表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
58/236

追記

 あとに残された世之介たちは、無言でお互いの顔を見合わせた。

「やれやれ、少し疲れましたな」

 光右衛門が呟き、部屋の窓際に置かれた巨大な寝台に腰を掛けた


「格さん。ちょっと尋ねますが」


 ぽつり、と光右衛門が呟く。格乃進はさっと前へ出ると、光右衛門の前に膝まづいた。

「何でしょう、ご隠居様」

「うむ」と一声上げ、光右衛門は何か考え込んでいるらしく、腕組みをしている。やがて眉を上げ、きらりと目を光らせた。


「格さん。あの船室で番長星を探したとき、記録に何か別の資料なり、追記なりを見ませんでしたかな。単に番長星の、位置だけが記録されておったのですか?」


 格乃進は、肩に担いだ振り分け荷物を解き始めた。


「実は、船室の記録ですが、万一のことを考え、複写コピーを取っておきました」

 格乃進の答えを耳にして、光右衛門は嬉しそうに破顔した。

「でかした! それでこそ格さんです!」


 格乃進は荷物から、携帯型の立体映像投影装置を取り出す。手の平に収まるほど小型であるが、機能は充分で、格乃進が操作すると部屋の中央に立体的な星図が投影される。


「これが番長星の主星です。主系列のK型に属し、表面温度は四千度。地球に比べ、やや小型で……」

 滔々と並べ立てる格乃進を、光右衛門は慌てて制止した。


「格さん。講義は後にして、まずは番長星のことを教えてくれませんかな」


 格乃進は「はっ」と顔を赤らめた。「賽博格でも、顔が赤くなるんだ」と世之介は妙なところに感心した。

「申し訳ありません。それでは、これが番長星で御座います。星図には概略のみしか記載されておりませぬが、一つ妙な追記が……」


 番長星を示す印に、光右衛門は身を乗り出した。


「これは……銀河遺産を示す印です! 成る程、これで得心しましたぞ!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ