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救援
「さもあらん! 世之介さんが微小機械どもに、もう番長星での役割は終わったと説得した結果でしょう。番長星の微小機械の生産活動は、今夜を限りに終了したのです」
不意に省吾が顔を挙げ、叫んだ。
「それでは番長星の生活は、今後どうなります? 二輪車、四輪車は勿論、生活必需品のほとんどは、微小機械の生産で賄ってきたのに。それが突然、なくなってしまったのですぞ!」
光右衛門は厳しい顔付きになった。
「微小機械に頼りきりだったのです! 生活必需品が欲しければ、自分で作り出すべきです! 地球の人間は、皆それをしております。番長星でも例外ではない。なに、幕府の援助があれば、番長星でも通常の生産活動が再開するには、そう長くは待たなくても宜しいでしょう。ほれ、その援助の先陣が、やってまいりましたぞ!」
光右衛門が立ち上がり、杖の先を夜空に向けて突き出した。
杖の指し示した方向を見た世之介は、思わず「あっ」と叫んでいた。
夜空に浮かんでいたのは、三つ葉葵の紋所を横腹に浮かび上がらせた巨大な宇宙船であった。