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ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
真夜中の狂想曲
131/236

唐変木

 穴の内部は狭い通路になっている。

 真っ暗で、何も見えない。手探りで両側の通路の壁を伝いながら、世之介は遮二無二、前進した。


 ふと、指先が扉の取っ手のようなものを掴んでいた。世之介はぐいっと捻じると、脱兎のごとく、内部に飛び込んでいた。


「きゃあっ!」


 何か柔らかいものに世之介は躓いていた。同時に上がる、鋭い悲鳴。


 な、なんだ?


 世之介はうろたえていた。鼻先に、きつい香水の香りが漂う。

 ぱちり、と音がして、さっと辺りに薄桃色がかった光が満ちた。照明が点ったのだ。


「何よ、あんた!」

「うわっ!」


 驚きに世之介は飛びのいていた。


 目の前に、数人の女たちが群がっている。全員、肌も顕わな衣装を纏い、柔らかそうな敷布や、布団に寝そべっている。

 全員が眠そうな表情を浮かべていた。が、目の前に現れた世之介の存在を認め、怒りに変わる。


「誰よ、この唐変木! ターちゃんの留守に、押し入ろうったって、許さないからね!」

「タ、タ、ターちゃん?」


 世之介は背中を壁に押し付けた。

 頭目の輸送車の内部に女がいる!


 それも沢山!

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