同意
助三郎の背後から、イッパチがひょこりと顔を出し、喋り出した。扇子をぱちりと鳴らし、軽く襟元を調える。
「イッパチでげす! 軽くイッパチ、と呼び捨てになっておくんなせえ。間違えてもイッパチさん、なんて〝さん〟付けは、ご勘弁を……。色っぽい声音で『イッパチさん』なんてえ呼ばれた日にゃ、あたしゃもう……」
イッパチは一人で照れている。
茜は呆れて見ていたが、それでも頭をぶるっと振って立ち直ると、改めて口を開いた。
「【集会所】に案内しようと思ってたの!【集会所】には、あたしの両親もいるし、ここにいるみんなの家族も揃っているから、大丈夫。ね、是非とも寄ってくれない? 本物の【バンチョウ】を連れてきた、ってことになれば、あたしは鼻が高いわ!」
茜の両目はきらきらと輝いていた。
「そうよ! 絶対に【集会所】に来て貰わなきゃ!」
二輪車の女性たちが一斉に賛意を表した。
世之介は意見を求めるように、光右衛門を見た。
光右衛門は頷く。
「よろしいではありませんか! わしらも、少しはこの星のこと、勉強になるはずです。まずは、自分たちの今いる場所のことを知ることが肝心でしょう」