便利店舗
道路はどこまでも真っ直ぐに伸びている。
舗装面はきわめて平坦で、まるで出来立てのように見えた。道路の左右は広大な農地で、豊かな実りが一面に続いている。地面は平坦で、遠めに微かな隆起が続き、時々ふっと単調さを破る森や丘が盛り上がるだけで、人家は一つも見当たらない。
いや、道路脇に平屋建ての店舗が見えてくる。
店舗には広々とした駐車場が設置され、数台の二輪車が停車していた。
【紺美尼楼尊】と大書された店舗の看板は、二十四時間営業を謳っていた。
「便利店舗か!」と世之介は感心した。
こんな惑星にも、便利店舗は進出しているのだ。
停車していた二輪車の持ち主は、今度は若い男性であった。女性たちと同じような格好で、頭髪は金髪や茶髪に染めているのは同じだが、髪型は違っている。
ぐっと盛り上がった前髪部に、蟀谷あたりを青々と剃り上げている。後で知ったことだが、それは「リーゼント」という髪型だそうだ。髪の毛はちりちりに縮まる「電髪」にしている。
男性たちは近づいてくる女性たちの二輪車の群れに気付くと、慌てて自分たちの二輪車に跨り、動力を入れた。
わんわんと野良犬の遠吠えのように騒音を蹴立て、二輪車は女たちの二輪車に追いすがる。
「茜! どうした、そいつらは? どこで拾った?」
男たちが併走して矢継ぎ早に質問を投げかけてくる。
声を掛けたのは、頭をつるつるに剃り上げた、十代の終わりころと思われる歳格好の男性である。