」

「「えっへへー」」


 パルとパロには罠を張らせた後、退避させていたので、その際にコアを見つけたのだろう。


 ランを空間魔術で浮かせて、おんぶした後、パルとパロを先頭に皆で木の根元まで移動する。


「多分これがコアだろうな。よし、ファラ割ってくれ」

「ん。わかった」


 ファラがコアに近付き、生成した尖った岩を空間魔術で勢いよくぶつけると、ヒビが入り、粉々に砕け散る。

 すると、そこに黒い鏡のような歪んだ空間が浮かび上がる。


「短いようで長かったな。それにしても、最後の最後で疲れたぞ」

「まさか数日で終わるとは思いませんでしたが、面白かったです」

「はやくかえろ」

「更にタカシ様のお役に立てるよう、頑張ります!」

「良い修行になった。タカシ殿ありがとう」

「「また行こうね、ボス!」」

「はわわ……また行くんですか!?」

「お姉ちゃんは、みゅが守るです」

「タカシさんのお陰で、コツが分かったわ。またよろしくね」

「この度はお疲れ様でした」


 皆で手を繋ぎ、黒い歪んだ空間に入って行く。

 浮いた感覚に気分を悪くさせられた後、ダンジョンの入口に出てくることができた。


「俺達は屋敷に帰りますが、アバンさん達はどうします? 城まで送る感じで良いですか?」

「えぇ、私も疲れましたので、部屋でゆっくりしたいです」

「じゃあ、私はまだタカシさん達と一緒に居ようかしら」

「何が、じゃあ、なんですか。サラ様も戻りますよ!」

「えぇー、いいじゃないの……」

「ダメです。サラ様の代わりに、マル様が公務を行っているのですから、早々にご報告申し上げないと!」

「アバンのケチ……」


 アバン達は城に戻るらしい。

 休憩中にマナポーションを飲んでおいたので、MPは大丈夫だ。とりあえずは、先にクドラング城だな。


 皆に体を触れてもらい、神脚でクドラング城に飛ぶ。


――シュンッ!


「おわぁっ!?」

「おっと……」


 いつもの門番にいつもの感じで驚かれる。

 このやり取りも何度目だろうか。いい加減お互い慣れないとな。


「タカシ様、この度はありがとうございました」

「いえいえ、お疲れ様でした。サラもな」

「えぇ、お疲れ様。またご一緒させてくださいね?」

「サラ様、そうそう何度も城を空けることは成りませんよ?」

「もう……本当、アバンは堅いんだから……」

「それじゃあ、またな!」

「はい。本当にありがとうございました!」

「またね、タカシさん。ちゃんと会いに来てよ?」

「おう!」


 二人に別れを告げ、そのまま屋敷に戻る。


「がぁぁぁ、疲れた! 今日は早めに飯を食べて、さっさと風呂に入って、寝るぞ!」

「もう! サラさんやアバンさんの前でキリっとしていた、さっきまでのタカシさんは、何処に行ったんですか!」

「いいじゃないか。お前達の前でくらい、素を出させてくれよ」

「もう……」


 ミリアに怒られながら、鎧などを脱ぎ散らかし、普段着になった後、ファラを抱っこして椅子に座る。


「ふぅ……皆、本当にお疲れさまだ。明日は自由行動にするから、何かやりたい事を考えておけ」

「タカシ! 材料!」

「あぁ、分かってるって。お菓子の材料だろう? お小遣いあげるから、好きな物を買うと良い」

「ありがと。タカシだいすき」

「おう。よし、マルカ、ミュウ、飯の用意をお願いできるか?」

「ひゃいっ!? わ、わかりましゅた!」

「このエロ魔王、帰ってきてまでこき使いやがるですか! って、お姉ちゃんがやるなら、みゅもやるですが……」


 今回のダンジョンは、本当に疲れた。


 皆のレベルもかなり上がったし、上出来だろう。

 しばらくゆっくりした後にでも、次のダンジョンを考えよう。

 今はとにかく休憩だ。

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