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無重力

 ようやく【滄海】の船体が近々と見え始め、向こうの接続腔函エア・ロックが見分けられる状況になってきた。


 その時、世之介は、【滄海】の陰から、もう一隻の連絡船が近づいてくるのを認めていた。

 こっちよりかなり小型で、数人しか乗れない快速連絡船である。だが、こちらの連絡船の接続装置が【滄海】に合体すると、見えなくなった。


 接続装置が合体すると、乗客係が宙に浮かびながら、乗客に対し注意を呼びかける。


「乗客の皆様、手荷物は片手にお持ちになり、片手は空けてもらいます。係員の指示に従い、ゆっくりとで宜しいので、確実な動作をお願いいたします。急がないで!」


 慌てて立ち上がろうとする一人の乗客に鋭く声を掛ける。立ち上がろうとした乗客は、無重力であることを忘れ、勢いをつけて立ち上がったため、天井にごつんと激しく頭を打ち付けてしまった。

 乗客係は連絡船の中央通路を飛び回り、慣れない無重力場で右往左往している乗客を手早く誘導していく。


 世之介は高等学問所での修学旅行がつい最近であったため、うろたえずに済んだ。イッパチも杏萄絽偉童アンドロイドらしく、無重力状態に適応している。


 身体を真っ直ぐにし、乗客が腰の帯を持って押してくれるのを素直に従えば、そのまま接続腔函をすーっ、と遊泳して向こうに辿り着く。向こうでも【滄海】の乗客係が待ちうけてくれるから、本当は自分で何もする必要はないのだ。じたばたするのが、良くない。


【滄海】に乗り込むと、こちらではちゃんと重力制御が働き、真っ直ぐ床に立っていられる。世之介の、無重力体験は、あっという間に終了した。

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