表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/236

墜落

 世之介が疑問の表情を浮かべたのを見てとり、格乃進は笑いながら説明した。


「我らは賽博格サイボーグだという事実を忘れては困るな。助三郎の人工眼球は、様々な波長の電磁波を感知できるのだ。分光観測など、お手の物なのだ」


 側で聞いていたイッパチが、ちょっと拗ねたような表情になって呟いた。


「そんなことくらい、杏萄絽偉童アンドロイドのあっしだって、できまさあ! ただ幇間たいこというお役目柄、しゃしゃり出ることを控えているだけでげすよ」


 イッパチの口数が多い。不安に駆られている証拠である。もちろん、世之介も同じだ。これから、格乃進の説明した最後の手段を採らなければならないのだ。


 さすがに光右衛門は最長老だけあって、表情には何の不安も、一欠片だって表れていない。しっかり

と床に立ち、片手に旅の杖を軽く握りしめている。


「それでは格さん、助さん。そろそろ参りましょうか」


 光右衛門の皺枯れた声が、意外とはっきりと、世之介の耳に届いた。

 はっ、となって世之介は光右衛門を見た。いつの間にか、ボケッと番長星を眺めているだけの自分に気付く。

 格乃進は「では」と、軽く頷いた。格乃進の指先が操作卓の上で踊った。


 待って! と言いかけた世之介の口がぎりぎりで止まった。もう、遅い。


 ぐーっ、と番長星が近づいてくる。いや、こちらから近づいているのだ。

 窓が真っ赤に燃え上がった。大気圏に突入したのである。もちろん客室の温度調節は完璧で、熱さなど全く感じることはない。


 窓の外の大気が白く輝いた。高温で、空気中の原子から電子が遊離している。もう、惑星の表面は見分けることができない。


 さらに──

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ