PT結成
蠍のアジト襲撃開始から2時間、第一~第五全ての制圧を完了した。
構成員約130名を拘束、ボスであるラウギスの討伐。
襲撃作戦は大成功だ、特にラウギスを討伐できたのが大きい。
「みなさんご苦労様です、今回の作戦で蠍の中核をになっていた幹部を多く捉えることが出来ました。まだ多くの構成員が残っていますが、おそらく組織を立て直すことは出来ないでしょう」
リッツさんが言うには、今回の作戦で幹部の8割を捕らえるか討伐したことで、組織として纏まる力はなくなったのこと。
これは、ロランが事前にアジトの場所や幹部の所在を、事細かく調べた事が大きい。
格好はともかく能力は本物だ。
「・・・・ん・・・」
「セリア!気がついたか?ワイがわかるか?」
「お・・にぃちぁん・・・お兄ちゃん!」
感動の対面だな、リッツさんも流石に今はこらえている。
「ふひぅ~ふひぅ~あああぁぁぁぁ可愛い・・・もふもふすりすりしたい!」
「僧兵の皆さん!この危険人物を遠ざけて!!」
『仕方ないな~、リッツ様だもの~、セリアちゃんかわいいねー』
『はっ放してください、セリアたん!はいはいリッツ様あちらで事後処理をお願いします』
まったく・・・どうやら向こうは一頻り抱き合って落ち着いたようだ。
とことことセリアちゃんが歩いてくる。
「みなさん、危ない所を助けていただいて有難うございます!」
ロランと同じ薄緑の髪が夜にも拘らず煌めき、宝石のように青い瞳がきらきらと輝いている。
子供らしくぷにぷにとしたやわらかそうなほっぺに長い耳、これぞエルフ!といわんばかりの容姿だ。
「無事でよかった、私はアシェリー。よろしくねセリアちゃん」
「わっ私はスズハです!今後ともよろしくお願いします!」
「はい!アシェリーおねーちゃん、スズハおねーちゃん宜しくお願いします!」
美少女2人に美幼女1人、物凄く絵になるな。
ロランが俺に近づいてくる。
「ほんま助かったは、ジン達や太陽神殿の人らには頭があがらんで」
「いや、こっちもうっとおしい奴らが大人しくなるのは有難いからな、お互い様だ」
「そうか、でも礼は言わせてくれ、ほんま有難う」
そういって頭をさげる、なんだかとてもくすぐったいな。
「お兄さん達、ちょっといいかにゃー」
俺たちがひと時和んでいるとネコ耳族の少女が声をかけてきた。
「ん・・・あんたは?」
「ああっこの子はミミカちゃんいうんや、セリアと一緒に捕まってた」
「ミミカ・ピリカいいますにゃ、助けてくれて有難うだにゃ」
ぺこりと頭を下げる。ネコ耳がピコピコ動き尻尾がゆらゆら揺れる。
身長は160cmぐらい、髪先が自然にカールしている肩までかかる赤い髪、目は少し釣り上がり気味の茶色の瞳。幼さが抜けていないがどちらかといえば美人系の少女だ。
・・・語尾がにゃなんだな・・・
「あんたも誘拐されてたのか、災難だったな」
「そうなんだにゃ、故郷から一人前の冒険者になるために、へりタリスに着て一日目で浚われてしまったにゃー自身なくなるにゃ」
あー・・・それは、一日で浚われたのか、ある意味すごいな。
「なんや、ミミカちゃんは冒険者希望やったんか」
「ミミカでいいにゃー、これでもドルイドとしての腕には自信があったにゃ・・・」
「ドルイド?」
俺の疑問にアシェリーが答えてくれる。
「自然の力で木々を操ったり、自然回復を高めたりする神職の一つだよ」
スズハ、セリアちゃんと一緒に此方の話に混じってくる。
「ミミカおねーちゃん!」
セリアちゃんがミミカのお腹に突進していく!「げうっ」女の子から出て欲しくない呻き声をあげてセリアちゃんの突進を受け止める。
「せっセリアちゃんも無事でよかったにゃ」
「うん!おねーちゃんも無事でよかったです!」
蠍に捕まっていた3日間、同じ部屋に監禁されてミミカにずっと励まされていたらしい、とても懐いている。
「さて、何時までもここにいられないし、太陽神殿に一度戻るか」
「そやな、セリアを安全なとこで休ませていし」
「ミミカでいいか?あんたも今日は一緒に太陽神殿に行こう」
「有難いにゃー、お腹がぺこぺこにゃー」
「・・・また・・・女の人が・・・」
「アシェリー何してんだ?帰るぞー」
「あっ、まって!」
今回の襲撃で蠍も自然消滅するだろう、ただ残党の多くが残ったままだ。
もう暫くは気おつけないといけないな。
次の日、改めてロランがセリアちゃんを連れて、俺たちやリッツさんにお礼をしに来た。
「ほんまに有難うな、改めてお礼いわせてくれ。ワイでできる事があったら何でも言うてくれ」
「有難うございました」
「昨日も言ったけどあまり気にするなよ、こっちにも理由はあったんだし」
「そうですよ?それに今私は至福です!」
案の定セリアちゃんを捕まえて撫で回すリッツさん、ただ、とうのセリアちゃんがまったく嫌がっていない。
なんでも故郷でも同じような扱いを受けていたらしくなれているとか。
「ほんでな、今日はお礼以外にジンたちに提案があるんや」
「提案?」
「そや、ジンたちも迷宮には潜るんやろ?ならワイとミミカをいれてPTくまへんか?」
「んにゃ?」
先ほどから昼食を一心不乱に食べていたミミカが此方を振り向く。
行く当ての無いミミカは少しの間太陽神殿で面倒を見ることになっている。
「ジンとスズハちゃんが前衛、ワイが中衛とトラップなんぞの排除、そしてアシェリーはんとミミカの後衛。どや?めっさバランスいいんとちゃうん?」
確かに・・・PTで迷宮を潜るなら4~6人がベストらしい、それなら5人で前衛、中衛、後衛とこのメンバーならバランスがいい。
俺はアシェリーとスズハに目を向けると。
「うん、私は賛成。いつかはPTを組むつもりだったんでしょ?ならロラン達に来てもらったほうが私は言いと思う」
「私も、それでいいと思います師匠の思うとおりに」
「ミミカはどう思ってる?」
口いっぱいに詰まっている白身魚のフライを飲み込んでから、応える。
「賛成にゃ、というより此方からお願いしたいぐらいにゃー」
ミミカにも異存はないらしい、なら決まりだ!
「よしっ、ならこの5人でPTを組もう!」
「よっしゃっ、そうと決まったら早速ギルドにクエスト受けに行こうやないか」
俺はへリタリスにきて新しい仲間と共に、迷宮に挑戦すことになった。
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