表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
お前の尻を見せろ!
12/236

自信

 世之介の顔がかーっ、と火照ってくる。多分、耳まで真っ赤なのだろうと自覚する。


「それで、その星へあたしを行かせようというのだね? 尼孫星とやらへ行けば、こんなあたしでもモテモテで、すぐに童貞を捨てられるって算段だろう?」


 省吾は鼻を擦った。可笑しそうに肩を揺する。


「若旦那なら、おもてになりますとも! こう言っては何ですが、若旦那は、男のわたしが見ても、良い見映えの殿方で御座います。

 足りないのは自信で御座いますよ。いきなり一年で童貞を捨てろなど、大旦那様は仰いますが、今の若旦那には少し、自信というのが足りないようで。ですから尼孫星へお出でになって、自分は女性におもてになる、という自信をお持ちになって頂きたいのです」


 側で聞いていたイッパチが、にまーっと開けっ広げな笑顔になった。


「尼孫星! よござんすなあ! その星へ行けば、当たるを幸い、女どもを若旦那は撫で斬りになすって、たった一年で千人斬り、なんて素晴らしいことに……。いや、楽しみでござんす!」


 省吾はイッパチを叱り付けた。


「イッパチ! 遊びじゃないよっ! 若旦那が廃嫡勘当になるかどうか、という瀬戸際なんだ。浮かれているんじゃない!」


 イッパチは空気が抜ける風船のように、ショボンとなった。

 省吾は世之介に顔を向け、話を続ける。


「尼孫星の立ち入りは、幕府によって厳しく制限されております。

 特に尼孫星からの出星は監視されておりますので。

 もし、尼孫星の女が一人でも外部に出たら、その子孫がどんどん女の赤ん坊を産んで、銀河系の男女の均衡が崩れるのではないかと、危惧されております。

 俗に〝入り鉄砲に出女〟などと称されております。この場合、入り鉄砲とは運び込まれる冷凍精子のことで御座いますな。出女とは、言うまでもなく、尼孫星からの女のことで御座います。で御座いますから、入星手形の取得には、色々苦労が御座いました」


 省吾はそれ以上、口を開かなかったが、世之介はあれこれと想像した。多分、袖の下か何かを役人に掴ませたんじゃないか、と思った。


 省吾は、じっと世之介を見詰める。

 世之介は頷いた。


「お前の言うとおり、尼孫星とやらへ出かけよう……。とにかく、お父っつあんに、あたしの尻が普通になったところを見せてやる」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ