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ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
世之介の帰還
227/236

展望

「ちょっと……どうなってるんだい?」


 頭目の母親、ビッグ・バッド・ママは不満に唇をへの字に曲げ、唸るように呟く。ギロリと物凄い視線で世之介を睨みつけた。


「息子をおかしな考えにしたのは、あんただね! あの〝伝説のガクラン〟に、何か仕掛けたんだろうっ!」


 世之介は肩を竦めた。


「さあね。俺は、ガクランを必要ないと言った。欲しがったのは、あんたらだ。結果については、俺の責任じゃないよ」



「ぐるるるる」と、母親は凶暴な野良犬のような唸り声を上げる。

 両手が掴みかからんばかりに、持ち上げられた。


 やる気かな? と、世之介はほんの少し、身構えて見せた。


 と、ふっと母親は肩の力を抜いた。世之介を睨みつけていた視線を外し、顔を背ける。


「やめとこ。あんたには、勝てそうにないからね……」


 忌々しげに呟き、背中を見せ、がっくりと項垂れる。ガクランを身に着けていない世之介の、何が母親のやる気を削いだのか?

 世之介は自分の感情を探った。思い出してみる。ガクランを身に着ける自分の気持ちを。



 思い出せない!



 いや、というより、ガクランを身につけていないに関わらず、世之介の感情はまるきり変化をしていない。さっきだって、母親の挑発を受け止め、いつでも喧嘩ができるよう、身構えていた……。


 そうか! 自分はもう〝伝説のガクラン〟を本当に必要としていないんだ! 自分の中に〝伝説のガクラン〟は確乎として存在しているのだ!


 新たな展望が開け、世之介はいつまでも呆然と立ち尽くしていた。

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