迷宮2
------ロラン
攻略2日目の昼。
地下45階、ワイ達は順調に階層を攻略しとる。
戦闘でもジンの的確な指示もあり、危なげなく敵を全滅させることができ、皆おしゃべりする余裕まであるで。
「しっかし、41階から敵の数がえらい多なったなー」
「そうね、遭遇する回数は変わらないけど一度に10匹から20匹の集団ででて来る」
ワイの呟きにもしっかり返してくれる、アシェリーはんはええこやなー、可愛くて賢くて、これでジンに惚れてなかったら最高やったのに!
「でも私達きちんと戦えてます!これでしたら50階まで余裕ですね、師匠!」
「油断はするなよ」
ぱしっとジンに頭をチョップされて「ひん」と声をだす。
スズハちゃんもええな~、サラサラな黒髪にナイススタイル!少し天然なところもあるけどそこがええんやんか!
この子もジンに惚れてる感じがする・・・ぐぎぎぎぎ・・・殺るしかないか?
べキッ、ワイの頭に白銀の鞘がめり込む!
「ぐおおおおおっ、なにさらすんじゃ!」
「いや、ロランから何か黒い殺気が漏れでた気がして」
勘のいいやつやな!
「そないなわけ無いやろ!ワイはこう~そ、そうジンの敵の名前とLvが判る能力が便利やな~思ってただけや!」
「そうか?」
そういって首を捻る・・・どうやら謝る気がない見たいや。
「確かに便利だにゃー、一々名前を付けなくてもいいし。ギルドに情報があるモンスターなら弱点や習性も判って危険も少なくなるにゃ」
ミミカの言うとおりやな、適当にごまかしたのに話が繋がってもうた。
しかしミミカも美人やで~簡素な神官服からでも判るメリハリのきいたプロポーション!猫耳と尻尾のコンボ!なによりジンに惚れてないのが◎や!
ん?前方にモンスターか?ワイはハンドサインでジンに注意を促す。
気づいたジンが全員に注意を促す。
さて、また戦闘やぎょうさん経験値をいただこやないか!
------ミミカ
ロランがモンスターを見つけ、ジンが全員に注意を促す。
即座に陣形が取られモンスター達を迎え撃つ。
いいPTだにゃー、アシェリーはジンに全幅の信頼を置いているにゃ。
スズハも少し壁があるようだけど、ジンの言う事をきちんと聞いて居るし信頼もしているみたいにゃ。
ロランはお調子者だけど、いい感じの緩衝役かにゃ?
スカウト役としても優秀にゃ。
PTとしてジンを中心に纏まっているから、これだけの数相手でもまったく危なげないにゃ~。
【ロックリザードLv45】8匹【ポイズンバットLv43】6匹【パラライズキャタピラーLv47】3匹。
「アシェリー【ウインドボム】で蝙蝠どもを一度吹き飛ばせ!ミミカ、蔦でトカゲの足止めを頼む!ロランもトカゲどもの牽制!スズハ、まずは虫を潰すぞ!」
「「「「了解!」」」」
ジンの滑らかな動きと、白銀の切れ味が合わさってキャタピラーの胴を切り裂く。
そこへスズハが止めの一撃を叩き込む!あと2匹。
『種が成長し蔦となる、蔦は広がり絡め獲る』
【絡め獲る蔦】
私の神聖魔法でトカゲの4体を足止めする。
「ナイスやでミミカ」
すかさずロランが飛び込み、トカゲ達をかく乱していく。
「よっ、はっ、ほりゃっ、せいっ!」
「まるでサーカスの軽業士だにゃ~」
『風よ渦巻き破裂せよ』
【ウインドボム】
蝙蝠たちを吹き飛ばす!空中に飛んでいて軽い蝙蝠たちは10m近く飛んでいった。
アシェリーは素早く次の魔法を唱える。
『炎よその姿を矢に変えて貫き燃やせ』
【ファイヤーアロー】
ゴウッという音と共にキャタピラーへと襲い掛かる4本の炎の矢!
2本が1匹にもう一本が別のキャタピラーに当たる!
「きえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
ジンの気合一閃!【ファイヤーアロー】に貫かれ弱ったキャタピラー2匹を連続で仕留める!
残りはリザード8にバット6、そのままリザードを足止めし蝙蝠を先に殲滅。
今回の戦闘も危なげなく終了しそうだにゃ。
Lvもぐんぐん上がる、ほんとにいいPTに当たったにゃ、これも大自然のお陰だにゃ~。
------ジン
「おおっ、またLvがあがったでぇー」
また上がったのか、これでロランの奴はLv50だな。
たしか初めて迷宮にはいった時点では39だったからこれで11回目のLvアップか。
「「「「おめでとう」」」」
「いやいやおおきにおおきに、しっかしワイもとうとうLv50か」
「ほんと早いですよね、私もいまLv47です一ヶ月で13Lvも上がりました」
「うん、私も昨日でLv50になったし12Lvも上がってる」
「モンスターの数が多すぎるにゃー41階から倍以上でてきてるにゃ」
「そうだな、少し多すぎだ。今回はもう少し慎重になったほうがいいかもな」
俺の言葉にアシェリーたち女性組みがうなずく。
「いやいやいや、ちょい待とうや!確かに敵の数は多なった、でもまだLv50やで?」
「十分高いでしょ?」
アシェリーが少し不思議そうにロランに聞き返す。
「それは一般の常識やで、ワイら冒険者はLv50からが一つの壁いわれてんねん」
へー初耳だ。
「どういうことだ?」
「ん~簡単にいうと才能があるかないかやな」
「才能ですか?」
「そうやスズハちゃん才能や!才能があるもんはLv50の壁を越えれる、せやけど無いもんは頭打ちらしい」
「頭打ちってことはもうLvが上がらないってことか・・・」
「そういうこっちゃ、せやからここでもう1Lv上げて調べへんか?」
ん~悩む・・・が、思った以上に消耗品の消費が激しい、ミミカの回復力増加だけじゃこの先流石に心もとない。
「いや、ここは安全にいこう、今無理する必要もないしな」
「そうか、まあ絶対に試さなあかんわけでもないからな、了解や」
よし、ならここは安全そうだから【マーカー】を使うか。
俺が秘蹟を使おうと思ったときに、ロランが叫んだ。
「ちょっとまったああああああああああああ!」
なんだっ、モンスターか!
「どうした!」
「あっあれは・・・ミミックや!!」
「「「「ミミック?」」」」
どうやら他の皆も知らないらしい、何気に色々知っているなさすがにエルフというところか。
色物だが・・・
「そうや、へりタリスの名物の1つといってもええ、まさか45階でも出るなんておもわんかった」
「珍しいのか?」
「めっちゃ珍しいねん、最後にあのミミックの処理だけしてええか?」
このとき俺は首すじにちりちりと嫌な感覚を覚えていた。
だが油断していたんだろう、このPTなら大丈夫だと・・・俺はこの後とても後悔することにると知らずに。
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まるいものは今日も元気です。




