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ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
タイマン勝負!
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挑発

「気に食わねえな! 茜、いつか俺は、お前に言ったよなあ……。二人で二輪車に乗って旅でもしないかって! あんときゃ、考えておくって返事で、そのままだったが、いつの間にか、こんな訳の判らないオカマ野郎を後ろに乗っけやがって! そいつの、どこがいいんだよう?」


 茜は溜息を吐いて肩を竦める。


「馬鹿じゃないの? 何であたしが、あんたとそんな頓狂な約束しなければなんないの? 本当に、あんたって馬鹿ねえ……」


 呆れた、という様子で、首をゆっくりと左右に振る。


 健史の顔が見る間に真赤に染まった。世之介はまるで茹蛸だ、と思った。

 黙ったまま二輪車の支柱を立てると、ゆっくりと地面に降り立ち、身体を揺するような独特の歩き方で、よたりながら世之介に近づく。


「おい!」


 押し殺した声を掛けてくる。目は陰険に光っている。


 近づいた健史の口から、ぷん、と薄荷ハッカのきつい匂いが漂った。口の中に何かくちゃくちゃ噛んでいて、それが薄荷の匂いを漂わせているのだ。健史は顔を擦り付けるように近々と寄せてきた。


 世之介は思わず身を引くと、健史はさっと手を伸ばしてきて、世之介の襟首を掴んだ。


「お前……勝負しろ!」

「健史! あんた、何、馬鹿なこと……」

 茜が叫ぶと、健史はさっと顔をねじ向け喚いた。


「うるせえっ! お前は黙ってろい! これは男と男の話し合いだ!」


〝男と男〟という言葉に、茜はぎくりと押し黙った。この言葉は、番長星では絶対の価値を持つ。この言葉の前では、どんな論理も太刀打ちできない。


 健史は無理矢理ぐいぐい世之介の身体を引き摺り、二輪車から降ろした。世之介の両膝は全く力が入らず、健史の思うままになっている。


「俺か、お前か、どっちが茜と一緒の二輪車に乗るのが相応しいか、勝負だ! タイマンだぞ!」

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