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ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
世之介の帰還
232/236

大人

 世之介は怒りに顔が火照るのを感じた。

「そうかい……そんなに見たいなら、見せてやろうじゃないか!」


 勢いで、その場で尻を向け、袴を脱ぎ去り、尻ぱしょりをして見せる。ぐいっと褌を降ろし、尻を突き出す。


「さあ、これが俺の青痣だ! とっくりと拝みやがれっ!」


 しいーん、と静寂が支配する。

 ぽつり、と光右衛門が呟いた。


「どこにあるのです? 青痣など、見えませんが」

「えっ?」


 世之介は急いで振り向く。父親の七十六代目・世之介は目を丸くしている。


「お父っつあん?」

 父親は、ぶるぶると首を忙しく振った。

「無い! お前の青痣が消えている! お前、いつ初体験を済ませたんだ?」


 父親の目が、その場で呆然と立っている茜に向かった。「ははあーん」と一人で納得した顔つきになる。


「そうかい、そういう次第かい……お前も、ご先祖様に恥じず、手が早い……」

「ちょ、ちょっと待ってくれ! あたしゃ絶対、そんなこと……」


 話題の茜は目を怒らせた。ある考えが茜の脳裏に浮かんだようだった。


「あたしも聞きたいわ! まさか、狂送団の女たち……!」

「馬鹿を言うな!」


 世之介は絶叫した。急いで衣服を元に戻すと、両手を広げ喚く。


「俺は、ずっと〝伝説のガクラン〟を着ていたんだ! 脱ぐこともできなかった! そんな真似、出来るわけない!」


 光右衛門が「かっかっかっかっ!」と乾いた笑い声を上げた。

「世之介さんは、大人になったのです! 初体験をしようが、しまいが、立派な大人に番長星で成長したので、青痣が無くなったのでしょう。但馬屋さん、世之介さんは立派な跡継ぎになりました。違いますかな?」

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