ルーハヤーマ
白い怪物が仲間を殺していく・・・
俺はまるで泥の中にいるみたいに体が自由に動けない・・・
ロランがスズハがミミカが化け物に殺されていく。
やめろ!やめろ!やめろ!やめろ!!
そしてアシェリーが・・・
やめおおおおおおおおおおお!!
目が覚める、全身を汗まみれにし荒い息が口から漏れる。
ここは・・・どこだ・・・?
周りを見渡す、見覚えがある部屋だ・・・
ここ一ヶ月以上寝起きしている太陽神殿の客室。
なぜここに?いったいなにが・・・俺は生きているのか?・・・そうだ!皆は!!
「ぐがっ!!」
起き上がろうと上体を起こそうとしたら全身を激しい痛が襲う。
襲ってくる痛みを何とか鎮めて起き上がろうとしていると。
ガチャンと食器の落ちるような音が鳴る。
「ジン!無理に起きちゃ駄目!」
「ア・・・シェ・・・」
声がまともに出ない。
慌ててアシェリーが俺をベッドに寝かしつける。
「ジンは3日も意識が無かったの、それに酷い怪我をしていたからまだ起きちゃ駄目」
泣きそうな顔で俺を叱る、かなり心配させてしまったようだ。
「す・・まん」
「良かった良かったよー、もう、ジンが起きてこないかもしれないって、私・・・私」
アシェリーの手をそっと握る、それだけで全身が痛む。
「ほか・・・の・・皆・・は?」
「ロランもミミカもスズハさんも皆無事だよ、ジンが一番怪我が酷かったの」
そうか・・・良かった。
「ジン・・・泣いているの?」
泣いている?・・・ああ、俺は泣いているのか・・・良かった・・・皆が無事でよかった。
「私は皆を呼んでくるね、だからジンはベッドで寝ていて」
俺がうなずくのを見て、アシェリーが部屋を出て行く。
皆が無事でよかった・・・何故助かったのかは判らない、だけど俺は誰一人として助ける事はできなかった。
俺は其れが悔しくて、皆が部屋に来るまで涙は止まる事が無かった・・・
「ふぅ・・・これで大分楽になったはずです、神聖魔法も意識がある人のほうが効果は大きいですから」
リッツさんの神聖魔法でかなりの怪我が治ることができた、だが体の奥にまで入ったダメージはなかなか抜けない。
「それで、俺たちはどうやって助かったんですか?」
俺の今一番の疑問、あの状態からなぜ助かったのか・・・答えは簡単だった助かったのではなく助けられたのだ、へりタリスで一番だと言われているPTに。
「全員がLv100オーバーのPTクロッカスがあなたたちを見つけたのよ」
「そや、ワイも少しだけ意識が残ってたから覚えとる。門番である聖獣の気配がしたから様子を見に来たらしい」
門番・・・聖獣・・・あいつはあそこにから動かないんだな・・・
「其れよりもびっくりしました、50階を目指してるはずのジン君たちが、まさか70階の試しの門に居たなんて」
「試しの門?」
「そうだにゃ、あの奥に門があって通るには聖獣に認められないといけないらしいにゃ」
「そうか・・・俺たちは力不足以前の問題だったな・・・」
俺の呟きにロランも、スズハも、ミミカも、アシェリーも沈黙する。
「確かに、皆さんがあの門をと通るには決定的に足りない物があります」
リッツさんの言葉に皆顔を上げる。
「決定的なもの・・・ですか?」
スズハの言葉にリッツさんは神妙に頷く。
「聞いた話では、皆さん今回の探索でLv50になったとか」
「・・・っそうや、けどそれ以上Lvが上がらんかったんや」
そうだ、50までは皆・・・俺も上がった、だけどそこからが・・・
「では、まずLvの概念を皆さんに教えましょう」
Lvの概念?どういうことだ・・・もしかしたら何か方法があるのかもしれない。
「まずLvは何故上がるのか、皆さんの体は2つの光の粒子から成り立っています。肉体を構成する粒子と魂を構成する粒子です。肉体を構成する粒子はこの世界に物体として存在する為に、形作られる魂の入れ物、身体適な強さは此方に異存します。光の粒子の事を私達はルーハヤーマと呼んでいます。」
これは判る、体がなければ動けない。仮に腕が無くなってしまえば、その腕を動かす事はもうできなくなる。
「次に魂を構成するルーハヤーマは、この世界に精神として存在する為の力の根源、魂の存在力が強ければ強いほどこの世界に与える影響も強くなります、Lvは魂の存在力が強まるほどに上がっていきます」
「ちゅーことはや、ワイらの魂とやらはLv50までにしかならん魂やったいうことかいな~」
「駄エルフさんまだ話の途中ですよ」
「ええ加減駄エルフはやめて~」
お前ら話の腰を折るなよ・・・
「こほん、Lvが50で止まるのは皆同じです、あなたたちを助けてくれたPTクロッカスの皆さんも一度はLv50で上がらなくなったはずです」
たしか皆Lv100オーバーのPTだよな?
「それは何故なんだ?」
「魂に蓄えられるルーハヤーマはその最大量が決まっているからです。人や魔物全て」
「だったら・・・どうすればLvをこれ以上あげれるの?」
「それはですねあーたん、魂にたまった光のルーハヤーマを自分達の力として扱えるようにならなければいけないのです」
「ルーハヤーマを扱う・・・女神を追い返した時のように?」
あの時俺は白銀にたまった光の粒子を全て出し尽くした・・・しかしあれでは・・・
「似ていますけどまったく別物です、ルーハヤーマを扱えるようになると身体適能力、精神的能力の相乗効果そしてタレントの発露又は強化・・・ルーハヤーマを扱えるようになることがLvをさらにあげる事につながります。」
「つまりだにゃー、私達も魂の粒子を扱えるようになればLvがあがるんだにゃ?」
「簡単にいえばそうなりますね。溜まったルーハヤーマを力に変換する事で、魂に負荷をかけ器を大きくする事ができます。そうやってLvの上限を増やす事を私達はランクアップと呼んでいます」
にっこりと笑ってそう締めくくる。
皆の顔に精気とやる気が戻る、恐らく俺も。
「リッツさん、俺たちにルーハヤーマの扱い方を教えてもらえませんか?」
俺がそういった時何故か苦々しい顔をするリッツさん、なぜだ?
「恐らくこうなるとは思っていました、勿論皆さんがルーハヤーマの扱いをできるようになるのに異論はありません・・・が、私が知る限り教えを教授できる人は一人しか知りません・・・ただあの爺にたよるのは・・・」
どうやら俺たちに教えるのには問題ないらしい、最後のほうは小さくて聞こえなかったが。
「ふぅ・・・仕方ありません、皆さんにルーハヤーマの扱い方をお教えできる方がおひとり居ます。その方の所に行きましょう」
俺はまだ強くなれる、強くなって見せる・・・もう二度とあんな事はごめんだ!
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