道路
【集会所】に近づくにつれ、道路の両側に様々な施設がぽつぽつと増えてきた。一番はっきり目立つのは、給油所である。
とはいえ、本物の燃料油脂を補給するわけではない。
番長星で使用されている二輪車などの動力源に使用されているのは、超強力な弾み車である。シュヴァルツシルト半径一ミリ以下の黒穴に回転を与え、磁場が回転して電力を発生する。給油所では黒穴に新たな回転力を与えるための偏向重力場を掛けるのだ。
他に目立つのは、四輪車や二輪車の整備工場、車輪や装飾品を売っている専門店、日用品や食料品を取り揃えている大規模店、家族食堂。
どれもこれも赤、青、黄色、桃色などの原色で彩られている。
道路には、二輪車以外四輪の車も走っていた。
世之介は地面をこのような動力車が走っているのを見たことがなく、物珍しかった。世之介の育った大江戸では、乗り物といえば公共のものも、個人の所有のものも総て空中を飛行するものばかりだった。
空を見上げた世之介は、飛行する乗り物を見ないことに気付く。番長星では飛行する乗り物は存在しないか、ほとんど使用されていないらしい。
そろそろ二輪車の後席に座った尻が痛み始めたころ、やっと目的の、茜たちの【集会所】が見えてくる。