新しい仲間と二次試験
きずいたらお気に入りが16件に、ありがとうございますありがとうございます。
リッツさんがスッキリした顔をしてこちらにやって来る。
「それでは剣と鞘を見させてもらってもよろしいでしょうか。」
「ああ、あれだけの傷を治してもらったんだ。見るだけならいくらでも見てくれ」
そう言って俺は剣を鞘ごとリッツさんに渡す。
はっきり言えば見た目は革の鞘に鉄の剣で、何の値打ちも無い様に見える。
「これは・・・いえ、ありがとうございます」
「それで何か分かるのか?」
ただ鞘から剣を取り出して見るだけ、太陽の光を当てたりなにかの魔法を使うそぶりもない。
「いえ、私には普通の鉄の剣にしか見えませんね」
少し含みのある言い方だな。まあ余り気にしても仕方ないか。
「それでは私も連れの所にもどりますね」
「怪我を治してくれてありがとう。助かったよ」
リッツさんはにっこりと笑って俺達と別れる。
何にしても怪我が治るなんて思わなかった、まだ血は足りないがこれ以上下手に減ることもない。
そろそろ第二試験が始まるかな?そう思い周りを見回してみる。
ここまで残った受験者は32名、どいつもこいつも一癖も二癖もありそうだ。
大体は人間族にちらほらと亜人種が混ざっている。リッツさんも数少ない亜人種だったな。
「あぁうぅぅぅぅぅ」
アーサーが顔を真っ青にして、ゾンビみたいにふらついてこっちに歩いてくる。
「ようーご苦労さん。悪かったな変なこと頼んで」
どうやら返事も出来ないぐらい消耗しているみたいだ。
あと少しは休めるだろう、俺ももう少し休むとするか。
「レンシュルツ」
私は狼族の守護騎士の名前を呼ぶ。
「リッツ、どうだった?」
「間違いないわ、あの剣と鞘は太陽神様がお作りになられた物よ」
「本当か?ワシにはただの革製の鞘と鉄の剣にしか見えんかったがのう」
ドワーフの戦士ギリムスが鍛冶師としての意見をいう。
「確かにあれは普通の革の鞘と鉄の剣よ?でもうっすらと、あの剣には太陽神様の魂の欠片が感じ取れたわ」
「ふむ、ならおんしの受けた宣託はあの少年のことを指すということじゃな?」
「ええ」
私が頷くとレンシュルツが信じきれないな、という顔をする。
「御免なさいね2人とも、でも私は私の直感を信じるわ」
「分かった、オレはリッツを信じるさ。だからお前は自分の思うようにやってくれ」
「ワシもそれで異存はないわい」
「ありがとう2人とも」
ありがたいことに2人とも私のわがままに付き合ってくれるみたいだ。
あれは9日前のことだ。
オストライト王国教会区の太陽神殿に所用で逗留しているとき、いきなり宣託が降りてきた。
祈りを捧げるでもなく深く瞑想しているのでもない、こちらの受け入れる準備が出来てないにも拘らずくだった宣託。
それは太陽神様の魂の欠片を宿す剣を持つ少年を、手助けせよと言うものだった。
今までそんな事が合ったためしがなく、また所用とはいえ用事の途中で放り出せば多くの人達に迷惑が掛かる。
最初はレンシュルツもギリムスも、何かの間違いか寝ぼけたのではないかと私を止めようとしたが、私は頑として止まるきは無かった。
それに2人が折れ、感じられる太陽神の魂の欠片の気配を辿り、微弱ながら気配を漂わす剣をもつ少年を見つけたときは、冒険者試験に出るらしいと知り急いで幻覚蝶を買い求めてそして今に至る。
「それでは第二試験の内容を発表いたします」
第二試験が始まる。私は少年達をサポートする為に次はどうやって近ずくか考る事にした。
「それでは第二試験の内容を発表いたします」
第一試験の定員である32名がそろったので、日没を待たずに第二試験を始めることにしたみたいだ。
「今から皆さんにはジャイアントアントの討伐を行ってもらいます。これは正式なギルドからの中規模討伐依頼となります。今から渡すカードにはジャイアントアントを一匹退治するたびに数字が加算されていき、ワーカーアントが1ポイント、アーマーアントが5ポイント、クイーンアントが100ポイントとなります。」
なるほど、そのポイント数で優劣を決めるってわけだ。
「では、今から8人一組のPTを作ってください。これは一般的なジャイアントアントの巣攻略でも使われる編成です」
ざわざわと受験者達が他の受験者達を今まで以上に値踏みする。
「それでは1時間後に試験を開始します。カードを配りますので右の岩影の所までお越しください」
「さーて私たちはどうする~?今4人だから後4人だよね~」
「そうだな、出来ればリックとリッツさんが入ってくれるとありがたいんだが」
ビクッとアーサーの体が震える、少しトラウマになりかけているようだ。
「勿論私も一緒に行かせて貰います。寧ろこちらからお願いしようとしたところですよ」
「頼りにするからね~」
ニコニコといつものミアスマイル。
リックのやつ顔が赤いぞ?先ほどの虐待を見ていないのか?
こいつは確かに可愛らしい顔をしているが中身は獰猛な動ぶ「ぐはっ」ズドンと言う音を立てて強烈なボディを食らう「ほんとこりないわね~」そんなに俺は顔に出るのか。
少しは自重しよう、体がもたん。
他の受験者達もPTを作り出していく。
だが誰も俺達5人の所には来る気配がない、漏れ聞こえるのは子供にLvという言葉だ。
どうやら俺達が若くLvも低そうだから手を組む気がないらしい。
こちらに3人のPTがやってくる。
あれはリッツさん。俺はリッツさんがこちらと合流するんじゃないかとひそかに思っていた。
アーサー目当てで・・・
「よかった、まだ5人のままでしたのね。よろしければ私達3人とPTを組みませんか?」
そういって熱い眼差しをアーサーに向け心なしか息が荒い。
「もちろん、こちらからお願いしたいぐらいですよ~。神官様がPTを組んでくださるなんて心強いです」
ミアがアーサーをガッチリ捕まえながら良い笑顔でそう答える。
アーサーは「ミア?どうして私を捕まえるんだ?まって、なぜ前に押すの?」と逃げようともがくがアーサーの非力な力ではミアからすら逃げれない。
ガシッという音とともに捕獲されるアーサー。「ひぃぁぁぁぁぁぁぁぁ」やっと回復してきたのにな、まぁ頑張れ。
「すまないな、リッツは可愛い物を見るとどうにも自制が効かなくてな。それさえなければ神官としても人としても完璧なんだが」
ふうとため息をついて狼の顔をした狼族の戦士がこちらにやって来る。
「オレはレンシュルツ・ハイマン。リッツの護衛をしている。よろしく頼む少年」
「俺はジン・マツナガ、ジンって呼んでくれ、あんたのことはレンシュルツでいいか?」
「ああそれでかまわない、それとそこにいるドワーフの爺さんがギリムスだ」
「ふんっ、ギリムス・パパックじゃ。鍛冶屋兼戦士をしておる」
「私はミア・ユースクッド、こっちがバルア・ユースクッド、よろしくね」
「・・・よろしく・・・」
「私はリック・ブッテン・エルロックです。お見知りおきを」
「そしてあっちでリッツさんにいじられてるのがアーサーだ。一応王族なんだが普通に接してやってくれ」
「ふむ、なんともフランクな王族じゃな。わかった堅苦しいのはすかんからの、そうさしてもらうか」
挨拶も大方終わりおれはこの2人を観察する。
レンシュルツもギリムスもどちらともおそらくかなり強いな。
レンシュルツは狼族といわれる獣族の一種族だ。
特徴は狼の顔を少しだけ人間の顔に近くし全身を獣毛で覆われている。
手は人と同じ形をしているが鋭い爪がみえる。
簡素な衣服に鉄の胸当て鉄の小手をしており、足は革のブーツだ。
身長は俺より10cmほど多きい190cmほどか、武器は背中に背負っているバスターソードだ。
ギリムスはドワーフで140cmほどの身長に、ガッチリとした筋肉と突き出ているお腹が見た感じ酒樽を連想させる。
顔の半分を髭と髪が覆い鼻は酒飲みみたいな真っ赤な鼻をしている。
何かの金属を細かく編んで作ったチェーンメイルに鉄の小手とブーツ、右手には大槌左手には鉄の丸い盾を装備している。
これに神官の3人で一緒となると多くの人からPTを誘われただろう。
リッツさんのアーサー狙いだけで俺たちとPTを組むというのは少し不自然か?
くそっ俺はこういうことを考えるのはめんどくさい。ミア、あとは任せた。
俺はミアに全て丸投げすることに決めた。こういうのは適材適所だな、うん。
「それでは第二試験を開始します。PTの代表者4人はこちらのカードを引いてください」
3つの他のPTから3人が進み出る。
俺たちのPTはなぜかリッツさんの推薦で俺がすることに決まった。
他の3人はともかくミア、バルア、アーサーに依存はないようだ、ならいっちょやってみますか。
カードを引くといっても先に3枚とられていたので残り1枚しかない。
残り物には福がある日本にある有名な言葉だ。数字は四だった・・・
「それでは蟻塚に入りましたら、数字に書かれた番号の穴から先に進んでください。そこから先の確認はしておりません、皆さんの検討を祈ります。」
そして第二試験が始まる。点数はPT間で共有するようになっているみたいだな。
なら遠慮することはない、俺たちはジャイアントアントの巣に進入する。
狙うはクイーンアントのみ!
RPGで雑魚代表の一つは蟻ですよねーということで次は蟻退治に・w・
皆様のご感想お待ちしております>w<ノ