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能力解禁

「全く、噂より弱いと思ったらこれか」

天野の腕の至る所からボルト、パイプ、メーターなど金属が剥き出している。さっきの小爆発で私の右腕がぐちゃぐちゃになってしまった。まぁやることに変わりはない。潜り、殴り、潜り、殴りを繰り返すだけ。これは"パターン"だ。パターンを崩すのは良くない。


「お前の潜れる場所影だけだろ?」


天野が勝ち誇った顔で地面を指差した。ハッタリ....か? いやあの顔はわかってるんだ。


「外に出た理由は建物がぶっ壊れるからじゃなくて、店内はライトで明るいから、だろ?」


「....すごい洞察力だな」


この少年が特怪が手出ししなかった理由がわかった。


「それがわかれば怖くない」


天野が異様な構えをとる。背を丸め、拳を握ることなく手の指先が地面を向いている。あの構え、俺を捕まえるつもりでとっている。私が影から出るタイミング、方向全て合わなきゃ捕まえることはできない。


「無謀な賭けしかできないのか」


「違う、勇気の賭けだ。お前の首締め、潰してやる」


未知数な少年....天野を殺すために影に潜る。


天野に憑いている妖怪はわからないがあの爆発、あの機械が纏わり付いた腕を見るにおそらく超パワー系の妖怪。だから捕まった瞬間、体をぐちゃぐちゃに潰されて終わりだ。そのため攻撃は素早く済ませ、影に潜らないといけない。一撃重視ではなく、数で攻める。沈んでいく体を起こし影から飛び出す。天野の背後を完璧に取った....と、思っていた。


「ここよな」


天野は体を倒していた。私の出現場所を知っていたかのように。両手を手につけ、足を宙に浮かし蹴る準備が完璧に整っていたのだ。




鮮烈な一撃が男の肋骨を砕く。

お、こりゃあ勝ちやな。


「ガボッ!!!」


肺が傷ついたのだろう、男の咳に血が混ざっている。


「俺もよぉ、お前にみたいなセコい考え大好きなんだよだがら読みやすかったぜ」


先の行動はただ俺の推測によって放たれた一撃。まさかこうも上手くいくとは思わなかった。


「納得はできない。勝負はそんな運などで絶対に決まってはいけない。そう、絶対にだ。勝敗は実力のみで決まらなければ」


怒ったのか? 男の瞳の色が黄から赤へ変化する。そして瞳孔が暗い中なのに狭まる。まるで遠くを見るかのように。


「次の攻撃は"運命"だ。決定は揺るがない」


意味深な発言を残して男が影に潜った。あの変わりようはおそらく『何か』あるな。俺は素早く動けるように力を抜き、耳に意識を傾ける。"音"を拾え、水が跳ねるような音を........。


右、2m先で音が鳴った。すかさず左足を下げ、男の動きに合わせ、拳を振るう。


「マジかよオ!!」


完璧に当たった、はずだった。だが、パンチは紙一重交わされ、男からの蹴りをもらう。合わせたはずだった。噛み合わせたはずだった。


合わせたのは男の方だった。


幸い蹴りをもらった場所は右腹で深い傷ではない。だが正直焦った。目で捉えることは出来ても体の反応が間に合わない筈なのにこの男は避けてみせた。実際、男のスピードは全く変わっていなかった。なにか"カラクリ"がある。天野は確信した。


「頑張れ、少年」


俺の焦り具合を見て男が煽りを入れてきた。ダメージ覚悟で"避け"の"カラクリ"解明してやる。男が影に入る。来い、来い来い来い。


微かに音がした。


後ろか。

体を回すが、敵が見当たらない。


「....また潜ったんか?」


なぜまた潜った? あの見事な交わしを見た後だと謎に思える。

「それを解明するんだろ....!」自分の心に喝を入れた。

謎を解くため、気を落ち着かせ集中する。産毛の先まで神経を張り巡らす。


........そこだ。


後ろから現れた男に合わせ蹴りを入れた、つもりだった。


「は?何これ?」


影から現れたのは男が持っていたライダーだった。やられた!!!

ここでこんな小細工出してくるのかよ!!! 男は何事も無かったかのように華麗に俺の背中につく。男の指が俺の耳を掴む。


「痛っテェ-----!!!」


男が俺の鼓膜を穿じくり出したのだ。


「これで君は殴られるだけ」


耳の中からシャワーように血が垂れる。


「小細工を今までしなかったのはわざとか?」


「案外騙されるもんだろ? 特に君みたいな理詰めタイプはな」


男はライタの蓋を開け閉めを繰り返す。完全にやられた。完敗だ。音が聞こえなくなったことによって右側の攻撃が避けられない。

もう、ここから戦況覆すことは不可能だ。こうなったら俺の取る行動は一つ。ポケットに手を突っ込み、スマホを起動する。


「なぁお前に憑いてる妖怪ってさぁ、『吸血鬼』だろ? その影に入れる点、目が赤くなったり黄色くなったりする点。この2点から連想できる妖怪は『吸血鬼』しかいない。まぁ、"避け"の"トリック"はわからなかったけどな」


頼む、この会話に乗ってくれ、乗ってくれなきゃ"俺ら"の負けだ。


「正解」


「すんなり認めたな。なんか裏があるのか?いや、ま、いっか。それより"避け"の"トリック"教えてくれよ。どうせ俺の負けなんだから」


「そのスマホから手をどけてくれたらな」


やっぱりバレてたか。最初からこの男は気付いていた。なのに敢えて乗ってきたのだ。この男にはそれ程の余裕があるのか? それ程"避け"の"トリック"は難解なのか?


「ボイスで録音してあのお友達にでも送るつもりだったか?」


ミカに送ってくることもバレてる。


「一度は送ってるけどな」


ここまで繋いだ、あとはミカに全てかかってる。


「抵抗するなよ」


「しねぇよ」


両手を上げ降参する。

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次話は月曜7時投稿です。

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