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ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
世之介の旅支度
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案内

「何か、お探しでしょうか……」


 店員の声は囁くようで、よく聞き取れなかった。

 イッパチがニタニタ笑いを浮かべ、大声で尋ねかける。


「火炎太鼓、なんてえのは、ござんせんかい?」


 店員はそっけなく首を振って答える。


「御座いません。他に……?」

 茜は頷いた。

「うん! この人に【バンチョウ】らしい格好をさせたいんだけど」


 茜の言葉に、女店員の唇の両端がきゅっと持ち上がり、微笑を形作った。しかし、目は笑っておらず、逆に爛々と光っている。


「【バンチョウ】……この人が?」


 ちょろりと唇の間から舌が覗き、舌舐めずりをする。

 さっと世之介の全身を、上から下までじろじろと眺めている。顎に手をやり、何か考えているのは世之介の寸法を目見当で測っているのだろう。


 やがて大きく頷くと、片腕を挙げ、指先を招くように、くいくいと動かした。


「こちらへいらして下さい……」


 相変わらず女店員の声は溜息が漏れるような、力が抜けた口調である。

 世之介は女店員の声に誘われたように、ふらふらと歩き出した。ちらりと背後を振り返ると、助三郎と格乃進、光右衛門たちは商品を熱心に見ているところで、世之介の動きには気付いていない。


 どうしようか……と世之介は迷ったが、結局は声を掛けることもなく、女店員に誘われるまま歩き出す。

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