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へリタリス

オストライト王国から2週間馬車で移動し。俺たちは今宗教集合国家へリタリスにやって来た。


「っつあ~、やっと着いたな」


馬車の中から一人の少年が出てくる。ジン・マツナガ。

黒いぼさぼさだった髪はとかされ、180cmの引き締まった体躯を、白と赤のツートンカラーのチェニックと黒のズボンで纏い。

腰には黒鞘に収められた刀を挿し、足は革のブーツをはいている。

顔は整っているのだが三白眼に眠そうな雰囲気が台無しにしている。


「ジン、待って!」


次に出てきたのはとても美しい少女だ。アシェリー・ペンフェルト・オストライト。

150cmと小柄で少しほっそりとしている体躯。

煌めく銀髪をフェミニンショートにし、翡翠の瞳は濡れたように輝いている。

唇は小さめで艶やか、肌は深雪の雪のようだ。

淡い青色のワンピース風な服に白のブーツ。

銀で作られた小さめのロッドを持ち、白のマントを羽織ながら馬車を降りる。


「2人ともー勝手に歩いては迷子になってしまいますよ?」


最後に出てきたのは、薄い黄色の貫頭衣に太陽の絵が描かれたストールを首に巻き。

戦端にいくつものワッカをつけた錫上を、手に持った太陽神殿の神官だ。リッツ・ホワンポワゥ。

日の光を弾く腰まで伸ばした金の髪に、すこしタレ目の空色の瞳。

165cmに完璧なプロポーションで人の目を奪う。

頭にはウサ耳族とわかる兎の耳。


「おぬしらもう少し落ち着かんか。へりタリスは逃げやせん」


ドワーフのギリムス・パパック。

チェーンメイルに髭と髪で隠れた顔、鼻は真っ赤ととてもドワーフらしいドワーフだ。

馬車を一度馬車置き場においてい来る為、ギリムスとはここで一度別れることになった。


「さぁ二人とも。太陽神殿本殿に行きましょう」


そう促されて俺たちは宗教国家へリタリスの大通りへと歩き出す。


へリタリスは宗教国家という一面と、巨大迷宮があるため多くの冒険者が来るという一面がある。

多種多様な宗教色、そこに冒険者の無秩序な色が混ざり。

まさに混沌といってもいい雰囲気が充満している。





「うわ~・・・」


色とりどりの店や露店。

焼き鳥屋のような店があれば、指輪やアクセサリー、中には露店で武器や防具まで売っていやがる。

客引きの声や客達のざわめきの音がとても雑多な音を出しているな。

幸運のタペストリーなんて名前の商品をみて。

何処にも同じ様な物があるのだなーと少し可笑しくなる。


アシェリーのやつ、いままで過保護に育てられたんだな。

あの試験の旅以外で外に出た事もなかったろう。

あっちへフラフラ、こっちへフラフラと落ち着きがない。


「おいっアシェリー、あんまりフラフラするなよ」


「うっうん・・・わかっきゃっ」


小さく悲鳴を上げて地面に尻餅をつく。

いきなり路地から出てきた柄の悪い男がぶつかってきたからだ。


「大丈夫か」


俺はアシェリーを起こしてやりながら男を睨む。


「おいっおっさん、ぶつかったら誤るのが礼儀ってもんじゃねーのか?」


「ああん!その餓鬼が俺にぶつかったんだろうが!見ろよ!そっちの餓鬼のせいで俺の壷が割れちまったじゃねーか、どう落とし前つけてくれるんだ!ええ!!」


「ちっ、ただの当たり屋かよめんどくせーもういいから消えろ」しっしっ


俺が手を振ると顔を真っ赤にして怒鳴りだす。

どうせ金目当てのろくでなしだ、最初からアシェリーをねらってたな・・・


「金がないならその餓鬼が俺の相手をするのでもいいんだぜ?よく見たらすげー上玉じゃねーか」


ぶちっ・・・


「てめ「ぶげらっ」・・・・」


いきなり当たり屋が吹っ飛んでいく。

そこには錫杖を振りぬいたリッツさんが・・・


「あーたんに不埒なまねをしようだなんて・・・万回死になさい!!」


「うがが・・・おっお前ら、俺が蠍一派だと分かってるのか!」


「しらねーよ」


顔面を足で蹴り抜く。

いつの間にか俺たちの周りには人が居なくなり、みな遠巻きにこちらを見ている。

さっきから此方を見ていた蠍一派と思わしい、腕や肩に蠍のタトゥーをした男達が4人俺たちを囲む。


「よう・・・お前ら、そいつはカスだが俺たちのファミリーでね。やられっぱなしって分けにはいかねーんだ」


4人が4人ともククリナイフを抜き放ち俺を囲む。


「アシェリーすこし離れとけ、リッツさん、頼みます」


「わかりました、さ、あーたんこっちに」


「ジン、気おつけて」


アシェリーがリッツさんの所に避難するのを見届け、白銀を抜く。


チンピラ達が一斉に襲い掛かってくる。


松永神明流無形 柳!


軸となる足以外をゆらゆらと揺らし、ナイフの風圧を感じ紙一重でかわす。

4人のチンピラの攻撃は掠りもしない。

一つ、一人の伸びきった腕を切り落とす。

二つ、態勢の崩れたチンピラの足の腱を斬る。

三つ、此方を振り向く一人の両目を指で潰す。

四つ、恐怖ででたらめに振り回した腕を刎ね飛ばす。


白銀を一振りし血糊を飛ばした瞬間、割れんばかりの拍手が巻き起こった。


「おみごとっ」「いいぞーにーちゃん」「すかっとしたよ、あんたいい男だね」「ざまあ見ろ蠍!」


どうやらこいつらは相当嫌われてるらしいな、誰も介抱しようとしない。


「ジン、おつかれさま!」


「お疲れ様ですジン君、早く移動しないと動けなくなりそうです。いきましょう」


「だなっ、アシェリー今度はふらふらするなよ」


「わっわかってるよっ」


俺たちは急ぎ足でその場を後にする。後々めんどくさい事にならなければいいんだが。







「すごい・・・けっして速さも力も入ってなかった・・・なのにLV40台のあいつらを一瞬で・・・決めた・・・あの人に僕は・・・」







太陽神殿に無事着いた俺たちは、これからの事をどうするか決める事にする。


まず第一に俺とアシェリーのLv上げ。

これはいつか女神がアシェリーを狙った時にまた追い払う力を、そして抗う力をつける為に。


次に最近太陽神やそのほかの神の力が落ちてきていることの調査。

リッツさんはそう感じていたらしい。

俺をへりタリスに連れて来たのは、白銀を太陽神殿本殿に持ってくれば何か分かるのでは?と思ったらしい。


最後は冒険者のランク上げだな。

何時までも一文無しで、リッツさんやアシェリーに食費やらなにやら出してもらうのは余りにも情けない。


ということで今夜は神殿に止めてもらい、明日から冒険者ギルドで依頼探しだ。

これぞ異世界って感じだ久々にわくわくしてきた。

今日は寝れないかもしれない。


「ちょっ、リッツさんはなして・・・ジッジン・・・たすひあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


ほんとあの人はちっとは押さえがきかねーのか・・・なんだか色々ぶち壊しだな・・・







朝目を覚ますとどうも外が騒がしい・・・人が集まっているのは入り口か、なにがあったんだ?


ひょいっと外に顔をだす。

目が合った・・・かなりの美少女だ、艶やかな黒髪をポニーテールにして、目はパッチリとした二重まぶた。

唇は桜色をしていて、頬はうっすらと赤みを挿している。

肌は少し日にやけているが健康的な美しさがある。

服は肩まで削ったような羽織に布の手甲。

足はおそらく脚袢だろう短い下衣から見える太ももが妙にいろっぽい。

腰には黒鞘をさしている。

どう見てもエセ侍にしか見えないが、美少女は何を着ても似合うという見本だなっと思った。

ただ・・・なんで道のど真ん中で正座してるんだ?


「あっあのっ」


いきなり声を上げる・・・どうも俺に喋りかけてるらしい。

面倒ごとだな・・・美少女だからいいか。


「俺に何か用か?」


少女は真剣な顔で俺に告げる。


「どうかぼきゅを弟子にしてくらはいっ」


あれほどざわざわと騒がしかった音が止まる。

空気が凍るとはこういうことを言うのだろう。


「・・・・・せめて噛まなくなってから出直して来い」


やっぱり面倒ごとだったな・・・





感想や評価お待ちしております>w<


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