表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ウラバン!~SF好色一代男~  作者: 万卜人
世之介の変貌
106/236

障壁

「ああ、良かった! やっとちゃんと話せるようになったわね!」


 途端に、今までびゅうびゅう音を立てていた風きり音がぴたりと止まり、隣の車線で二輪車を走らせている茜の言葉が、はっきりと聞こえてきた。


 世之介は最初に番長星に到着して、茜の二輪車の後ろに乗せてもらったとき、やはり同じように風きり音が全然、聞こえていなかったことを思い出した。


「なんで騒音が止まったんだ?」


 世之介の背後から、格乃進が声を掛けてきた。


「二輪車の周りを、超音波の障壁シールドが取り巻いている。同時に、われわれの声も、自動的に無線機で交信できるようになっている。だから、お互いの声が、はっきりと聞き取れるのだ」


 成る程、と世之介は感心した。


 と、前方から、工事作業車がゆっくりとした速度でやってくるのに気付く。運転しているのは総て傀儡人ロボットである。

 作業車は世之介の目の前を通り過ぎた。世之介は側鏡サイド・ミラーで作業車が【集会所】に向かっているのを認めた。


「ありゃ、なんだい?」


 茜に叫ぶと、すぐ答が返ってくる。

「あんたらが空けた壁の穴を、修理に来たのよ。珍しくもないわ」


 茜は無関心であった。世之介は密かに頷いた。そうか、番長星ではあらゆる修理や、修繕は、傀儡人が担っているのだろう。


 辺りを注意深く眺め渡すと、あちこちに傀儡人の姿が散見される。畑の真ん中で農作業している傀儡人。道の両側に並んでいる様々な店先で、人間の店員に混じって立ち働いている傀儡人……。

 舗装路を修復している傀儡人もいた。道路が、常に新品同様になっているのも、傀儡人が倦まず弛まず、修復作業を続けているせいだ。


 番長星は傀儡人によって成り立っている……。


 世之介はふと、奇妙な考えを弄ぶ自分に気付いていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ