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うちのミケ様は招き猫【三毛猫奇譚】  作者: NAO
第2章 人か猫かバケモノか
18/43

18 夫婦喧嘩は犬も食わない

 

 ─サクッ。


 と、誰かの爪がわっちの太腿に深く刺さって現実に戻って来た。


 「フギャー!!!」


 わっちは驚いて飛び跳ねた拍子に猫になり、あぐらの上にいた二人の息子たちも、それに驚いて猫に戻ってしまった。

 「何をするでありんすか?!」

 わっちは背中と尻尾の毛を膨らめて黒猫に言った。

 息子達も背中と尻尾の毛を膨らめながらも硬直していた。

 黒猫は我関せずで自分の爪を手入れしながら言う。

 「にゃにゃん?(爪は痛かったでありんすか?浮気者。)」

 「浮気なんてしてないじゃありんせんか!」

 わっちは黒猫に言う。

 「ニャンニャー!ニャアーーーーン!!(人間なんかにうつつ抜かして!あまつさえホストだなんて!)」

 黒猫は耳を尖らせて目を釣り上げる。

 「昔の事でありんすよ!今はお前さん一筋でありんすよ!」

 わっちは人型になって黒猫を抱き上げた。

 しかし、黒猫は虫の居所が悪いらしく顔に爪有り猫パンチが飛んでくる。

 「ニャオーーン!(信じられません!)」

 黒猫はひらりと腕からすり抜けて畳に着地した。

 そして、


 ─ポン


 と、人に変化して言う。

 「全く汚らわしい!触らんでくりゃれ!」

 腕を組んでツンっ、とそっぽを向いた。

 

 ─ちょーーーー!!!待つでありんすーー!!!


 わっちは慌てて

 「ヴィリーの前でその姿になるのはよしてくりゃれ!また何を言われるか…!」

 と、慌てて黒猫の姿がヴィリーに見えない様に立ち塞がった。

 「何ででありんすか?!わっちがヴィリー様の前で人になって何か不都合でもありんすか?」

 黒猫は「ズイッ」と怒り顔して顔を近づけて来た。


 ─…かっ…かわいい…!


 おっといけねぇ。

 そんな事言ってる場合じゃありんせん!

 「不都合はありんせんが…とにかく猫に戻るでありんす!」

 と、またチラッとヴィリーの顔を見る。

 ヴィリーは勝ち誇った顔でニヤニヤしてるありんす。

 わっちがワタワタしていると、黒猫は

 「わっちが邪魔なんでありんしょう?いなくなるでありんすよ!」

 と、猫に戻り縁側から外に出て塀をよじ登ってどこかへ行ってしまった。

 わっちは

 「ユキ!待つでありんす!」

 と、言って猫になり、黒猫の後を追いかけた。

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