表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
お前の尻を見せろ!
6/236

命令

 世之介は無言で頷いた。省吾の態度は普通ではない。緊張感が、表情に表れている。


 離着陸場から鋭励部威咤エレベーターに乗り込み、父親の部屋がある階へと下っていく。部屋は十階ほど下の階にある。


 鋭励部威咤の扉が開くと、目の前に玄関があり、上がり框で一同は履物を脱いで廊下に上がった。

 しんと静まり返った廊下を、三人は歩いていく。

 内庭を眺めながら、長い廊下を歩く。


 内庭の天井には、空を模した立体映像が投射され、様々な樹木が植えられ、一見すると、ここが巨大な但馬屋本店の内部であることなど忘れさせる。

 父親の部屋の障子前に省吾が膝をつき、声を掛けた。


「大旦那様。世之介坊っちゃんがお出でになられました」

「ああ」と障子の向こうから父親の太い声が聞こえてきた。ついで

「入っておいで!」と返事がある。


 省吾は頷き、両手を伸ばして、するすると障子を開く。世之介とイッパチは、桟の手前で膝を揃え、正座した。


 十畳ほどの座敷に、父親である七十六代目の世之介が座っている。息子に似ず、河馬のように太っていて、色黒である。膝元には煙草盆が置かれ、父親は難しい顔つきで煙管を咥え、むっつりと煙を口から漂わせていた。


 かん、と雁首を煙草盆に叩き付け、灰を落とすと、父親はぐいと首を捻じ向け、じっくりと世之介の顔を眺めた。


「世之介、お前、今年で幾つになったえ?」

「へい、数えで十七で御座います」

「ふむ」


 怖ろしく機嫌が悪い。自分が何か、仕出かしたのだろうかと、世之介は怪しんだ。

 次に口を開いた父親の言葉に、世之介は仰天した。

 父親は「お前の尻を見せなさい!」と命令したのである。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ