決断
格乃進は頷いた。
「はい。このまま番長星へ行く、というのが一つの選択です。
客室の動力源は唯一度の航行で尽きてしまいます。番長星が救助を待つのに相応しくないと判っても、次はありません。
もう一つが、じっとこのまま漂流を続け、世之介様が行方知れずになったと気付いた地球や【滄海】側が探索の手を伸ばし、救助を待つ、という選択肢です。客室に備えられている生命維持装置は、私ども総てを百年だろうが、千年だろうが、楽々と生かしてくれましょう。
ですが、救助がいつになるかは、判りません。
しかし一度どっちを選ぶか決めたら、他はありません。
じっとすることを選ぶにせよ、生命維持装置を完璧に動作させるには、航行用の動力を犠牲にしなければなりませんから。一度でも漂流を始めたら、番長星へ行く機会は永遠に失われます」
格乃進の説明に、世之介は足下がぐらぐらと崩れていくような感覚に襲われた。
総ては、世之介の選択に懸かっている! しかも選択の機会は唯一度のみ!
格乃進は操作卓を覗き込み、表示をじっと見詰めて呟いた。
「あと一時間のうちに決めなければなりません。現在は客室の酸素は、通常循環によって再生されていますが、一時間も経てば、非常用の動力に継続されます。その時、どちらかに決めないと……」
世之介の口は、からからに渇いていた。必死に唾を呑みこみ、拳を握りしめる。
全員の視線が集中している。
遂に世之介は、顫える口を開いた。
「番長星へ、参りましょう……」