表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
世之介の変身
201/236

 ぼうっ、と霞む意識の中に、不意に一つだけ、くっきりとした何かが見えてくる。見えてきた意識は、ぶつぶつと何か呟いていた。

 世之介は耳を澄ませた。


 ──強くなりたい! 俺は、もっと強くなりたい! 誰にも馬鹿にされない、恐れられる存在になりたい!


 切迫した感情が、世之介の意識に突き刺さるように伝わってくる。強さへの渇望が、熱い感情の波となって放射している。

 風祭の意識であった。


 ──風祭! お前か?


 世之介の呼びかけに、ぎくりと強張る気配が伝わる。


 ──誰だ? 俺に呼びかけるのは?

 ──但馬世之介……。憶えているか?

 ──ああ、〝伝説のガクラン〟を着た奴だな……。何の用だ?


 風祭の返答には、酸性の毒のような、疑念が纏いついている。世之介は精一杯、真摯な感情を込め、話し掛けた。


 ──風祭、お前のせいで、番長星は大変なことになっているんだ。微小機械が止まらなくなっている。


 風祭は憤然となって、返答をした。


 ──それが、どうした? 番長星がどうなろうと、俺には関係ねえ!


 世之介は(想像上の)眉を顰めた。


 ──なぜ、そんなに強くなりたいんだ? 強くなって、どうする?


 頑なな風祭の感情が伝わる。


 ──お前の知ったことか! さっさと、ここから出て行きやがれ!


 世之介は風祭の意識にじわりと侵入を開始した。ふつふつと疑問が溢れてくる。なぜ、これほどまでに、風祭は強さを求めるのか。

 世之介が自分の意識の中に侵入しようとしているのを悟り、風祭は悲鳴を上げた。


 ──よせ! 止めろ! 俺から出て行け! 嗅ぎ回るんじゃねえっ!


 世之介の眼前に、一枚の扉があった。

 風祭の記憶の扉であった。世之介は、風祭の記憶を押し開いた!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ