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衝撃波

「世之介さんだって、番長星に来るはずじゃなくて尼孫アマゾン星ってところに行くつもりだったんでしょ? あたしだって、他の世界を見てみたいわ」


 尼孫星の名前が出ると、世之介はどうにも居心地の悪い気分になる。そわそわして、いたたまれなくなるのだ。

 もちろん尼孫星は女だけの星で、男となればどんな男でもモテモテの天国のような星であるというのが、もっぱらの噂であるが……。世之介は一度は尼孫星を目指したのが、今では夢のようだ。


「ね、あたし他の星に行ってみたい! 世之介さんだって、いつまでも番長星に留まるつもりはないんでしょ?」

「うーん……。そりゃあ、ねえ……」


 まともに尋ねられ、世之介は絶句してしまった。


 茜は、今まで番長星以外の世界について、自分が何一つ知らないことを悟ったのだ。多分、他の学問所に通う人間たちも、同じ思いが湧き上がっているのではないか?

 世之介は、にっこりと笑い返した。


「そうさ、俺だっていつまで番長星にいるわけじゃない。番長星がちゃんと自立できる目処が立ったら、別の星を巡る旅に出たいと思っているよ。あのご隠居のように」

「やっぱりね!」


 茜は手を叩いた。


 世之介は空を見上げた。近ごろ、番長星の空には、地球からの宇宙船が多数立ち寄るようになっている。今も一隻の宇宙船が大気を切り裂き、着陸してくるところだ……。


「茜、俺と一緒に、銀河を旅しようか?」


 世之介の言葉に、茜は真っ赤になって顔を逸らす。が、すぐ顔を戻し、真剣な表情になった。


「それ、プロポーズ?」


 答えかけた世之介の言葉を、着陸してくる宇宙船の、大気を切り裂く衝撃波が掻き消した。

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