第9話 ステータス
しばらく森に向けて歩くと、ちょっとした丘になっているところを見つけたので、ミリアを寝かせ、膝枕をしてあげる。
ミリアはまだ目が覚めないので、頭をナデナデしつつ依頼の確認を行う。
QST:E薬草の採取(報酬:10銅/1枚)残り22時間
QST:E野兎の討伐(報酬:1銀/1匹)残り22時間
QST:E猪の討伐(報酬:2銀/1匹)残り22時間
QST:Dハードウルフの討伐(報酬:4銀/1匹)残り22時間
QST:D鉄鉱石の採取(報酬:40銅/1個)残り22時間
あれ? 俺のランクはEだけど、Dの依頼も受けられるのか。
それよりも、鉄鉱石とか森にあるわけないだろ! ここから見える山は遠いし、まずいな……。
報酬の単位が一個だから、一つでも入手できればクリアになるだろうし、とりあえず薬草採取のついでにマップの緑点を何ヶ所か巡ってみて探してみよう。
あと問題なのは、猪と狼か。
俺で倒せるか心配だが、ステータス的には問題ないだろうから、やれるところまでやってみるか。ダメなら逃げよう。
色々考えてみたけど、どれも何とかなりそうで良かった。
あとはミリアとどうやって連携を組むか、だな。ミリアの実力が分からないと、こればかりはどうしようもないんだよな。
ミリアのステータスってどんなんだろう? 村人みたいだし、冒険者の俺のステータスより高いことはないよな?
ナデナデを止めて、ミリアの寝顔を覗き込むと視界にステータスが表示された。
▼ミリア・ウェール Lv.1 冒険者 Rank.E
HP:124(24+100)
MP:24(24+0)
ATK:12(12+0)
MAG:12(12+0)
DEF:16(12+4)
AGI:12(12+0)
STR:2 VIT:2 INT:2 DEX:2 CHA:2
JOB:M冒険者Lv.1 Sなし 魔術士Lv.1 村人Lv.2 商人Lv.1 奴隷Lv.1
SKL:体力上昇小
EQP:布の服 布の靴
INV:なし
GLD:白貨0、金貨0、銀貨4、銅貨6
あれ? そういえば、ミーアからは奴隷って聞いてたけど、初めて会った時は村人だったよな? 付け替えることができるのか?
でもそれだったら、サブジョブに何も入れていないってのは勿体なくて考えられないよな。
あと、魔術士か。いいなぁ魔法。どうせならサブに入れて育てると良いのに……。
▼ミリア・ウェール Lv.1 冒険者 Rank.E
HP:154(54+100)
MP:149(99+50)
ATK:27(27+0)
MAG:82(72+10)
DEF:31(27+4)
AGI:27(27+0)
STR:3 VIT:3 INT:8 DEX:3 CHA:3
JOB:M冒険者Lv.1 S魔術士Lv.1 村人Lv.2 商人Lv.1 奴隷Lv.1
SKL:体力上昇小 魔力上昇小
EQP:布の服 布の靴
INV:なし
GLD:白貨0、金貨0、銀貨4、銅貨6
そう考えながらステータスを見ていると、ジョブ情報が更新された。
は!? まじで!? え!? なんだこれ!? 俺操作できるの!?
すっげぇ。人の体イジるようなものだよなこれ。実際にお尻をイジったけど。
でも、魔術士なのに魔法が使えないってどういうことだよ。
サブだからいけないのか? メインとサブを入れ替えることできたら良いのにな……。
▼ミリア・ウェール Lv.1 冒険者 Rank.E
HP:154(54+100)
MP:149(99+50)
ATK:27(27+0)
MAG:82(72+10)
DEF:31(27+4)
AGI:27(27+0)
STR:3 VIT:3 INT:8 DEX:3 CHA:3
JOB:M魔術士Lv.1 S冒険者Lv.1 村人Lv.2 商人Lv.1 奴隷Lv.1
SKL:体力上昇小 魔力上昇小 初級魔術
EQP:布の服 布の靴
INV:なし
GLD:白貨0、金貨0、銀貨4、銅貨6
メインとサブを入れ替えると、スキルに魔法が更新された。
おお、これもできるのか! いいなぁ、魔法!
というか、気になったんだけど、何でミリアが魔術士のジョブを持っているんだ?
魔術を使ったことがあるのかな? 耳の形が少し違うと思ってたけど、魔法が使える種族なのかな。
奴隷になった経緯もあるだろうから聞き辛いけど、それとなく聞いてみるか……。
魔法が使えるのなら、俺が前衛で後衛はミリアに任せるっていうこともできる。
ただ、この世界で魔術を使うことが当たり前の状況なら良いが、レアなケースだと使わせない方が良いな。
ひとまず、冒険者に戻して、ミリアと相談してから考えよう。
あとはそうだな。ジョブを操作できるのが、当たり前の世界であれば良いんだけど、それも調べるまでは保留か……。
そんなことを考えながら、また頭を撫でているとミリアが目を覚ました。
「んぅ……え? わぁあぁ!?」
ガバっと上半身を起こしたと思ったら、そのままゴロゴロと転がっていく。
「いったたた……」
「大丈夫か? さっきまでの事覚えてる?」
何か身体をペタペタ触っているけど、何それ。俺に何かされたとでも思ってるの!? まぁ、してなくはないけど。
「な、な何もしてないですよね!?」
「寝てる女の子にアレコレしないさ。多分。っていうか! 俺ってそんなに信用ないんだね……悲しいよ」
「あっ、いや、ちがくて!」
「もういいよ。信用してもらってないの分かったから」
あ、やばい。イジめすぎた。ミリアが泣きそうだ。
「だって、あんな事言って、気を失って、気付いたら膝枕で、うぅ……」
「ウソウソ! ミリアが可愛すぎるから、イジめたくなっただけだから! ね!?」
「か、かわっ!」
泣きそうだと思ったら、今度は赤くなって、忙しい子だな。最初に会った頃のクールさが微塵もない。かわいいから良いんだけど。
「それよりも、色々と聞きたいことがあるんだよ」
「何なんですか。また私をからかって遊ぶんですか……?」
ちょいちょいと、手招きをしてミリアを呼び戻す。
そして、膝の上をポンポンと叩いてここに座りなさいというジェスチャーをするけど、無視されて隣に座られる。
悲しい。