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殺意と決別

フェアリースには2つの大陸が存在する。

そのうちの一つバールバリラ大陸の西方にオストライト王国は存在する。

主な生産品は小麦に北方鉱山地から取れる鉄。

王国が所有している農耕地はあまり広くなく、貧しくはないが豊かでもないといった所か。

そんな王国の西方にメレーゲ草原が広がっている。

広大な大地ここを開拓できれば王国は大きな農耕地を手に入れることが出来るだろう。

しかしそれには大きな問題がある、多種多量な魔物と火竜ヴェスバー。

王国はその昔、魔物退治にと軍隊を派遣したことがある。

しかし軍隊など大人数の人間が現れると必ずヴェスパーが襲い掛かってきた。

ならば先にヴェスバーを退治しようにも、大量の魔物に行軍をさえぎられヴェスバーの奇襲を受けることになる。

多くの犠牲をだした末ここメレーゲ草原は不可侵の地となったらしい。


「てことは丸2日も草原をさ迷ってたの?食料もなく・・・よく生きてたわね~」


今俺たちは大きな岩陰にキャンプを張って休んでいる。

といっても火を焚いてミア達に貰った保存食の干し肉を食べているだけだが。

干し肉がうめー涙がでそうだ。


「まぁな自分でもよく生きてたと思うよ、ただこんなとこで死んでられねーからな、まだまだやりたい事やこの世界をみて回りたい」


「ふぅん?ジンって関所通過許可書とかもってるの?」


「いや?やっぱどっか行くにもそういうやつがいるのか?」


「そりゃね~ぽんぽん簡単に国と国を移動されたら王族貴族様は困るんでしょ」


「ならまずはその許可書とか手に入れないとだめなのかーめんどくせーなー」


「ならさジンも私達と一緒に試験うけてみない?」


「試験?そういやさっきもそんなこと言ってたっけ?試験がどうたらげじげじ虫がどうたら」


「幻覚蝶だよ、どうやったらそんな風にまちがえんのよ」


ミアが言うには冒険者には正規とモグリとに分かれるらしい。

正規の冒険者は冒険者ギルドが発行する、魔法によって作られた特殊なカードによって身分が保障されるらしい。

これは関所通行許可書がわりにもなり色々便利なんだとか。

もう一つのモグリの冒険者、これはその地域のみを活動拠点とし、その地域のギルドの依頼などを受け、生計立てている冒険者をモグリ又は見習い冒険者と言っている。


「あーやっぱり魔法とかってあるんだ?」


「あんたいったいどんな田舎にすんでたのよ、確かに普通じゃ見る事ないだろうけど寝物語に英雄やら神様のお話ぐらい聞されてたでしょうに」


あーなんだ魔法って一般常識なんだな。

さすが異世界、魔法どころか英雄とかいるのか、神さま?あれは糞がつく爺だ。

正規の冒険者になるには試験を受けなければいけない。

これはバールバリラ大陸にある正規ギルドが主催する年に一度し開催していない試験だ。


「へーそれって俺もうけれるのか?」


俺は冒険者見習いでもなんでもないぞ?


「そこは大丈夫、試験は基本誰でも受けれるの、ただ試験を受けるにも事前に試験を受けるための試験があるのよね~、それが今私達がメレーゲ草原にいる理由なのよっ!」


そう言って怒り出す。


「ふっざけんじゃないわよたった10日でメレーゲ草原にいって幻覚蝶を獲って来いっていうのよ?あの試験官、移動に3日往復6日捕獲準備に蝶探し、運よく一日で見つけたからいいものの普通なら見つかんないわよ!」


かなりお怒りのようだどうやら無茶なことを強要されたらしい。


「...ミア...日にち間違えた...ほんとは20日あった...きずいたら10日しかなかった」


じとーとした目で見つめてやった。


「てへ♪」


舌をだして小首を傾げる、誤魔化せてねーよ・・・


「んで?俺にも試験のお誘いしてくれるってことは、その幻覚蝶ての3匹以上いるのか?」


「ふっふ~んまかせてよ、じゃじゃ~んなんと5匹も捕まえたのでした~♪」


えっへんと胸をそらし捕獲ケースらしきものを出す。

どうやら燐粉に幻覚作用があるらしく、見るだけで幻惑されることはないみたいだ。


「なんで5匹なんだ?2匹でよかったんじゃ?」


「ん~一応2匹は何かあったときの予備かな~。ただどんな方法でも幻覚蝶さえ持ってくれば試験には受けれるの、だから記念に試験を受ける。それか時間に余裕がなくなった人が結構高い値段で買ってくれるらしいのよ。」


「ほほー、いくら位で売れるモンなんだ?」


「去年のマッドスパイダーの足は金貨10枚で売れたらしいよ~。捕獲するのが難しく流通にないのが選ばれるんで価値も跳ね上がるんだよね~」


ちなみに銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨100枚で金貨1枚、銅貨5枚でパンが一個買えるので日本円で考えると銅貨1枚20円か?

そう考えると金貨1枚20万円、10枚だと200万かそりゃ大金だわ売れたらの話だが・・・


「・・・ジン・・・傷だらけ・・・治療したほうがいい・・・」


んん?そういや俺はボロボロになって行き倒れるんじゃないかって状態だった。

2人にであったことと、久しぶりの食事や興味深い話をしていて忘れていた・・・いたたた思い出したらすげー痛いぐぁぁぁぁ。


「うわーボロボロだね~服も破けてて何処かの蛮族って感じだね目つきも悪いし。なんで私はジンを悪人じゃないって思ったんだろう不思議だね~」


ニコニコ笑いながら人をボロクソに言いやがる。

目つきが悪いのは生まれつきだよ!

俺は馬鹿な反論をしないことにする、叩かれたくないからな。


「はい、これでおしまいっと」


塗り薬を塗り包帯を巻いてもらった。日本にいたときは怪我をすれば病院に行けばいい。

今ではコンビニにけば傷薬や包帯ぐらいは買えるだろう。

だがここは異世界、怪我を治療してもらえるというのがこれほどありがたいとは思わなかった。


「あとは服だね~、ジンが着ている服やズボンは破れててもう使えないね、バルア、変えの上下貸してあげてあと靴も」


「...ん...」


薄い灰色のシャツとズボン、手触りはゴワゴワとしているが丈夫そうな布地を使っている。

ここで遠慮しても仕方ないのありがたく使わせてもらうことにした。

靴は履き潰してしまった感のあるサンダルだ、履き潰していても裸足よりはありがたい。


「悪いな色々してもらって、ありがとう」


「いいよいいよ~ジンは命の恩人なんだからそれぐらい、どう~てことないよ~あっ、あとバルアって水虫だからきおつけてね~」


バルアが顔を赤くして照れる。


「照れるとこじゃねええええええええええええ」


俺はサンダルを放り投げた、水虫サンダルはいらねええええぇぇぇぇぇぇ!






   ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




メレーゲ平原の入り口シュオンの森に張り込んでそろそろ12日なる。

その間に掛かった獲物は3組、どいつもこいつもたくさんの蝶を運んでくれる間抜けどもだ。

だがもうそろそろ戻らないと試験に間に合わなくなるな。

今日獲物が通らなければ町に帰るとするか。

そう思いつつ男は周りを見回す、男がいるのは街道より少しはなれた木の陰に隠れている。

他にも2人ほど左右に座り込み、街道の反対側にも2人隠れている。

男は盗賊のようだ、よれよれの服に腰にはショートソードを下げている。

左右に座り込んでいる部下らしき男は弓矢を背負っていた、向こうの2人も同じような装備なのだろう。

この時期、冒険者試験を受けるためのアイテムが高い値でよく売れる。

自分達でとりに行くのはリスクが高すぎる、ならば自分達でも容易に倒せそうな冒険者見習いが、アイテムを持ってくるの待ち、奪い取るほうがよほど効率がいい。


「くくくっまた間抜けが2匹きやがった、お前ら用意しろそろそろ値崩れしてるだろうしあいつらを殺ったら町に帰るぞ。」


そういいつつ向こう側にいる部下達にもハンドサインを送る。

サインを見た部下2人は音を立てない様に冒険者見習いどもの後ろに回りだした。

用意は整った最後のお仕事といきますかね、いやらしぃ笑みを浮かべて男は道へと飛び出した。




    ◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




ミアとバルア2人がメレーゲ高原を抜けシュオンの森に入ったところで男が3人飛び出してきた。


「おおっと餓鬼ども止まれー」


真ん中にいる男がいやらしぃ笑みを浮かべて道をふ塞ぐ。

後ろからも足音が聞こえ、振り返ると弓をもった男2人がこちらを狙っていた。


「お前ら冒険者見習いだろ、幻覚蝶何匹捕まえてきた?」


「5匹よ」


「がははっ考えることはどいつも一緒だな、俺達のために大量に持ってきてくれる」


まわりの男達もまったくだーといって笑い出す。


「よく見たらまだ餓鬼だがなかなか上玉じゃねーか、よーし男は殺す女は犯してから売り飛ばすか」


ふざけたことを言ってくれる、でもたしかにこの状況は詰んでいる。

5対2、しかも前と後ろに挟まれて4人は弓でこちらを狙っているし、たとえ前又は後ろの敵を倒せたとしても、後ろから弓で打たれたらお終いだ。

前と後ろばらばらに戦うなんて問題外だろう、2人しかいないのなら。


「うおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ」


前にいる盗賊達の後ろから雄たけびを上げながらジンが切りかかる。

私とバルアは素早く後ろに振り返り、驚いて固まっている盗賊に襲い掛かった。







少し時間をさかのぼる------



メレーゲ平原の出口にさしかかり、森の入り口が見えたところでふと思いついた。

大金が手に入る幻覚蝶を持った人間が、あの狭い森の入り口に入る。

・・・俺なら待ち伏せしておいしいところを掻っ攫っていくな・・・


「なぁミア」


「ん~なにかな~?」


「このまま進むのって危なくないか?」


「え?」


どうやらミア・・・やバルアもそう考えてないらしい、俺の考えすぎか?


「いやな、あの森の入り口あたりで待ち伏せでもされたら一網打尽にされないか?」


「「...っ!」」


「でも・・・情報・・・ギルドなら・・・ありえる?」


ぶつぶつと呟きながらうろうろしだした、考えるときの癖かな?


「うんありえる、ギルドからそんな報告なかったし噂にすら上がらなかったから考えもしなかった。」


「噂にもなってないのか?それなら俺の考えすぎなのかもな」


「ううんたぶんそうじゃない、ギルドがわざと噂になりそうになっても抑えてるんだと思う。盗賊とか泥棒たちの対処も試験の内なんだ、ありがとうジンがいってくれなかったらこのまま何も考えずに森に入ってたと思う」


「・・・ジンありがとう・・・」


うぐっ、俺はただそうしたほうが楽してがっぽがっぽだなーて思っただけなんだ、そんな目で見ないでくれ。


「きっ気にしないでくれ、たった1日だが一緒に旅をしている仲間じゃないか」


「そっか...ありがとう」


ミアもバルアも俺をみてにっこり笑う、結構くるな罪悪感が・・・


「それよりも、もし盗賊たちがいたらどうする?たぶん入るときはそのままスルーして出てくるのを待っていると思うんだが」


「そうだねーもしそうなら、私とバルアが2人だってチェックしてるよね」


そうだろう本当にいたとしたら。

相手はミア達を2人しかいなペアのPTだと思うだろう。

俺は森からでなく空から降ってきたのだから、存在すら知らないはずだ。


「俺のことはたぶん知らないと思う、だからミア達が盗賊たちの相手をしてる間に俺が後ろに回って奇襲するってのはどうだ?」


単純だが効果はあるはず。

ほかに思いつくことはない、3人一緒に固まって突っ切るぐらいか?

もし罠とか仕掛けられてたらそれこそ一網打尽だ。


「うん、それでいこう、ジン頼りにしてるよ」


ミアがにっこりと笑うバルアが顔を赤めながらサムズアップしている。

2人とも俺のことを簡単に信用しすぎだ、1日一緒にいただけなのに。

一緒にモンスターを倒したのが何かの連帯感を生んだのかな。

それだけじゃないな人が良いんだこいつらは、すぐ騙されるぞ俺がしっかりしないとな。

いつの間にか2人のことをとても心配していることに気づいていなかった・・・





ミアとバルアが森に入ってから少ししたところで盗賊たちが飛び出してきた。

まじでいやがった数は5人、前と後ろで挟み込んで、リーダーらしい男以外は弓を構えている。

弓の間合いだ抵抗してもすぐ制圧されてしまうだろう、だがそれはほかに誰もいなかったらの話だ。


俺はなるべく音を立てないように、リーダーらしき男がいる3人の後方へと森を渡っていく。

盗賊は捕まればほぼ極刑らしいすなわち死刑だ、だから遠慮することはない。


俺は盗賊の後ろに回り込むことに成功した。

ここから飛び出して斬りつける・・・そう切るんだモンスターや動物じゃない。

異世界とはいえ同じ言葉もわかる人間を斬る。

<ドクン> <ドクン> <ドクン>

鼓動が早まる・・・落ち着け・・・奴らを同じ人間と思うな。

もう、あいつらは何人も同じように待ち伏せして殺している、血糊の着いたまま手入れをしていない武器をみれば分かる。

<ドクン> <ドクン> <ドクン>

くそっ・・・手が震える・・・落ち着け・・・ふぅふぅと息がいつの間にか漏れる。

リーダーらしき男の首を見る、いやそこしか目がいかない、視野が狭まる。


「・・ぅぅぅ」


声が漏れる、だめだ声をだすな!

頭ではそう考えていても体が、気持ちがコントロールできない!


「ぅぅぅぅおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


俺は雄たけびを上げながら走り出す、ミアとバルアが後ろを振り返り盗賊に襲い掛かる。

くそっくそっ頭の中がぐちゃぐちゃだ、走っている感覚がしない視界がグラグラとゆれる。

振り返り驚いた男の顔がもう目の前にあった。


「ああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


技も何もない力任せの斬撃、リーダーらしき男の首を切り裂く!

目の前が真っ赤に染まり何も考えられなくなる、だが体は俺の状態を無視して動く。

2歳のときから続けてきた14年に渡る修練は、敵のわずかな気配に感づき動き出す。

右にいる盗賊の胴を斬り払う、左にいる盗賊との距離は7mほどか。

一歩では届かない、切り払った盗賊を突き飛ばしその影にかくれ一歩、右にステップしのこりの距離を一気に詰め上段から斬り払う。


終わった・・・俺は斬った・・・人を・・・


「ジン?大丈夫?」


「あ・・・ああ心配ない」


「でも・・・ならどうして泣いているの?」


泣いている?誰が?頬をに手を当てると涙の後に当たる。

なぜ泣いている?人を斬ったからか?いやちがうこんな奴らを殺したからといって泣くことなんかない、

ならなぜ涙が流れる?

そして俺は思い至る。

俺は人を斬ったどんな奴だろうと関係ない、もう元には戻れない。

元の世界に戻る気はなかった、だが何処かで日本の常識が俺の体に染み付いていたんだ。

人を斬ることで、俺は元の世界との完全な決別をはたした。







小説ってむずかしいですねー・w・

ご感想をお待ちしております>w<ノ


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