第一試験突破
試験開始から3日目、今日中にテグロス山脈にたどり着きなおかつ32名までに入らなければアウトだ。
俺達4人は休憩を取らず朝から森を走り抜ける。
先頭をミアが走り罠を発見し解除していく。
その後ろにバルアが俺達4人の荷物を全て背負い、邪魔になる蔦や木の枝をハンドアクスで切り飛ばしていく。
体力のないアーサーとイズィー戦で負傷している俺がその後ろを走る。
「ほんとうっとおしいわね~」
張り巡らされる罠を無造作に蹴りつけながら、ミアが愚痴をこぼす。
罠はどうやらダミーだったらしい。
「だけどこの罠のおかげで私達にも間に合う可能性があるのだろう?」
「・・・焦るの・・・よくない・・・」
「うぅ~分かってるけど~」
もうすぐテグロス山脈にたどり着けるのだが、あと何名間に合うのか分からない。
もし3名以下ならこの内の誰かが失格となってしまう。
ここまで来たんだ絶対に4人で合格したい。
ミアが何かにきずいて走り出す。
「皆森の出口よ、罠はないわ急いで!」
俺とアーサーは顔を見合わせ頷きあうと森の出口へと足を早める。
森の出口に差し掛かったところで、聞きなれない女性の声が聞こえた。
「あと5名ですよー、急いでくださいー」
後5名、間に合った、森を抜けたその瞬間、3名の男達が森を掻き分けて現れた。
不味い、ミアとバルアがたどり着いてあと3名、俺とアーサーに男達が3名。
間に合わなければ2人とも落ちる。
それは男達も分かっているらしく必死の形相で走りこんでくる。
このままでは俺はともかくアーサーが間に合わない!
「アーサー、少しの間我慢しろよ!」
え?という間抜けな声を無視し俺はアーサーを肩に担ぎ全力疾走を始める。
足が地面を踏むたびに、げうっという苦しげな声をだす。
跳ねるたび俺の肩に腹を打ち付けるのだろう、段々と体勢が悪くなり落ちそうになる。
「あと少し我慢しろよっ」
そう言って俺はアーサーの尻を掴み落ちないように固定する。
「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ」
「ひぃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
俺は雄たけびをあげさらに加速する、アーサーは体を硬くし硬直した、うむ運びやすくなった。
どしゃっという音がする、ふくよかな隊形をした男がこけた様だ1人脱落のこり4人。
一人は髪を七/三に分けめがねをかけた学者というより学生風の同年代の少年。
もう一人は30代半ばと思われる重装備をしたオッサンだ。
あと10mほど、3人+1は最後の力を振り絞る。
「ジン、アーサー早く!」
「・・・もうすこし、がんばれ!・・・」
ミアとバルアが手を振り回し声を張り上る、俺はその声に後押しされるようにさらにスピードを上げる。
残り5m、3m、めがねがゴールにたどり着くあと2人!
「だああああぁぁぁぁぁ!!」
俺はそのままゴールを駆け抜ける、鎧のオッサンとはほぼ同時か?
試験官らしいギルドのマークが付いたローブきた男が口を開く。
「リック・ブッテン・エルロック、アーサー・ペンフェルト・オストライト、ジン・マツナガの3名を第一試験合格者とします」
荒い息を整えながら俺達3人は顔を見合わせ喜びの声を上げた。
「よっしゃああああああああっ」
「やったね、ジンもアーサーも合格だよっ、いや~もう間に合うかどうかぎりぎりではらはらしちゃったよ~」
「・・・2人とも間に合ってよかった・・・」
俺達3人は手を叩きあいよろこぶ、だが1人、アーサーのやつが顔を真っ赤にして俯きブルブルと震えている。
「どうしたのアーサー?」
ミアが心配そうにしてアーサーに声をかける、すると俺の方を睨みつけ怒り出す。
「ぼっ僕のお尻を、つっ掴んで~~~~」
「んあ?しょーがねーだろ?お前足遅いんだから、尻掴まれたぐらい間にあったんだからいいじゃねーか」
「でもっでも~~ジンの手が何度も僕のお尻を揉んだんだっ」
なっ何?そんな記憶は・・・あるぞ、なぜ俺はそんな行動を。
アーサーが目に涙を溜めながら俺をにらんでくる。
ミアとバルアのじと目が突き刺さる。
やめろそんなめで俺を見るな。
何故そんなことをしたのか不思議に思い、俺はつかんでいた右手の匂いを嗅いでみる。
くんくん少しいい匂いがするかもしれない。
「~~~~~っ!!!」
アーサーが顔を真っ赤にし、ミアが汚物を見るような目をし、バルアが呆れ顔をする。
「「この変態っ!!」」
ちょっ痛い痛い痛い、蹴るな俺が悪かった傷が開く。
やめっミア何処をねらっぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。
しばらくの間激しい折檻はバルアが止めるまで続くのであった。
短いですがオチが付いたので投稿してみました。
皆さんのご感想お待ちしております>w<ノ






