迷宮1
------ジン
俺がへリタリスに来てからそろそろ1ヶ月が経とうとしている。
スズハやロラン、ミミカを加えた5人PTにも大分なれ、今は迷宮の40階まで到達する事が出来るようになった。
俺のLvもガンガン上がり今ではLv38だ・・・Lv1に戻った時はどうしようかと真剣に悩んだもんだ。
他の4人もこのい一ヶ月でかなり成長した、平均してLvは10上がったんじゃないかな?
リッツさんに言わせると5人ともかなりハイペースらしい、普通の冒険者だと5ヶ月は掛かるみたいだ。
ロランは見た目こそ色物だが、罠解除や敵捜査が優れており戦闘能力も高い。
スズハは最近俺と共に朝稽古をしているんだが、教える事をスポンジのように吸収するのでめきめきと実力を上げてきた。Lvも高くなってそこらの冒険者じゃもう太刀打ちできないな。
アシェリーも毎朝俺たちに付き合い朝稽古をしている。魔術師としても優秀なんだが、最近は動きも良くなってきて、なかなか接近戦も様になっている。
最後にミミカは特殊な種を使った自然魔法を得意としていて、種に神聖魔法をかけ自由に成長させ動かす事が出来る。敵の足止めや蔦の壁により攻撃を防いだりと間接的なサポートを得意としていた。
バランスもよく、自分の特徴をよく理解した戦いをしている為Lvによるステータス任せの冒険者より成長が早いのは当然の理屈なのかもしれない。
「ジン、テレポートの秘蹟を補充してきたよ!」
「ご苦労さん」
アシェリーの頭をなでてやると目を細めて気持ちよさそうにする。
「しかし便利なもんやな、テレポートの秘蹟っちゅーのは」
「ほんとだにゃー、それを使ったらいっきに神殿まで戻ったにゃ」
テレポートの秘蹟、ここへリタリスの特産品といっても過言ではない神秘のアイテム。
宗教国家へリタリスにはその昔本当に神々が降臨していたとても神気の高い場所だ。
それは迷宮の中にも浸透していて、中で取れる水晶は高位魔法である【リターン】の魔法を封じ込める事が出来る。
それ以外に【マーキング】の魔法が入った秘蹟を使い、迷宮にマーカーをつけ、【トレーステレポート】の秘蹟でマーカーが着いた場所へいっきに飛べる。
一々迷宮を上り下りしなくても済む分かなり便利だ。
「便利ですが、一つ金貨5枚は高いですね」
スズハの言うとおりで一つ金貨5枚はかなり痛い・・・が、命には代えられない必要経費というものだ。
「ほなら50階目指してがんばりましょか!」
「食料は4日分でよかったか?」
「いざとなったら私が食料を種から作るにゃー」
「んっ行こう、ジン」
「よしっ、なら使うぞ!【トレーステレポート】」
シュンッ
シュンッ
空間の擦れる?音とともに、今までいた太陽神殿の客間ではなく、ごつごつとした洞窟のような迷宮に出る。
「【ライト】」
アシェリーのライトで迷宮を照らす。
「おおっほんまに便利やな、前ここまで来るのに5日かかったのに」
「それはいいから、周りの警戒を頼むぞ!」
「判ってる判ってる、心配ないで~」
ロランは優秀だけどかなりお調子者だ、そしてかなりの女好きだった。
事あるごとに3人にスキンシップをしようとする。
「アシェリーはん、ワイがしっかり守るさかい安心してやー」
「ジン、【マッパー】で確認したけどやっぱりしたの階段は東南の方にあるみたい」
3人も慣れたのかことごとくスルーしている。
「ふっ、照れんでもええのに」
「いいから行くぞ」
そういってロランを置いていく。
「ちょいまちいな、置いて行かんといてええええええ」
------スズハ
迷宮40階は2度の戦闘だけで他は何事も無くスムーズに進んだ、今回はクエストもドロップも無視して50階に行く事になっています。
41階、ここもごつごつとした広い洞窟タイプの迷宮ですね。
真っ直ぐ進むとロランが警告のハンドサインを送ってきます。
モンスターが・・・いた、前方約30m此方のライトの光に寄って来ているみたいです!
「初めての敵だ、慎重にいくぞ!スズハと俺で足止めをする!ロランは遊撃!ミミカはサポート!アシェリー派手でもいい威力のでかい奴を頼む!」
私は師匠の指示に返事を返し直ぐに行動に移す。他の皆も同じだ、PTがスムーズに機能します!
【ロックリザートLv45】4匹【ポイズンバットLv43】6匹!
師匠が刀で牽制しトカゲのような敵を此方に寄せ付けない、なら私は蝙蝠を後衛にいかせないように注意を引き連れます!
ロランの手裏剣が一匹の羽に刺さり、飛行が乱れた!すかさず私が斬る!
まとわりついて噛もうとする蝙蝠達をミミカの蔦が牽制し、その間に後ろに下がり態勢を立て直す!
アシェリーの魔法が完成しました!
『炎よ舞え激しく強く其は全てを包む災禍の破壊』
【バーニングフレア】
師匠が私のいるところまで下がる、炎の魔法はトカゲを4匹とも包み蝙蝠も2匹倒します!
やはり魔法は強い!
「止めを刺すぞ!」
「了解や!」
師匠の言葉にロランが答える、私も後れて入られない!
「承知!」
そして41階の初の戦闘を私達は終わらせます。
------アシェリー
41階を降りてから6度の戦闘をこなし今は43階にいる、皆少し疲れたので今は昼食をかねた休憩中だ。
「ふぅ、しかし結構な数を倒したな」
「うん、ロックリザード18匹、ポイズンバット32匹、ロックイーター21匹倒したよ」
「よく数えてるな~」
そう言ってジンが頭をなでてくれる。最初は恥かしかったけど、慣れればとても気持ちがよくて私は好き。
「くぅっなんでや、なんでジンばっかり・・・」
ロランがなにか呟いてるけど、こういう時はスルーするのがいいらしい。
「でも師匠、この調子ですと50階到達は4日ほどかかりそうですね」
スズハさんがジンに寄りながら話しかける・・・私はジンの横に移動して其れを阻止する・・・
目が合いお互い見つめあう・・・もしかしたら火花が飛び散っていたかもしれない。
「なんでや~ナイスガイなワイがもてずに三白眼のジンがなんでや~・・・」
最初はそうでもなかったのに最近のスズハさんはジンに対して積極的になっている気がする・・・気おつけないと・・・ジンは渡さない!
------ジン
さて、そろそろ休憩を切り上げて進むか。
俺が立ち上がろうとするとミミカが此方に近づいて耳打ちをする。
「ジンも大変だにゃー、まあがんばるにゃ」
何のことだ?俺は首を捻って考えるがわからない。
まあいい其れより今は50階だ、皆を死なせず無事目的を達成しなきゃな!
「よし、先を行こう!」
そして俺たちは43階の攻略にとりかかるのであった。
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