大神官長
------ジン
俺が目を覚ましてから一週間が経つ。
リッツさんは先方に話しを通しておくので、その間に体を治せとのこと。
そして今日、俺の体もほぼ回復し、今へリタリスから南に10キロ先にあるラージラーズの森の中を歩いていた。
「こんなところに本当にいるの?」
俺の後ろに隠れながらアシェリーがリッツさんに尋ねる。
「ええそうなの・・・そろそろ消えて居なくならないかしら・・・」
どうやらリッツさんはその人をあまり好きでないらしい。
「ひょほほっ、そんなこと言う子はお仕置きじゃ」
いきなりリッツさんの後ろに人が湧き出た!
むにゅ~とリッツさんの豊満な胸をもみしだく!
「ひぃぁぁっ!このっエロオヤジ!!」
本気のフルスイング!あの錫杖の一撃を食らったら頭が爆発してしまうぞ!!
しかし謎の人物は軽々と避けていく、かなり素早いぞ!
「相変わらず!セクハラばっかり!するんじゃないっ!」
リッツさんの素早く力強い攻撃を全てかわしていく!
その人物はどう見ても100歳はいっているような老人にしか見えない。
頭は禿げ上がり長く白い髭、服は簡素な布の上下に布の靴、皺くちゃな顔はかなりの年季が入っている。
「はぁはぁはぁ・・・相変わらずの妖怪ぶりですね。アフラス大神官長」
「ひょほほっリッツちゃんのおっぱいを触ると5年は若返るの~」
この妖怪爺が太陽神殿最高責任者アフラス大神官長・・・なぜ太陽神殿の神官は変なのばかりなんだ?
「ふ~む、こやつらがリッツちゃんの言っていた有望な若者かいの~」
「はい、この少年達にルーハヤーマの扱い方をお教え願いませんか?」
今俺たちはアフラス大神官が住んでいる小屋の中で円状になって坐っている。
椅子はなく地べたに布をひいてその上に腰を下ろしている状態だ。
「う~んそっちの可愛らしいお嬢さんたちなら喜んで引き受けるがの~男はいらん」
「なんちゅーストレートな爺や・・・」
女性陣3人はかなり複雑な顔をしている、どうも雲行きがあやしい。
「アフラス様?いつからそんなわがままが言える立場になったのですか?」
「うっ・・・」
「女性信者のお風呂を除く事112回、セクハラ紛いのスキンシップを取ること200人、挙句これは若返りに必要だと言って女性の下着を盗む事53回・・・何故かアトゥラム様のご指名なので大神官長の座を剥奪できませんが、こんな所に島流しをされてもまだ反省できませんか?」
其れはすでに犯罪だ、どれだけ変態なんだよっ!
どす黒いオーラを纏いリッツさんの目が危なくなっていく・・・
そんな雰囲気をアシェリーが変える。
「あのっ・・・どうか私達全員にルーハヤーマの扱いをご教授いただけませんか?」
アシェリーが爺に深々と頭を下げる。
アシェリーだけにそんな事をさせられない!
「「「「お願いします!」」」」
皆気持ちは同じだ、こんな時なのに其れがとても嬉しかった。
「ふ~む、まいったの~流石にこれで断ってしまってはただの嫌味爺になってしまうわい」
「ただのエロ爺でしょうに」 「ひょほほっ」
暫く考えた末に爺が一つの条件を出す。
「今から日が暮れるまでに、誰でもいいからワシに触れられれば男どもも修行をつけてやろう」
女性陣は確定なのか・・・筋金入りなんだな・・・
「そんなっ其れはいくらなんでも難しすぎます!」
リッツさんが抗議をする、それほど凄いのか・・・確かにさっきの動き、俺たちで捉えられるか?
「ふんっこーんな美少女3人も連れてる男なんぞ敵じゃ敵!それなりの事をせんとワシ気が乗らん~」
でも性格最低だな!
「判りました、日が暮れるまでですね?範囲は何処から何処までですか?」
「ひょほほっなかなかいい覇気をまとっとるのう小僧、範囲は小屋の外にある切り株から半径10mじゃ、そっちは魔法でも武器でも何でも使ってよいぞ?」
「おいおいそら狭すぎんか?いくらなんでも直ぐに捕まえれるで」
「そうだにゃーしかも魔法や武器も使っていいだなんて馬鹿にしすぎにゃ!」
「ひょほほっ其れはやってみればわかるの~」
「上等だ!直ぐに後悔させてやる!」
あまりにも此方を馬鹿にしすぎだ!敬意も何も頭から吹き飛んだ。
「ひょほほっ、ほれどうしたもうすでに30分はたっとるぞ?」
半径10mそんな狭い空間で5人相手に掠りすらさせない・・・
ただのエロ爺じゃない、どうなっているんだ!
「ほ~いぼけっとしておるとこうじゃぞ~」
スズハのお尻を撫で回すエロ爺。
「ひぃぃぃぃっ」
もうすでに女性陣3人とも5回づつはお尻を触られている・・・
「糞ッ糞ッなんて羨ましいんやっ!!」
涙すら流しながら羨ましがる駄エルフ・・・真面目にしやがれ!
「皆、一度集まってくれ」
「ひょほほっ、はよーせんと日が暮れるぞ~」
一度作戦を立て直す事に決めた。
「どうします?師匠・・・私この勝負に勝ててもなんだか嫌です・・・」
「私もだにゃー、お爺ちゃんスケベ過ぎるにゃ」
「ぐすっ・・・嫌い!」
「せやなっ最低なやっちゃあの爺さんは!ワイがぎゃふんいわしたる!」
変わり身の早い・・・
「あの爺さん、無拍子の構えを取ると素早く遠ざかる・・・このままじゃ手詰まりだ」
「もうあまり時間がないにゃー、大分暗くなってきたにゃ」
糞っ何か手はないのか・・・
「ジン・・・イズィーと戦った時の作戦は使えないかな?」
っそうか・・・意識外からの攻撃・・・奇襲するにはこれに勝る物はない。
この世界で【ライト】を戦闘に攻撃として使うなんて発想はないはずだ、だったら・・・
俺は皆にもっと近づくように言って作戦を伝える。
「ひょほほっ、もう降参かの~?心配せんでも女子は優しく教えるぞい、ぐふふ」
エロ爺め、吼え面かかせてやる。
作戦は簡単だ、まず俺、ロラン、スズハで爺を捕まえにいく。
「なんじゃー今までとまったくかわらんぞい」
つぎにミミカの蔦の壁でアシェリーを隠す。
ここまでは先ほどの作戦と同じ、違うのは攻撃魔法じゃなく【ライト】を使うだけ!
「ひょほほっ次はどんな魔法かいの~ちょっとやそっとではあたらんぞい?」
「【ライト】」
「は?」
アシェリーの強烈な【ライト】が暗くなってきた森を照らす!
「むぅっ!」
しかし、この爺は目が潰れていながらロランの、スズハの攻撃を全てかわす!
だがな!此方もそれは承知の上だ!イズィー・・・奴のことを知らなければ其処まで気は回らなかっただろう。
目を光で潰されても、気配で全てを読まれてしまう、だが!
松永神明流終の構え幻!
【ライト】に意識を全て向けさす事さえ出来れば・・・
すっと木刀が爺にかする・・・まさかここまでしてもまともに当たらないのか!
【ライト】の光が消え、静寂が支配する・・・
「ふぅ・・・まさか本当に当てられるとはのう、歳はとりたくないもんじゃ」
「それではアフラス大神官様?」
「うむ、約束じゃ仕方あるまい・・・ルーハヤーマを覚えるのは少し早いと思ったが・・・合格じゃ」
俺たちは顔を見合わせ
「「よっしゃああ」」
「「「やったー(にゃ)」」」
ルーハヤーマ、かならず実に付けてやる!
色々迷走中です>w<
これから強大な敵にも勝てるように強くなるかな・・・
ご感想や評価お待ちしております >w・ノ




