男爵令嬢は実父に反撃をしてその座から引き摺り下ろす〜お前のせいで妻は死んだと言われてきたが嘘に塗れた虚言だったので全てを奪う〜
ミルティは父親から出産で妻が亡くなったからと生まれた赤ん坊のせいにして、こちらを冷遇。
転生したと気付き、実父が嘘をつき重大な秘密を隠していることを知る。
確かに父の血は継いでいるが出産し亡くなった母親とは違う可能性が出てきたのだ。
さて、男爵。は、この事実をまた嘘にできますか?
頭を、そこら辺の角にぶつければいいのに。
後にそう、つぶやくことになる。
ミルティは、小さい頃から母はもういないと聞かされ。
父のガサ男爵や周りの人たちから冷たくされていた。
ガサ男爵は、ミルティが生まれたせ
いで奥さんが亡くなったと思っているらしい。
自分の娘なのに意地悪ばかり。
まるで、生まれたことを罪とするように。
話しかけても、まるでそこにいないかのように無視される。
存在そのものが否定されているような感覚に、自分の居場所を見失ってしまう。
ミルティは男爵家の娘なのに、いつも汚れた服を着て、隅っこで一人ぼっち。
どうしてと、毎日のように泣く。
そんなある日。
ミルティは急に前の人生の記憶を思い出した。
前の彼女は、お金持ちの家に生まれて、大学で勉強する普通の女性だったのだ。
「お前のせいだろ男爵!妊娠させるならリスク考えろ!」
己は事故にあった。
事故で死んだはずなのに、なぜ今、こんなつらい目に遭っているんだろう?
バカなのだろう、やつらは。
ここからの前の記憶の中に、ガサ男爵という人は出てこない。
頭が白くなる。
母だというエレナという女性のことも、全然覚えていない。
「もしかして……!」
ミルティは、恐ろしいことに気づいた。
母は、本当にミルティを産んで亡くなったのだろうか?
もし、父が言っていることが全部ウソだったら?
苦労させられた分、口も心の中もあ狂っていた。
その日から、ミルティは変わる。
今までただ我慢するだけだったけれど、心の中で静かに怒りが燃え始めた。
当たり前だ。
やつらをボコボコにしてやる。
本当のことを知りたい。
父に仕返しをしたいと思うようになる。
本当は血の繋がりなど吐き気がする。
当然の流れであろう。
前の人生で覚えたことと、この屋敷でこっそり集めたわずかな情報を頼りに、秘密裏に調べ始めた。
そうすれば、自動的にやつを追い込める。
まず、屋敷の古い本がたくさん置いてある部屋に忍び込む。
ちょろい。
警備は緩い。
番人に見つからないように、ほこりをかぶった古い記録を。
一つ一つ丁寧に読んでいく。
暗記は得意。
何日も夜遅くまで調べ続けるうちに、いくつか奇妙なことが書いてあるのを見つけた。
こういうところね。
杜撰なところ。
エレナという名前は、男爵家の昔の記録にはどこにも出てこない。
それどころか、ガサ男爵が今の地位になるまでの話も、なんだかおかしいところがあり。
首を傾げた。
合わない、時系列が。
それから、使用人たちがこっそり話していることにも耳を傾けた。
みんなは、ペラペラと無意識になにか話す。
みんな、男爵の昔のことはあまり話したがらないけれど。
時々。
「前の奥さんは体が弱かった」
きっちり覚えている。
「若様(ガサ男爵のこと)は、跡を継ぐ男の子がいなかったことを、すごく気にしていた」
という話が聞こえたりした。
なにかある。
ある日、ミルティは古いタンスの奥から、一枚の絵を見つけた。
たまたまだ。
そこに描かれていたのは、前の人生で見た、優しく笑う女性だった。
なんとなく、懐かしさを覚える。
絵の裏には、かすれた字で「愛しいアデラインへ」と書いてあり。
アデライン。
その名前を聞いた瞬間、ミルティの心臓はドキドキした。
前の記憶に出てきた小説女性の名前だ。
なぜ、この男爵家にアデラインの絵があるんだろう?
前世、読んだものとこの世界は関連しているかも。
もっと何か手がかりがないか探しているうちに、ミルティは隠された部屋を見つけた。
男爵は詰めが甘い。
「なに、ここ」
そこは、長い間使われていないみたいでほこりっぽかった。
掃除もされてない。
きれいな飾りや本が大切にしまってある。
それにしては、いい加減なような。
部屋の真ん中には、アデラインの写真が飾ってあった。
目が合う。
写真の裏には、震える字でこう書いてあり。
「ガサ……許さない……私の赤ちゃんを……」
その時、ミルティの中でバラバラだったことが一つにつながる。
そうか。
母のエレナなんていなかった。
ガサ男爵が冷たくしてきたミルティこそが、アデラインの娘だったのだ。
「赤子をすり替えたのか!」
あいつめ。
ガサ男爵は、アデラインから何かを奪って、彼女を死に追いやったのではないか。
冷酷でゴミのような、どうしようもない男。
前の人生の記憶と、屋敷で見つけた証拠。
これで誰もが納得しよう。
アデラインの残した言葉が、ミルティの中で確信に変わる。
震えると怒りに目を赤くしていく。
ガサ男爵は、実の娘である自分をいじめ、母の死の真相を隠していたのだ。
あの、ゴミめ。
静かに、でも確実に、ミルティの中で復讐の炎が燃え上がった。
もう知らない。
今までただ我慢するだけだった女は、前の人生で覚えたことと、このつらい環境で身につけた知恵を使う。
父に反撃することを決意した。
父ではない、仇だ。
父とは思いたくもない。
まず、ミルティは自分が置かれている状況を冷静に考える。
嗤う。
男爵家の中では、自分の言うことを聞いてくれる人は誰もいない。
味方を作る必要がある。
頭の中でリストアップさせた。
そこで彼女は、長い間屋敷で働いている年寄りの使用人、マリアに近づく。
「マリアさん」
信頼度は高い。
マリアは、ほかの使用人とは違って、時々ミルティに優しい目を向けてくれる数少ない人だった。
善人に該当する。
根気強くマリアに話しかけ、自分の身に起こったこと。
見つけた証拠を、少しずつ打ち明けていく。
優しさを利用しているので、多少は悪いかなと思うけども。
最初は、信じようとしなかったマリアも、ミルティの真剣な目と、彼女が見せる証拠に心を動かされ始める。
「坊っちゃま……いえ、旦那様は……そんなひどいことを?」
マリアの言葉は、驚きと悲しみでいっぱいだった。
彼女は長く勤めているわけで。
アデラインという女性を知っていたマリアは、彼女の優しさと美しさを覚えていた。
女性をちゃんと知っている。
ガサ男爵がアデラインと結婚した後、彼女がだんだん元気ではなくなっていったことも知っていた。
マリアの協力を得たミルティは、さらに調べを進める。
あとはもう、やるしかない。
突き止めていく。
マリアの記憶と照らし合わせる。
彼女がこっそり持っていた、古い手紙などから、アデラインがガサ男爵との結婚生活でとても苦しんでいたこと。
男爵家の財産に関する、大切な秘密を知ってしまったことがわかった。
ガサ男爵は、前の男爵が亡くなった後、遺産をこっそり自分のものにしていたのだ。
奴め。
アデラインはそのことに気づいてしまったのだな。
それを他者に告げようとしたため、ガサ男爵に邪魔され、精神的に追い詰められたのではないか。
「私の赤ちゃんを……」
というアデラインの言葉は、ミルティの存在そのものが、ガサ男爵の不正を暴くカギになることを示していた。
許せん。
ミルティは、前の人生で覚えた知識を使って、ガサ男爵の不正の証拠をもっと集めた。
屋敷の帳簿を詳しく調べ、隠された記録を見つけていく。
面白いような情報もあるらしい。
マリアの助けで、男爵が秘密裏に取引していた、商人たちの情報を手に入れる。
そして、ついに反撃の時が来た。
男爵家で盛大なパーティーが開かれた夜、用意周到に計画を実行。
くるりと鏡の前で嗤う、いや、笑う練習。
きれいなドレスを着て、堂々とした態度でパーティー会場に現れた彼女の姿に、周りの人はみんなびっくりした。
今のうちに、驚いておけばいい。
「あの方」
「あの子は?」
「え、なんことでしょう?……なっ!?」
今までいじめられてきた少女が、まるで別人のように美しく輝いていたからだろう。
「何をしている!」
ガサ男爵は、突然現れたミルティを見て顔をしかめる。
「お前みたいな卑しい娘が、こんなところに何の用だ!」
ミルティは、怖気づくことなく、冷たい目で父親を見つめる。
貴様の命は今日までのもの。
「私は、アデラインの娘、ミルティです。そして今日、あなたに代わって、この男爵家の本当の主人として、皆さまにごあいさつさせていただきます」
カテーシーをする。
会場は騒然となる。
ガサ男爵は激怒。
そんなもの、怖くはない。
ミルティを捕まえようとしたが、彼女は事前に準備していた。
(今だ)
マリアが合図を送ると、数人の信頼できる使用人たちがガサ男爵を取り押さえた。
ミルティは、集まった貴族や商人たちに向かって、静かに、でも力強く語り始める。
アデラインとの出会い、結婚。
そして、彼女がだんだん元気なくなっていったこと。
ガサ男爵がこっそり、遺産を自分のものにし、アデラインを精神的に苦しめたことを。
集めたものを大放出。
「やめろー!」
さらに、彼が隠してきたたくさんの不正な取引の証拠を、一つ一つ見せていく。
「違う!違う!不正だ!」
貴族社会で大切なのは、不正をしたことではない。
暴かれるような隙を見せたことがなにより、重要なのだ。
前の人生で覚えた知識と、念入りな調査で集められた証拠は。
ガサ男爵の悪い行いを、みんなの前にさらけ出した。
薄く貼られた緊張感。
会場は静まり返り、みんながミルティの言葉に耳を傾ける。
商人たちは、ガサ男爵との不正な取引の証拠を見て顔色を変えていき。
貴族たちは、彼のひどい行いに眉をひそめ。
計画通り。
「と、いうわけなのです」
今まで権力を使って横暴に振る舞ってきたガサ男爵の仮面が、ついに剥がされたのだ。
「離せ!」
追い詰められたガサ男爵は、必死に言い訳をしようとしたけれど。
「これには深いわけがある」
ミルティの冷静な反論。
次々と出される証拠の前に、何も言えなくなってしまう。
顔に叩きつけてやった。
最後に、アデラインが残した写真と、裏に書かれた言葉をみんなに見せる。
「『ガサ……許さない……私の赤ちゃんを……』母は、最後の最後まで、私と、あなたが行った悪いことを許さなかったのです。わかりますか?愚かなお父様」
その言葉は、会場にいた人々の心に深く突き刺さった。
ガサ男爵は、完全に一人ぼっちになる。
「くそ……いまさら」
まるで以前の己のように。
男爵の周りは、円状にぽっかり空洞が生まれていた。
パーティーの後、ガサ男爵は捕まり、彼の不正は徹底的に調べられることになる。
やってやった。
ミルティは、アデラインの遺志を受け継ぎ、男爵家の主人として、その立て直しを始めることになった。
汚名に汚れた名前は、継ぎたくなかったけど。
達成感はあまりなかった、義務だ。
あまり気は進まないけど。
前の人生の記憶と、母の無念を晴らしたいという強い思いを胸に、ミルティは新しい人生を歩み始める。
仕方ないし。
いじめられてきた過去を乗り越え、真実を明らかにした彼女の目は、未来への強い光を宿していた。
仕方ない、とため息。
男爵家の当主になったミルティは、公平で優しい政治を行い、領地の人々から深く慕われるようになるまで我慢する。
せめてもの産んでくれた恩返し。
そして、いつか、アデラインが愛したこの地を、再び幸せで満ちた場所へと変えていければと。
ミルティが男爵家の当主となってからしばらく経ち。
屋敷の中は、以前の陰鬱な雰囲気から一変し、明るく活気に満ちていた。
でも、ちょっときつい。
領地の人々も、新しい当主の公正で温かい人柄に心を開き始めていた。
「よそ者って、言い方が悪い」
そんなある日、ミルティの領地に一人の旅の男がやってきた。
どうでもいいけど、無視できなさそう。
粗末な身なりをしていたが、どこか物腰が優雅で、話す言葉も知的だった。
問いかけてみる。
男は自分の名前を「レーニオ」とだけ名乗り、特に目的もなく色々な土地を旅していると言う。
なるほどなぁ。
レーニオは、ミルティの領地の珍しい植物や古い言い伝えに興味を持ち、熱心に調べていた。
研究しているのか。
ミルティも、レーニオの豊富な知識や面白い話に惹かれ、次第に親しくなっていく。
二人で領内を散策したり、書斎で書物を読み解いたりするうちに、お互いに特別な感情を抱くようになっていってしまう。
レーニオは、身分を隠しているようだった。
時折見せる憂いを帯びた表情や、ふとした瞬間に口にする貴族のような言葉遣いが、ミルティの心をざわつかせる。
それでも、レーニオの飾らない優しさ。
ミルティの過去や、今の立場を気にせず接してくれる態度に、彼女は安らぎを感じていた。
ある夜、二人で星空を見上げていた時のこと。
遠い故郷の話をぽつりぽつりと語り始めた。
美しい庭園、賑やかな祭り、そして、権力争いに疲弊した王国の現状。
話を聞くうちに、ミルティはレーニオがただの旅人ではないと確信。
彼の語る故郷の様子は、まるで絵画のように鮮やかで、そこに暮らす人々の生活や感情がひしひしと伝わってきたから。
意を決したミルティは問いかけた。
「レーニオさん、あなたは本当にただの旅人なのですか?あなたの話を聞いていると、そうではないような気がして」
レーニオは、少し驚いた表情を見せが、すぐに穏やかな微笑みに変わり。
「ミルティ様には、隠し通せないようですね」
そして、彼は静かに語り始めた。
レーニオの本名は、レーニオナルド・ロルル・アルバーティ。
隣国の由緒ある貴族の次男であり、国の内乱を避けて身を隠しているのだと。
兄が王位を継いだものの、国内は依然として不安定で。
いつ刺客が送られてくるかわからないため、こうして名前を変えながら、各地を放浪しているのだという。
ミルティは、レーニオの告白に驚きながらも、どこか納得していた。
彼の立ち居振る舞いや知識の深さは、やはり普通の人とは違っていたし。
「それでも、あなたは私を分け隔てなく接してくれましたね」
ミルティは、少し照れたように言った。
レーニオは、優しい眼差しでミルティを見つめる。
「ミルティ様の聡明さ、そして何よりも、過去の苦難を乗り越え、領民のために尽くされるお姿に、心惹かれたのです。身分など、私にとっては何の意味もありません」
「ありがとうございます。そんなに言ってもらえるなんて」
二人の間には、静かな空気が流れる。
お互いの素性を明かしたことで、二人の距離はさらに縮まった。
レーニオは、隣国の情勢が落ち着けば、いつか自分の国に戻らなければならない。
それまでの間、ミルティのそばにいたいと願い出た。
願ってもないこと。
ミルティもまた、レーニオの存在が心の支えとなっていた。
孤独だった彼女の世界に、希望をもたらしてくれたレーニオ。
彼の身分を知っても、その気持ちは変わりない。
それからというもの、二人は領地の発展のために協力し合った。
レーニオの持つ外交的な知識や広い視野は、ミルティにとって大きな助けとなり。
領内の産業を活性化させ、貧しい人々を救済するための政策を進める中で、二人の絆はますます深まっていく。
しかし、穏やかな日々は長くは続かない。
ある日、ミルティの領地に、レーニオを探す隣国の兵士たちが現れた。レーニオの存在が、ついに本国に知られてしまったのである。
兵士たちは、レーニオを連れ戻そうとしたが、ミルティは断固として拒否。
「レーニオナルド様は、私の大切な客人です。連れて行くことは許しません!」
領地の騎士たちも領主を守るように立ち上がり、一触即発の状態となる。
レーニオは、これ以上ミルティに迷惑をかけられないと考え、自ら兵士たちの前に進み出た。
「ミルティ様、短い間でしたが、あなたと出会えたことは、私の人生にとってかけがえのないものです。あなたの領地での日々は、私にとって宝物だった」
レーニオは、悲しみを堪えながら、ミルティに別れを告げる。
ミルティは、涙をこらえきれず。
「レーニオさん……どうか、ご無事で」
レーニオは、兵士たちと共に去っていく。
残されたミルティは、深い悲しみに包まれた。
同時に、レーニオとの出会いを決して後悔していない。
彼と過ごした時間は、彼女の心を豊かにし、当主としての自信を与えてくれたのだから。
いつか、隣国の情勢が安定し、レーニオが再びこの地に戻ってきてくれることを、強く願っていた。
その日まで、彼女は領主として、アデラインの娘として、強く生き抜いていくことを誓う。
レーニオとの些細な思い出を胸に抱きながら。
連れ去られてから数ヶ月が過ぎ。
ミルティは悲しみを胸にしまい、領主としての務めに一層励んでいた。レーニオと協力して進めてきた政策は着実に実を結び、領地は以前にも増して豊かになっていく。
しかし、ミルティの心の奥には、いつもレーニオの面影があり。
そんなある日、ミルティの元に、隣国から知らせが届く。
「お兄さん?なんで?」
レーニオの兄である国王からの親書。
手紙には、国内の混乱がようやく収束し、レーニオの身の安全が確保されたこと。
レーニオ自身が、ミルティに一目会いたいと強く望んでいることが綴られていた。
なんと。
国王は、そのことを知り、二人の未来を祝福したいとも記している。
ふーん、なんか手のひら返しっぽいなぁ。
まぁいいか。
ミルティは、手紙を読み終えると、喜びで胸がいっぱいになる。
利用はできそう。
すぐに返事を書き、レーニオに会いたいという本気の思いを伝える。
数週間後。
あの旅の日のように、一人の男がミルティの領地に姿を現した。
やっとだ。
「レーニオ様」
粗末な旅装束ではなく、見慣れた隣国の貴族の装いを身につけたレーニオ。
長かったと、感慨深い。
「ミルティ様……」
レーニオは、懐かしさと愛情が入り混じった顔つきでミルティを見つめる。
ミルティは、駆け寄った。
言葉にならない思いでレーニオの手を取る。
「レーニオさん……おかえりなさい」
二人は、再会を喜び合い、言葉を交わした。
感無量。
彼は本国での出来事や、ミルティをずっと想っていたことを語る。
ミルティの領地が豊かに発展している様子を見て、心から感動していた。
相変わらず、優しい。
数日後。
レーニオはミルティに改めてプロポーズしてきた。
「ミルティ様、あなたと離れて過ごした日々は、私にとって色のない世界だった。どうか、私の妻となり、共に未来を歩んでください」
ミルティからは涙が溢れ。
「喜んで」
即答しかない。
二人の結婚の知らせは、瞬く間に領地に広まり、人々は心から祝福した。
過去の苦難を乗り越え、遠い国から戻ってきた貴公子。
新聞で大盛り上がりらしい。
結婚式は、盛大に行われた。
領地の花々で飾られた美しい教会で、二人は永遠の愛を誓い合う。
アデラインの肖像画が見守る中、ミルティは笑顔を浮かべていた。
結婚後、レーニオはミルティと共に領地の発展に尽力した。
彼の持つ知識や経験は、ミルティの当主としての手腕をさらに引き出す。
領地はますます勢いを増していく。
二人の間には、深い愛情と信頼があり、困難なことがあっても互いを支え合い、乗り越えていく。
やがて、二人の間には、新しい命が宿る。
新たな光に満ちた部屋で。
ミルティは愛するレーニオの腕の中で、小さな赤ん坊を抱きしめた。
その子の瞳はキラキラしている。
アデラインもきっと、天国で微笑みを浮かべて娘の幸せを、心から祝福しているだろうと満足した。
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