別れと王都
俺達は今馬車に乗って王都に向かっている。
2頭立ての4輪の幌馬車で6人ほどなら楽に乗れる大きさだ。
レンシュルツがたずなを握り馬をのんびりと走らせている。
俺はギリムスからこの世界の、色んな武器の造りや扱い方を簡単に教えてもらいながらそっと隣をのぞく。
リッツさんが嬉しそうにアーサーを抱え込み、とうのアーサーは諦めたのかグッタリとしていいる。
諦めたと言うより力尽きたか。
今俺達はこの5人で王都に向かうことになった。
人を無理やり操り俺達を襲ったローブの男、名前はジュール・タラウスというらしい。
恐ろしく強力なタレントを使い幻影のタージュスまでその支配下にした男だ。
なぜそんなことをしたのか、おそらくこの男がイズィーの言っていたもう一人だったのだろう。
今クイーンの大広間は受験者とギルド職員の呻き声で満たされている。
クイーンを倒したことで、アント達がこちらを襲ってこなくなったのが、不幸中の幸いだった。
『太陽神アトゥラムよ、暖かき光にして優しき陽光よ、貴方の娘に貴方の子等に、命を潤わす光を!』
【癒と再生の奇跡】
リッツの範囲回復魔法が部屋を満たす。
傷を瞬時に治すような劇的な効果はないが、一度に100人単位で回復させることも出来るらしい。
多くの人が出血が止まり、痛みが和らいできたみたいだ。
ギルド職員の殆どが軽傷で、魔方陣を書く担当にされた6人が血を多く流し貧血になったぐらいだ。
今は筋肉痛と戦いながら受験者達を介抱している。
酷いのは受験者達だ、とくにクイーンと殺りあった16名のうち8名が死に、のこりの8名も重症で再起は出来ないだろう。
幻影のタージュスはそれほど被害がなく、今大急ぎでパスコットに戻り応援を呼びに行っている。
罠もないので往復3日で着くとのことだ。
それから5日後、俺達は今宿屋の酒場にいる。
「あー疲れた~~」
「そうですね、暫くお湯にも浸かっていませんし、食事を終えたらお風呂にはいりたいですね」
「あっいいね~リッツさん一緒にはいりませんか?」
「ふふふ、いいですよ、あらいっこしましょう」
ミアとリッツさんがお風呂談義を始めてしまった、おれはテーブルに突っ伏しながらその場面を想像する、うむいいぞ元気が出てくるな!
「それで、明日のことなのですが」
リックが明日冒険者ギルドにいって、正規冒険者のカードを貰えることを教えてくれる。
「試験は終わりなのか?」
「ええ、流石にギルド職員にも受験者にも被害が多すぎたらしく、今回の試験は第二で終了とのことです」
「んーてことはもしかして私達みん合格とか?」
「ええ、そのようです、私達8人は凶悪なタレント使いを成敗したっと言うことで、8人とも合格とのことです」
リックは町についてからすぐに、ギルドに赴き今後どうなるのかを聞きに行ってくれてたのだ。
「「「「やったー」」」
俺、ミア、バルアが喜んでハイタッチをしていく。
リッツが優しい微笑みを浮かべ、レンシュルツとギリムスがやれやれといった感じだ、リックもずれた眼鏡をなおしつつ頬が緩んでいる、だが1人だけしけた顔をしているやつがいる。
「おいちびっこ、合格したんだぞお前もよろこべ」
「・・・アーサーだ・・・」
まぁ気にするなって言うのも無理か、なんせどう考えても狂人が1人紛れ込んだよりも、アーサーを狙った奴が紛れ込んだと思うか。
「でもな、お前がここでふさぎこんだって何にもなら無いぞ?」
「でもっ」
「ねーアーサー、私達は何も今回のことを忘れてはしゃげって言ってるんじゃないんだよ?グレーさんの事も大広間のことも、全部忘れないで、それでも前を向いて歩いていくしかないの。だって今の私達じゃそれぐらいしか出来ないんだもの」
ミアがアーサーを後ろから抱きしめ言葉を紡ぐ。
「だから私達は今よりももっと、出来ることを増やしていって。もっと大きなことが起こっても皆を救えるような、助けになるようなそんな人になれるようになろうよ」
「そうだな、それが償いにはならないかもしれない、だけど今よりは確実に前に進める。だからあんまり下を向くな、それに困ったことがあったら俺達を頼れ、仲間だろう?」
「・・・俺も手伝う・・・だから元気をだそう・・・」
「ミア、ジン、バルア、ありがとう・・・」
「まーた泣き出した、だからちびっこなんだ」
「私はアーサーだっ!」
どっと笑い声が広がる、いろいろあったが最後に皆で笑える。
これほどいい物はそうそうないな、そう思い酒癖が悪い奴らを見張りながら日が暮れていった。
次の日は皆がそろって冒険者ギルドに向かう、合格の通知とカードを貰うためだ。
「それではこの水晶の上に手を置いてください、微弱な雷の特殊魔法が貴方のステータスを読み込みます」
俺は青色の水晶の上に手のひらを置く、すこしビリッとして3分ほどたつと読み込みが終わったらしい、
古いカードを渡し新しいカードを貰う。
「これは正規の冒険者カードになります、ランクCから始まりB,A、Sと上がっていきますね、このカードがあればバールバラ大陸ではどの関所も通過できます。
ただし貴方が重度の犯罪を犯した場合、カードを使うことは出来なくなり、ギルドの威信にかけて貴方の元に討伐部隊が送り込まれます」
以上ですといいカードを貰う。
なるほど色々特権もあるが、それにともなう責任もあるということか。
なんでも特別討伐対象がいた場合、正規冒険者は強制的に手伝わされるとか。
断ればカード没収らしい。
さて、当初の予定であった正規冒険者になった。
今後どうするか一度話し会うために、みなで昼ご飯を食べに食堂にいく。
4人がけのテーブルを2つくっつけて、軽めの食事をたのむ。
「私とバルアは1度テーレスの町に帰ることにするわ」
「・・・家が・・・ある・・・」
「私達は孤児院の出身でね、そこに私達を育ててくれた孤児院があるの、今は独立して王都にアパートを借りてるんだけど、1度報告しに行きたくて」
「私はこのままへリタリスの魔法学校に帰ります、学園長に報告をして上級学生に上がります」
「そっか、でもミアとバルアは王都にいくんだろ?」
「今の活動拠点は王都だしね~」
「アーサーは勿論王都に行くとして、リッツさんたちはどうするんだ?」
「私達も王都にもどりますわ、実は王都の太陽神殿に所用がありまして」
すこし困ったような顔をしている、気になったので聞いてみた。
「どんな用事があるんですか?」
「はいっ、王都の太陽神殿にはラッチェちゃんというそれはそれはとても可愛いウサ耳ぞくの少女がいまして、アーサーたんにも負けず劣らずの抱きここちの、それはすばらしい少女なんですの!」
レンシェルツとギリムスが始まったという顔をしている。
リッツさんのこのキャラは作った物でなく地なのか・・・
「そのラッチェちゃんが中位神官試験をすると聞きまして、ならば私がその試験の試験官役を無理やりうば・・・試験官をすることになりましたの」
「あんた普段はほんとめちゃくちゃだよな!」
冷や汗を垂らし目を叛ける、色々苦労してそうだなーあの2人は。
「それじゃあここでリックとはお別れか」
「ええ、そうなりますね、短い間でしたがとても楽しく有意義でした。へリタリスに来た時は魔法学園まで立ち寄ってください」
「ああ、そのときは必ず行くよ」
「私達もいくからね~」
「私も立ち寄ることがあったら会いに行く」
「どうかお体にはお気緒つけて」
俺、ミア、アーサー、リッツが分かれの挨拶をし、バルアが親指を立て、レンシュルツとギリムスが顔で別れを告げる。
「それじゃあ王都までどうやっていくかだな」
「ふむ、わしらがここまで来た馬車があるの、すこし狭くなるが7人までならなんとかなるじゃろう」
「そうだな、テーレスまではここから2日だ、そこまで2人を送り食料などを町で補充するようにすれば重量もへらせるしいけるだろう」
「ですね、4人とも私達と一緒にいきませんか?」
俺達に断る理由が無い、そして一日ほどを装備と旅の道具の補充に費やし、パスコットを離れることにした。
途中テーレスの町でミアとバルアを降ろし、食料を補充、2人に必ず王都で会うと約束して今に至る。
「王都にはあと4時間ほどでしょうか、ジン、少しお話があるのですがよろしいですか?」
「ん?かまわないがここじゃないほうがいいのか?」
「ええ、すこし内密のお話がしたいので」
「わかった、それじゃあ向こうの岩のほうに行こう」
「お願いします」
俺達は今昼食を済ましたところだ、王都まであと4時間といった行程か。
それにしてもリッツさん何の話だ?もしや告白・・・?一も二もなくうなずく自信があるぞ!
「その剣・・・いえ今は刀でしたね、そのことについてお聞きしたいことがあります」
ですよねー、いや分かってたよ?たまにちらちら刀をみてたし、いきなり剣が刀になったらきになるよなー、落ち込んでなんかねーよっちくしょー。
「私は太陽神様に仕える太陽神殿の高位神官の位をいただいております」
「へーてことはリッツさんって結構えらい?」
「はい、試験官をむりやり奪うぐらいの権力は持っています」
カミングアウトしちゃったよ。
「私は20日ほど前に太陽神アトゥラム様から一つの宣託を受けました、アトゥラム様の魂の欠片を宿した剣を持つ少年を手助けしよと」
俺は驚いた、確かにこの剣は神さまから貰ったもんだが、まさか手助けしてくれる人間も用意しててくれたとは。
メレーゲ草原に落とされたときは、あの髭を引っこ抜いてやろうと思ったが、今度あったら髭を蝶チョ結びにするだけにしてやろう。
「それで、何か心当たりはありませんか?」
「あっああ、この刀はたしかに神さまから貰ったもんだ」
「・・・っやっぱりそうだったんですね、ジン様はアトゥラム様の御遣いにあられたのですね」
いきなり肩膝をついて感極まった顔をおれに向けてくる。
「まったまったリッツさん、確かにこの刀は神さまから貰ったもんだが、俺は神の遣いになったつもりは無い、だから様ずけも敬うのもやめてくれ」
「しかし・・・いえ、分かりました、ですが一つお願いをしてもよろしいでしょうか」
「俺にできることなら」
「王都での御用が終わりましたら、へリタリスに一緒に来てもらえないでしょうか」
どうやら意外と早くリックとは再開することになりそうだ。
宗教集合国家へリタリスか、色んなところを回るつもりだったんだ、俺に否は無い。
馬車に戻るとアーサーがぶすっとした顔して話しかけてきた。
「リッツさんと何の話をしてたのさ・・・」
「なんだ?ちびっこ、俺に構って欲しかったのか」
「私はアーサーだっ、だっだれがジンなんかに構ってもらいたがるもんかっ」
「そういうなって、うらっ」
アーサーのあたま手でぐしゃぐしゃとかき混ぜる
「ちょっやめろよ、髪がぐしゃぐしゃになる」
そういいながらうれしそうにする、なんというかこいつは一度懐いた相手にはかなり甘えたがるみたいだ、お子様め。
王都は俺の予想よりはるかにでかく立派だった。
パスコットやテーレスを参考に考えていたから、その大きさと華やかさに目が奪われる。
王都の大通りを馬車ですすみ、下級市民区を通り過ぎて中級市民区へ、レンガ式の建造物が多く立ち並び、露天商が大きな声をだし客を呼び込む。
中級市民区に入るとき軽い検問のような物を受けたが、太陽神殿の高位神官であるリッツがいたため顔パスで通り過ぎた。
上級市民区へ入る前にリッツたち3人と別れる、先に神殿へ帰ってきたことを伝えるためだ。
俺とアーサーは今兵士に護衛され王城の入り口に立っている。
一応の手続きをしなければ、いくら王族でも証明されるまでは簡単に出入りできないらしい。
俺はアーサーの友人として向かいいれられる事になった。
廊下をを歩いているとちらほらと見える兵士の様子が少しおかしい、ピリピリとしている感じがする。
「おいアーサー、少し様子がおかしくないか?これがいつもの王城か?」
「いっいや、確かにすこし皆顔がこわばっている、いつもは真面目だがこんな怖い顔はしていない」
俺達がそんな話をしていると前から声が割り込んできた。
「それはね、アーサー」
かつんかつんと2人の人が現れる。
「へりオットお兄様、それにヴェルガまで」
へりオットといった顔の作りがアーサーに似ているが、どこか胡散臭い、身なりのいい服をきたおそらくアーサーの兄が口を開く。
「お前が大事な儀式を前にして王城の逃げ出した、反逆者だからさっ、この2人を捕らえよっ。これは国王の命令である!」
「「んなっ」」
「どういうことだっアーサー!」
「ばっ馬鹿な、お父様がそんなことを言うはずが無い、これは何かの間違いだ、お父様に、お父様に合わせてくれ」
くそっどうなってやがる?アーサーを冒険者試験に行けと言ったのは国王じゃなかったのか?
こっちは武器をあずけて素手だぞ、それに目の前のヴェルガっていうやつ、すごい威圧感だ、グレー並の実力者だ。
武器もなく、実力者が1人に周りを囲む兵士10人、そのあとからさらに兵士がわらわらと出てくる。
俺は抵抗するのを諦めおとなしくつかまる以外他になかった。
「お父様にあわせてくれ、これは何かの間違いだ、ジン絶対に誤解を解いてみせるだから、っ放せぇっ」
「ふふふ、連れて行け」
俺は王都について初めての夜を、牢屋で過ごすことになった。
まるいものは評価してもらえるとやる気がどんどんたまっていきます、具体的に1人1%ずつ上がっていきます・w・
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